ジーンズメーカー株式会社ボブソン(BOBSON)無念の破産、ファストファッション勢に破れ消滅へ

倒産には帝国データバンクの 倒産の定義 に依れば、以下列挙する処の如く大別出来ます。

  • 任意整理
  • 法的整理

また、以下列挙する処の如くにも分けられます。

  • 清算目的型 清算(消滅)させる
  • 再建目的型 事業を継続しながら債務弁済する

破産は法的整理であり、清算目的型の倒産です。 即ち会社の消滅を意味します。

倒産に於いては会社更生法及び民事再生法の適用に依って 一旦は再建目的型で目論むものも有りますが、 その目論見が外れて清算目的型に移行するタイプのものもあります。 有名ジーンズメーカー ボブソン がその事例に当て嵌まる事態となってしまったのが、 帝国データバンクの大型倒産速報の6月5日の記事 「BOBSON」で知られるジーンズメーカー【続報】株式会社ボブソン 破産手続き開始決定受ける 負債10億7400万円 (2019年5月5日現在記事削除確認)として配信されました。

ボブソンは1970年岡山市に設立されたジーンズの製造販売 山尾被服工業株式会社 を前身とし1973年にブランド名を商号名にして ジーンズメーカーとして一世を風靡しました。 一定の年代以上の方には今以て馴染み深いブランド名で 今回の倒産劇にショックを受けている方も多いのではないでしょうか。

しかし2000年代に入り時代は ユニクロしまむら に代表されるファストファッションへと移り変わってしまいました。 低価格競争時代の始まりです。

この競争に耐え切れなくなったボブソンは 2009年マイルストーン ターンアラウンド マネジメント株式会社出資の子会社にBOBSON事業を譲渡、 新株式会社ボブソン として再生を目指したのでした。 しかしここでもファストファッション勢の攻勢の前にはなす術もなく 2011年5月2日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し倒産したのでした。

それから一年余、刀折れ矢尽きて今回の負債10億余りを抱えての 破産宣告を受ける事態となってしまった訳です。

それでも ボブソン にブランド価値があると思うのは懐古趣味が過ぎるでしょうか? BOBSON の商標権は今資産として売却が予定されていますが、 この価値を認め再生する企業がある気もします。 それがユニクロやしまむらであれば尚、業界を活気付かせるもののようにも思えるのです。

追記(2019年5月6日)

山尾被服工業株式会社を前身とした旧ボブソンは2000年に新ボブソンに事業譲渡後、 株式会社ピーチフォート に改称して創業家の 尾崎博志 氏が五代目社長に就任、中心となって地道に事業を営み、 本記事に記した新株式会社ボブソンの破綻時には此れを救済出来る程に回復していました。 株式会社ボブソンホールディンス を設立して BOBSON ブランドを此の時再取得し、2016年には 株式会社ピーチフォート に事業統合すると共に社名も 株式会社ボブソンピーチフォート と改称して今に至ります。

ジーンズ業界が望む通りの成長が得られない状況であるのは時代の波もあり致し方のない処でしょうが、 ボブソンは勿論ジーンズに限らずファッション事業を展開しており、 子供服の キムラタンにも Bobsonをライセンス供与するなどしています。 海外に目を遣れば、今年2019年3月にはニューヨーク証券取引所に Levi's ブランドを擁する リーバイ・ストラウス社 が再上場[※1] を果たしました。 しかしファッション業界を見渡せば其の中に向かい風も有り、順風満帆とは言い難く、 トップシェアを堅守するジーンズ業界に於いてさえも、 ボブソンと同じくファストファッションの突き上げは激しい様です。 BOBSONLevi'sも未だ色褪せぬブランド価値を有するのは確かでしょうが、 しかしジーンズのみに拘れば以前と同じ轍を踏まぬとも限りませんから、 此の貴重な資産を核にしたファッションブランドの首尾宜しき事業展開が必須となるでしょう、 老舗ブランドを擁す両社の今後に期待したく思います。

参考URL(※)
  1. 復活できるのか? 再上場で注目される、ジーンズの「リーバイス」(ITmediaビジネスオンライン:2019年4月30日)
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