テスコ日本撤退にイオンがカルフールに続いて関与

世界の小売業を売上ベースで見れば 以下がベスト10及び日本のベスト3になります。

小売業世界ベスト10+日本ベスト3
1Wal-Mart Stores, Inc.アメリカ405,046
2Carrefour S.A.フランス119,887
3Metro AG ドイツ90,850
4Tesco plcイギリス90,435
5Shwarz Unternehmens Treuhand KGドイツ77,221
6The Kroger Co.アメリカ76,733
7Costco Wholesale Corp.アメリカ69,889
8Aldi Einkauf GmbH & Co. oHGドイツ67,709
9The Home Depot, Inc.アメリカ66,176
10Target Corp.アメリカ63,435
16セブン&アイ・ホールディングス日本64,459
18イオン日本56,876
37ヤマダ電機日本26,542

以上はトーマツの グローバル小売ランキング 2011 (各社の小売事業2009年度売上高実績でUSドルベースで集計、2019年5月18日現在記事削除確認)と Ulletの 小売業 - 売上高順 1~20位 を合成して構成していますので順位と金額に異同があります。

このランキングを見れば日本ベスト3がそれ程海外への事業展開を聞かないにも関わらず 世界の小売業で上位につけており、 日本市場が魅力的であることが分かります。 従ってランキング4位の英国の Tescoテスコ も2003年、日本進出を決めシートゥーネットワークを買収したのですが、 目論見通りことは運ばず昨年2011年9月には日本撤退の旨、公表しました。

これを受けて日本小売ランキング2位のイオンが手を挙げたのが明らかになりました。 イオンとテスコとの合意の旨、昨日2012年6月18日付けのリリースが日経Web上に イオン、都市型小型スーパーを展開するテスコジャパン株の50%を取得 (2019年5月18日現在日経Webの当該ページは削除されていますので、 引用部分が同じきイオンのサイト内の2012年6月18日付けのPDFファイル テスコジャパン株式会社の株式取得について にリンクを貼り置きます。)として掲載されます。 以下にその目的だけ引用します。

 イオンは、2011年を起点とするイオングループ中期経営計画(2011年度~2013年度)において、戦略の柱の一つに大都市を重点エリアと位置づけ新たな成長機会の獲得を目指す「都市シフト」を掲げ、首都圏における事業展開を積極的に推進しております。

 テスコジャパンは、加工食品の卸売業者として長い歴史を有し、1994年に小売事業に参入、現在は首都圏を中心に「テスコ」25店舗、「テスコエクスプレス」6店舗、「つるかめ」72店舗、「ふーどれっと」12店舗、他2店舗、計117店舗の都市型小型スーパーマーケット業態を運営しています。

 この度の株式取得を機に、イオンとテスコは、両社の持つ経営資源やノウハウを活用し、テスコジャパンの事業競争力の向上に取り組んでまいります。

イオンのグローバル小売業の日本撤退への関与と言えば 世界ランキング2位の仏国 Carrefourカルフール が思い出されます。

カルフールは2000年に日本法人のカルフール・ジャパン株式会社を設立、日本市場に参入しました。 しかし、此処でも日本市場の難しさか、 2005年3月10日に現地法人をイオンに売却していたのです。 その後5年間はカルフールブランドは継承しましたが2010年にはライセンス契約期間満了にて 実務的にも日本からカルフールの名前は消えました。 カルフール・ジャパンはイオンマルシェに商号変更して 2010年12月1日にイオンリテールに吸収合併する迄存続していましたから まだ記憶されている方も多いでしょう。

即ちイオンがグローバル小売ランキングの 第2位と第4位の日本撤退に当たって関与したことになります。 日本でイオンと競り合う日本ランキング首位のセブンアンドアイは 管見にしてこの如き手法を取る事例があるのが分かりませんが、 若しかしたら、一定の地域への店舗集中による合理化、効率化で同業他社に優位に立とうとする ドミナント出店 方式を得意とする同社の方針に合わないのかも知れません。

グローバル小売第2位と第4位はイオンに日本市場を委ねることとなりましたが、 ではその間に位置する第1位と第3位はどうなのでしょうか?

謂わずと知れた世界小売ナンバー1の ウォルマートは流通大手として嘗て一世を風靡したセゾングループのスーパー部門を担っていた 西友 を2006年に傘下に収めたのは一般にも広く周知されているでしょう。 当初苦戦するも日本市場に合わせた展開を図り、 徐々にその成果を上げ始めている様です。 近くにはブランドも西友からウォルマートに切り替えるかの噂も出始めています。

グローバル小売ランク3位の独国 Metroメトロ は日本では一般には余り知られていないようです。 ブルームバーグ2009年10月21日記事 小売りの独メトロ:日本で来年に最低2店開店-アジア重視で積極投資 (2019年5月18日現在記事削除確認)と勿論日本進出は図られています。 しかし半年後のTHINKING LIVE シンキングライブさんの2010年4月9日の記事 5565、独メトロ、世界2位の小売業、10年中に百貨店売却撤退、低価格店に集中 (2019年5月18日現在記事削除確認)ではやはり当初は苦戦を余儀なくされていたようです。 そこでメトロは独自路線を行きました。 2000年に設立していた現地法人 メトロキャッシュアンドキャリージャパン株式会社 では現在 食のプロのみを対象として一般消費者は利用することができない 営業形態を取っているのです。

今回のテスコジャパンの株式50%のイオンの取得は、 グローバル小売業ランキング上位4社のそれぞれの日本市場への取り組み手法も垣間見せるニュースとなりました。

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