食感まるでステーキのよかにせどんこ(男前椎茸)を勝村さんは果たして認定したか

きんしょうと読まれる菌床栽培では シイ、ナラ、カシの大鋸屑に菌を植え付けるのですが に於いて長い伝統と独自の研究の積み重ねの結果の工程として 先ずはその大鋸屑を洗浄して不純なものは全部洗い流す、 これを2回繰り返すことを終えたら其処に菌を植え付け4ヶ月間培養するにあたり、 通常なら湿度を80%に保つ処、敢えて換気などで室内に新鮮な空気を取り込み保ち、 さて収穫後の大鋸屑のブロックは繰り返し使用したりせずに処分します。 このブロックは既に養分を全て栽培物に奪われその旨味に化しているからで 再利用しない拘りと徹底振りが、 ぬめりが少なく旨みの凝縮されたしいたけを世に提供し得る秘密となる寸法です。

大杉しいたけ園ホームページ
大杉しいたけ園ホームページ

この製法を以て育てられるのが地元の方言で男前椎茸を意味する よかにせどんこ と命名された宮崎県都城市で 干し椎茸、原木椎茸、よかにせどんこの生産直売を営む 大杉しいたけ園 の提供する最強のしいたけです。 この大杉しいたけ園は江戸期から連綿としいたけ栽培を営む農家で 現在の当主は5代目となり、成る程100年以上もの年月に渡るノウハウが蓄積されたしいたけは、 実に大振りの肉厚にて良く見かけるその倍は優に持ち、 指で弾いても乾いた音を返す表面の堅牢さながら、 一度刃物で切り立った断面を圧力を加えながら見ればジューシーな汁が迸るのでした。 この逸品しいたけには平成10年度に(社)全国林業改良普及協会が開催する 全国林業経営推奨行事内に 林野庁長官賞 が贈られてもいました。

ホームページを見ればその生産能力を超えて注文が殺到し、 出荷までの目安として1、2ヵ月を要したのですから 今更宣伝なども必要ないでしょうが、 よかにせどんこのファンは恐らくこれに於いて憂慮すべき挑戦を敢行しました。 人気番組 ほこ×たて への出演、そしてしいたけ生産者の最強の敵、俳優の 勝村政信 さんへの挑戦です。

2013年1月20日のほこ×たて放映分を第3弾とする 勝村さんとしいたけ生産者の激しい戦いは従って過去2回、 絶対誰でも食べられるしいたけ VS 絶対しいたけが食べられない勝村政信 として実施されました。

  • 第1弾:日本の名水で栽培されたしいたけ(2011年5月23日放映)
  • 第2弾:味、香り、食感を改良したしいたけ(2012年2月5日放映)

スタジオに現れた勝村さんは開口一番 もぅ呼ばないで! と悲痛な叫びで訴えるのは街を歩いていても、 しいたけ、しいたけ、と指差され、食事中もしいたけを避けるばかりか それを娘さんに取分けるなどする行為が後輩の 向井理 さんに指摘され又もや注目を浴びてしまうからです。 この高名が挑戦者を引き寄せてしまうのでした。 今回のよかにせどんこを食べずしてしいたけ嫌いは名乗らせないと豪語する 大杉しいたけ園さんも、絶対に勝村さんでも食べられるしいたけ、と最早名指し(笑)。

よかにせどんこは目隠しして食べればしいたけとは思えない食感に まるでお肉のステーキやホタテなのかと被験者は述懐します。 タレントの柴田理恵さんも大ファンとかで3年前に食べてから虜になって今ではお取り寄せを繰り返し、 周囲に振舞えばお肉以上に美味しいステーキと大評判と取っているとか。 都城市道の駅山之口 レストランあじさい館 はよかにせどんこを油で揚げてタルタルソースを掛け、950円にて しいたけ南蛮 として売り出せばこれが大ヒットして売上倍増とか。

