36年振り日本産野生トキ誕生を環境省小型カメラが確認、わく地元と関係者

新潟県佐渡市で、放鳥されたトキでは初めて雛が産まれました。 雛が産まれたのは去年2011年春に放鳥されたトキのうち3歳雄と2歳雌のつがいの間でした。 これは環境省が近くに設置した小型カメラにより 2012年4月22日に確認されたとのことです。

トキは朱鷺、または鴇とも書きコウノトリ目トキ科の鳥です。 学名は有名なNipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)、 正しく日本を代表する鳥でありながら日本の自然界では乱獲などにより絶滅の憂き目を見てしまいました。 飼育されているトキも2003年に最後のトキが死亡してより 日本産は絶えて久しかったのですが、 今回それを継ぐトキの誕生に地元を始め日本中が沸いています。

こうした日本産トキの蘇生は1980年代から連綿と続けられた 日本産トキと中国産トキの間の人工繁殖の研究と実践から、 また中国側の好意により譲り受けた中国産トキの子孫により遂に実現されたのです。 自然界でのトキの誕生は実に36年振りと言う話しです。

このニュースは各メディアに扱われていますが、 オンライン系はこの方面には動きが鈍くほとんど記事削除が予想される 旧来の新聞系メディアのものですので、 リンクとしてはWSJの2012年4月23日の記事 放鳥トキのひな誕生=自然界で36年ぶり―野生復帰に一歩・環境省 (2019年1月30日現在記事削除確認) を用意するに留めておきます。

誕生の発見されたトキの雛は生後1週間程経っているとみられ、 通常は1ヶ月と10日ほどで成鳥並みに成鳥しますので、 順調に成育が進めば来月下旬に巣立ちが見られるのではないかとされています。 嬉しいことに親鳥は人工飼育ながら確り親としての役目を果たすべく 雛に餌を与えているところが小型カメラで確認されてもいます。

更にはこの雛が誕生した巣にはまだ可能性のある卵があり、 佐渡市内にはこの巣以外にもトキのつがいが合わせて10組あり、 それぞれに可能性があるそうですので期待は高まります。

誕生の喜びに沸く一方、矢張り不安も隠せないことが伝えられます。 それにはトキの野生復帰事業に於ける2008年秋の1次放鳥後、 毎回天敵に阻害されてきた経緯があります。 先ずは巣の中の卵を狙うカラス、 そして巣立ち後の飛翔時を狙うトンビやハヤブサなどの猛禽類、 加えて2010年春の佐渡トキ保護センターに於けるテンによる襲撃で 9羽のトキが命を奪われたのはメディアに大々的に取り上げられ記憶に新しいところです。

そうは言っても天敵も野生であればトキは野生に於いて暮らしていく以上、 自らこれを逃れる術を知らなければなりません。 時の自然への順化に於いてはこれも新たに考慮に入れられているそうで 取り入れられた新手法が効果を上げるべく願いたく思います。

なお、今回の雛誕生のお知らせこと見付けられませんでしたが 環境省ではトキの野生復帰事業の情報サイトを用意しています。 トキの野生復帰を進めています がそれで、些か更新が頼りなく情報が古くなりますが、 古いなりに豊富ではありますので興味のある方は重宝するのではないでしょうか。

因みにこのサイトの2012年4月時点でのトップページには 種の保存法 としてトキは種の保存法で、個体の捕獲や譲渡等が規制されている旨記載され、 例えば、拾ったトキの羽を他人に譲り渡すだけでも 違法となってしまいますので是非ご注意いただきたいと思います。 同じことを繰り返さぬよう、我々は遠巻きに見守っているのが一番具合が好いようです。

追記(2012年6月26日)

本記事に誕生したトキが巣立ちの時期を迎えたのを受け 野生のトキ芽出度く8羽皆巣立ち環境省がレッドリスト見直しへ を配信しました。

追記(2012年12月19日)

トキとの共生が図られる新潟県佐渡市の試みについて 復活トキを守る佐渡認証米 を配信しました。

スポンサー
スポンサー

この記事をシェアする