全国初となる行政書士法人セントレッグの破綻とモータリゼーション

行政書士と言えば会社設立などの際にはお世話になり、 当該知識を与えてくれる頼りになる存在です。 行政書士になるには合格率10%程の国家資格を突破しなければいけませんから 優れた当該技術、知識は担保されていることとなります。 起業にあたっては随分と行政書士氏のお世話になり 大いに恩を感じる向きも少なくない筈です。

しかし起業ブームとは言え世に其れ程毎度毎度需要の発生するものではないでしょう。 それに弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の有資格者には同時に与えられもしますから オマケ資格と揶揄されることも少なくないのも確かでしょう。 また行政書士と言えば運転免許試験場前の 代書屋 と言うイメージもあり、其れについてはは余り嬉しくない評判も少なくはないようです。

起業の際には自ら書類を作成する場合も少なくありませんし、 免許の更新時に至っては頼む方が少ないものです。 ネット上に飛び交う情報は其れを後押ししもするでしょう。 また上記したように他の4資格者も行政書士業務を行い得ますから 当該事案に即した資格保有者に依頼するのも極々当たり前に行われます。 行政書士業務に於いては従ってかなり競争が激しく 行政書士一本の資格者は厳しい状況が推し量られるものです。

行政書士資格の保有者数を見てみればその登録者数は 2013年(平成25年)2月現時点で43,474名とされています。 〔※1〕 単純計算で各都道府県毎に1,000人程の有資格者が存在することになりますから、 これは如何にも過当競争が発生しそうではあります。 またこの競争に勝たんとして法人組織化された行政書士法人は355法人とされています。 これは行政書士法の改正が2003年(平成15年)に実施されるに伴い認められた制度で 僅か10年に有資格者の組織としては数百の法人化がなされるのは なかなかに活発なるものと思えるものです。

数が増えれば上手く行かない組織も増えるのは確率的に当然でもありました。 遂に全国初の行政書士法人倒産の事案が発生したのです。 行政書士法人セントレッグ は設立が2014年(平成16年)の8月ですから法人化が認められた翌年の老舗と言えば老舗でしたが 2013年2月12日に名古屋地裁より破産開始決定を受ける仕儀と相成りました。 負債総額は約3億1千万円と伝えられます。 東京商工リサーチの配信記事 〔※2〕 より以下引用します。

複数の行政書士を擁し、大手自動車ディーラーをはじめ相応の顧客を抱えていた。 業務は自動車ディーラーからの車庫証明取得を中心に、比較的安定していたが、本業外で借入依存が高まり、 先行きの経営改善も見込みが立たないことから破産申請に至った。

上記引用からは2つの事象が見えて来ます。 セントレッグは本業として車庫証明取得を自動車ディーラーから請け負い順調であったこと、 経営に悪影響を齎したのは本業外業務にてこの借入依存度が昂じて今回の倒産を招いたこと、です。

従って矢張り行政書士業務に取っては自動車関係の業務は稼ぎ処であるのが分かります。 代書屋に見られる運転免許証更新、今回の倒産案件に見られる車庫証明取得は勿論、 加えて車検代行に名義変更や廃車も行政書士の業務の主要なものとしてあるのです。 此の状況を見れば若しかしたらモータリゼーションの一番の恩恵を受ける業種は行政書士ではないかと思えてくる程です。 孰れ行政書士とはどうやら現代のモータリゼーションと切り離せない存在にあるのは確かなようです。

しかしそれも今や有資格者が増え過ぎたとなればパイを喰い合う過当競争に突入しているのが容易に推察されます。 然ればこそセントレッグも新たなる道を模索したのかも知れません。 安定的とされた業務の取り合いとなれば価格競争に陥らざるを得ない訳で その状況下には新たな道を求めて模索するのを余儀なくされるのは致し方ないでしょう。 この推測が的を得ているならばセントレッグを嚆矢として 以降経営難に陥る行政書士法人も出て来るでしょうし、 現在その殆んどが10人以下で小規模に運営される行政書士法人の合従連衡が進むのかも知れません。

使用写真
  1. Seals.( photo credit: MIKI Yoshihito (´・ω・) via Flickr cc
参考URL(※)
  1. 行政書士(Wikipedia)
  2. 行政書士法人セントレッグ | 倒産速報(東京商工リサーチ:倒産速報:2013年2月13日)
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