調理法にはしいたけ南蛮の他に定番の しいたけの肉詰め 栽培者の家庭では しいたけと山芋のかさね揚げ や肉の代わりにもなるとて しいたけカレー など豊富なメニューが揃いますが、 今回勝村さんに挑戦するにあたっては天麩羅が選ばれました。 ぬめりがないため天麩羅にすると外がカリッとして中がジューシーで 一噛みすれば中からしいたけのエキスが溢れ出る よかにせどんこの味が一番良く分かる調理法と言う訳です。

大振りの天麩羅に揚げられたよかにせどんこが4つに切られて 勝村さんの目の前に生産者が振舞います。 勝村さんはテレビ的に真ん中のものを取り上げ断面を視聴者に見せる配慮を忘れず さて口に運び運命の一口を齧ります。 会場が静まりかえる中暫く間を空けて不思議なことに勝村さんは二口目を口に運び再び齧りました。 期待が高まります。

此処からネタバレ、 お気を付けを、悪しからず…。

しかし矢張り判定は 大丈夫 ならぬ ごめんなさい にて残念ながらよかにせどんこはほこ×たての 嫌いな人でもたべられるしいたけ認定 は得られませんでした。 理由を問われれば叫ぶ勝村さん、 だって、しいたけだもん! と、無理なものは無理ですね(笑)。 この結果を受けて生産者は いやもう、涙が出そうです と笑いを誘えば向井さんも うちの先輩がすみません と応じスタジオは残念な結果ながら暖かい空気に包まれたのでした。

結果は残念なものと相成りましたが、 これでよかにせどんこの評判が下がろう筈もないのは謂う迄もありません。 上に書いたファンの心配は更に増される人気となるのが容易に予測されます。 その値段は1箱約15枚入りで3,150円と番組内で紹介されました。 参考迄に東京都中央卸売市場の統計情報検索結果 検索結果/産地別取扱実績(なましいたけ) (此方のサイトはサーバー能力の関係で結果表示に時間が掛かる場合が多い様です) を見れば以下の表のようになっており、 全国の年間を通したしいたけ1kgの値段は840円となっています。 よかにせどんこはグラム数こそ記されませんが、 本記事冒頭の栽培の手間を見れば些か高めに設定されていることになるのでしょうか。 そうならばそれも致し方ないと言うのはファンは勿論 その人気振りを見れば消費者も納得と言うことになるでしょう。

なましいたけ:検索結果/産地別取扱実績(単位:kg・円)
全国合計1月2月3月4月5月
数量6930567776912696166719880601937624569
平均価格840995909807715702
全国6月7月8月9月10月11月
数量519043496576417475446268801292830449
平均価格729708790973907896

番組内では一説に 宮崎県は日本のしいたけ栽培発祥の地と言われる、との言及もありましたが 一説としてさらっと流すに留めたのは流石に他に候補も多いからのようです。 大分県豊後大野市 〔※1〕 であるとか、 静岡県伊豆市湯ケ島 〔※2〕 であるとか、 主にそれは大分県及び静岡県に比定される説が多いようで、 なかなか宮崎県をその発祥地にするには難しい面もあり プッシュしたい宮崎県側の意向もこの程度に抑えられたのでしょうか、 影響の大きな人気テレビ番組ですからその辺も配慮した構成が覗えます。

ほこ×たてではかたむき通信でもその対決を2度取り扱った番組伝統の対決 どんな金属でも穴を開けられるドリル VS 絶対に穴が開かない金属 〔K1・2〕 に見られる様に白黒はっきり判定の付く技術系の企業が活躍する構成が代表的なものです。 今回の様な好き嫌いと言う個人的嗜好に大きく左右される題材を嫌う人も 多いのはネット上でも時折見かけはするのですが、 これはこれでひとつのジャンルをなしていて 勝村さんのような街で指差されるようなキャラクターも出来しては 番組としても視聴者の声も聞きつつも この構成を推し進めるのも一興だと思われるのです。

かたむき通信参照記事(K)
  1. ほこ×たて効果で就活生に大人気の日本タングステンの戦歴(2012年5月12日)
  2. ほこ×たて伝統の対決再び~不二越VS日本タングステン(2013年1月5日)
参考URL(※)
  1. 発祥の地コレクション/しいたけ発祥の碑
  2. 椎茸栽培発祥の地
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