超小型車第1号と目されるコムスの現行の運用はミニカーに準拠

今年2012年中にも制度化が目論まれる 超小型車[K1] に於いてその第1号ではないかと目される[K2] トヨタ車体の COMSコムス は既に発売[K3] され、公道上を走行しています。 コムスは超小型車の範疇で正式に認められて公道を走っているのでしょうか?

この件については様々な情報が錯綜し、 実運用と法制化が前後したため分かり難い状況となっている[K4] ようです。 実際に購入を考える方は恐らくこの混沌とした状況で二の足を踏むこともあると思われます。 トヨタ車体がコムスを売らんと考えるならば、 コムスの法制上の位置付けの周知をもっと図るべきでしょう。

最新の開発者インタビューがMSN産経ニュースに掲載されています[※1] が、拝読した印象として低廉な費用を喧伝するよりはこのような場で もう少し制度上のコムスに言及して欲しかったように思います。 穿って見れば超小型車への注目が高いことから現行の運用と超小型車運用の境界を 濁しているような感すら受け取られかねないもの、 即ち売らんかなが強いものとなっている印象がありますので、 トヨタ車体としてのコメントは注意が必要であろうと老婆心ながら思わされます。

実運用については販売側の主張を聞くよりは 実際に購入する側の記事が参考になるのは言う迄もありません。 これについては実際に購入に至ったかは定かではありませんが、 見積もりを取って見た記事がResponseで配信[※2] されています。 見積もり内容に於いて車両本体価格などかたむき通信のコムス発売時の記事[K3] と大差ない内容ですが、注目すべきは以下でしょう。

  • 自動車税:0円
  • 自動車重量税:0円
  • 自動車取得税:0円
  • 自賠責保険料(36ヶ月):1万1520円

明らかに法制上の制約を受けた内容です。 これが何によって規定されていると言えば記事には コムスは道路交通法上 ミニカー に区分されるとされています。 見積もりは其の線に依ってなされる訳ですから上のように 自動車取得税や自動車重量税、車検、車庫証明などは不要となるのでした。 運転手にも普通自動車免許が求められるものとなります。

ではミニカーとはなんであるのか? 直接道路交通法にその解を求める前にWikipediaにはとても分かり易くまとめられ[※3] ていました。 ミニカーについては2種類の法律が関与し、 一方は 道路交通法令 で、 総排気量50cc以下又は定格出力0.6kW以下の原動機を有する普通自動車 を指すもの、また一方は 道路運送車両法 では 原動機付自転車扱いとなる とされています。 超小型車が正式に法制化される迄はその端境期に誕生した コムスは現行(2012年9月3日時点)法制上ミニカーとしての取扱い となるのでした。

ミニカーをWeb上の法文に追い掛けて見れば 道路交通法施行令(昭和三十五年十月十一日政令第二百七十号)[※4] の第二十二条(自動車の乗車又は積載の制限)のその一には 普通自動車で内閣府令で定める大きさ以下の原動機を有するもの(以下この条において「ミニカー」という。)、普通自動車(ミニカーを除く。) なる条文にミニカーの記載が見られます。

また最終改正が平成24年6月18日の内閣府令第三九号である 道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号) にもミニカーの記載が見られます。 附則(昭和五九年九月一〇日総理府令第四六号)の2の条文には 総排気量〇・〇五〇リツトル以下又は定格出力〇・六〇キロワツト以下の原動機を有する普通自動車(以下「ミニカー」という。) なる件が見られ、これがWikipediaの出典になっているものでしょう。 これは別表第二(第十九条関係)にも略語であるミニカーの意味として記載されています。

これら法文は実に一般の方々が見るには実に煩わしく出来てしまっているのは 法治国家たる日本の欠陥の一つとも言えるとも思うのですが、今は仕方有りません。 出来得るなればトヨタ車体なり、超小型車以前に超小型車的ミニカーに提供を目論む各社が、 適宜解説を施した分かり易い情報も商品に併せて提供するべきでしょうし、 それは超小型車の法制化後も同様です。 この如き情報提供は恐らくは情報化社会となってはメーカーの義務ともされ得るものですし、 今やインターネットに依って情報提供の敷居も著しく下がっているのです。

追記(2019年11月13日)

二官庁を情報源とすると思われる報道記事を受け、 超小型車認定制度の国交省案へのパブリックコメント募集に規格概要を見る に超小型EVに関する対照的な国土交通省と経済産業省の姿勢について追記しました。

かたむき通信参照記事(K)
  1. 超小型車~約半世紀振りに自動車に新車両区分検討開始(2012年5月27日)
  2. トヨタ車体から今夏発売予定のコムス(COMS)が超小型車認定第1号の模様(2012年6月9日)
  3. トヨタ車体から超小型車第1号コムス(COMS)発売、実質負担額59万8,000円から(2012年7月2日)
  4. トヨタ車体コムス(COMS)発売後の超小型車の動静(2012年7月8日)
参考URL(※)
  1. 1人乗りEVの実力 トヨタ車体「コムス」開発の松永氏(MSN産経ニュース:2012年9月2日:2019年9月30日現在当該サービス停止確認)
  2. 【見積もりとってみた】超小型EVコムス、総額89万円…諸費用は3万以下(Response:2012年7月13日)
  3. ミニカー(車両)(Wikipedia:2012年9月3日時点)
  4. 道路交通法施行令(昭和三十五年十月十一日政令第二百七十号)(e-Gov・イーガブ)
  5. 道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)(e-Gov・イーガブ)
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