ヤマト政権の影響力分布を押し広げた城の山古墳の解明が進む

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ヤマト政権が統一王権として日本の中央に君臨していたのは確かなことですが、 さて現代へ連綿と続く継続性などと共にその影響力などはまだまだ未解明で謎の部分も多くあり、 歴史好事家の心を擽るものです。

去年2012年晩夏、新潟県胎内市教育委員会が9月6日にこの件に関して重要な発表をしました。 右の地図に見える同市内 城の山古墳 の第6次発掘調査に於いてヤマト政権の影響範囲を一気に数百km拡げしむる発見がなされた旨です。 城の山古墳は4世紀前半のものと目される円墳で長径41m、短径35mの楕円形をしており、 高さは5m程で一見小高い丘にしか見えません。 地元であり千年前程、中世の文献にも名前の見られる大塚集落では 大塚山 と呼んで、その土は同市内の関沢から運ばれたものとされる伝説も残り、 大切に保存されて来たものの其れが古墳であるかどうか処か 人工の山であるかも定かではなかった、と言います。

この大々的に報道されもした発見に重要なのはその副葬品でした。 出土したその位置で副葬品を確認出来る最初で最後の機会として 9月8日、9日の2日間に渡り現地説明会も催されたのです。 この際の胎内氏教育委員会文化財係の学芸員氏などの解説も含む 貴重な映像がYouTubeに配信されてもいますので下に共有しましょう。

城の山古墳 一般公開 現地説明会

この動画から新発見の概要を抜き出せば以下のようになるでしょう。

  1. 古墳の頭頂部の墓坑に納められた棺は北東を頭に長さ8m、幅は1.5mと非常に大きな木製である。 この木材は畿内で見られる高野槇などではなく ヒノキ科アスナロ属のヒバ若しくはアテであろうとされる。
  2. 棺の木材は殆んど腐って無くなっており、 表面に塗ってあった赤い色だけが土の上に残っていて、 それが即ち棺の入っていた痕跡となる。
  3. 棺の中は3つに区切られ、頭の部分は斧とか鑿とか工具が入っていた。
  4. 棺の真ん中部分に人物は埋葬されている。
    1. 頭部々分赤く色が散っているのは水銀の朱である。
    2. 頭部の両側に翡翠の勾玉と管玉、ガラス玉が散っている。
    3. 肩の周辺に回りを木箱で囲まれていたと思われる銅鏡が露出しているが、 現時点で鏡が表を向いているため其の種類は分からず、 取り上げてから保存処理をして種類を確かめる予定である。
    4. 鏡の脇には太刀と矛先と思われるものがある。
    5. 足元には銅の鏃が3点づつ、 鏃には黒い弓と赤い弓が添えられている。
  5. 棺の足側の部分には 菱形の紋様を持つ蓋付きの鏃を入れる箱、 (ゆき)が収められ、 繊維性の製品が重なり収められている。 (この際鉄器が映るがその詳細は説明されていない。)

4.v.の足元の銅鏃こそヤマト政権の当時4世紀前半影響力を 能登半島から数百km東へ押し広げる物証となるものです。 またこの鏃と弓の事例は今の処他では見られない副葬例でもあるのだそうです。 そして5.の靫の菱形紋様形式は滋賀県近江雪野山古墳のものが 従来東端であれば其れをもまた一気に600kmほど分布域を広めた発見だったのです。

そして4.iii.の銅鏡についてはこの時未だその片鱗が覗えるだけの状態でしたが これより数ヵ月後の本日2013年1月15日に新潟県胎内市教育委員会は この銅鏡が当時国内製より価値の高いとされる中国製で龍の彫られた 盤龍鏡 であることが確認されたと発表しました。

更には4.v.の黒赤の弓についてか、若しくは5.の鉄器についてのものだと思われますが、 弓に取り付ける鉄製飾りである 両頭金具 も確認された旨、発表されました。 この古墳時代前期に発掘例の少ない国内には最古と思われる発見からも 被葬者のヤマト政権に於ける位置が重要なものであり、 中央政権とそれ程近しい関係であった人物が越後に勢力を扶植していた事実が明らかとなったのです。

まだ破損や汚れの付着が激しく解明が充分進まない部分もあり 今後もX線写真などで分析がなされるものとされますから 孰れまた文字なども発見され新事実も齎されるかも知れません。 さて、その新事実も一般に公開されることが予定されています。 胎内市教育委員会生涯学習課文化財係は来る2013年3月3日に胎内市産業文化会館ホールを会場として 第1回城の山古墳シンポジウム の開催を告知するものが上に表示したチラシ画像です。 一線の研究者、博士や学芸員が城の山古墳の謎を解き明かす、 と言うのですから価値のあるシンポジウムとなるのが予想されます。

使用図写真
  1. 第1回城の山古墳シンポジウム(胎内市ホームページ:2013年1月8日:PDFファイル1.7MB)
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