Apple Watch正式発表~iWatch関連記事インデックス

幾度もかたむき通信に関連記事を配信した iWatch が愈々正式に姿を現したのは2014年9月9日カリフォルニア州クパチーノのフリントセンターに於いてでした。 フリントセンターは故スティーブ・ジョブズ氏が画期的パーソナルコンピュータ Macintosh を発表した故地でもあり、創業者に倣うApple社現経営陣の強い意志が伺えるようです。 毎年恒例のiPhone新機種となる6及び6 Plusと共にApple社が満を持して発表したスマートウォッチは正式に Apple Watch と命名されました。

The original Apple watch, photo credit:Intel Free Press photo credit by Intel Free Press
The original Apple watch, photo credit:Intel Free Press photo credit by Intel Free Press

Apple Watchの詳細は既に日本語に於いてもアップル社公式サイトに該当ページ[※1] が用意されていますので譲りましょう。 スペシャルイベントでは2サイズ3タイプ34種が用意され価格は 最安価格が349米ドル、日本円では3万5千円から提供されるものと公表され、中には18金モデルの Apple Watch Edition も用意されておりネット上では此の値段を予想する戯れ的試みなども見られます。 発売時期は来年2015年早期(in early 2015)とされていますが正式な期日は未だ公表されていません。

数年間も噂され既に耳馴染んだ感もある iWatch と言う呼称を何故捨てたかについては弁理士の栗原潔氏に依る考察記事[※2] も配信されており、矢張りかたむき通信2013年7月4日の記事[iW4] に記した通り全世界的に商標登録している上での決定であるのに違和感を述べられます。 其の原因には此方も2014年8月27日、かたむき通信に配信した処[iW6] のSwatch社が商標登録済の iSwatch が挙げられ類似性が指摘されています。 此のかたむき通信の記事タイトルには Swatchの憂鬱 と関した通りSwatch側が深刻に考える処であるのは明々白々ですから交渉が難航するのは確かでしょう。 水面下では何某かの折衝が有ったのかも知れません。 栗原氏が述べられる様にジョブズ氏存命であればiWatchで通したかも知れないとするのは大いに同意出来る処です。

大概がアップルと言う社名もビートルズの設立したレコード会社と同名で 当初は英国と米国の物理的距離も有り事業分野も音楽とコンピュータと懸け離れた感も有り 縦しんばジョブズ氏の憧れから名付けられた其の物なれども問題とされはしませんでしたが アップル・コンピュータ社からコンピュータが取れアップル社と改名した際には 音楽事業はコンピュータ事業とは切っても切れない関係になっている中、 ジョブズ氏独特の現実歪曲空間生成力を以て我が物としてしまった気もします。

Flint Center De Anza College, Cupertino, California. Retouched. photo credit:David Sawyer photo credit by David Sawyer
Flint Center De Anza College, Cupertino, California. Retouched. photo credit:David Sawyer photo credit by David Sawyer

今回の正式名称発表迄にかたむき通信に配信した Apple Watch 登場以前の噂の通称名 iWatch としての関連記事の索引を今後の便利の為に以下に作成し置きます。

かたむき通信iWatch関連記事(iW)
  1. Apple純正スマートウォッチ(iWatch?)の可能性(2012年12月29日)
    かたむき通信へのiWatch初登場は2年前の年末も押し迫った頃、 タイトルに冠するもクエスチョンマークが添えられます。 此の頃既にスマートウォッチ分野は静かに台頭していました。
  2. 第6世代iPod nanoをスラップ腕時計にするリストバンド(2013年1月12日)
    ウェアラブルコンピュータの色濃いスマートウォッチ分野に於いては既にフィットネス機能は重視されており、 今やアップル社の最新モバイル基本ソフトウェアのiOS8にもヘルスキットとして結実しています。 第6世代iPod nanoを腕時計代わりに腕に巻けるツールの充実からiWatch待望が伝わります。
  3. Appleの腕時計型コンピュータの特許取得で現実味を帯びるiWacth(2013年2月24日)
    アップル社の特許取得内容からiWatchの可能性が詮索されます。 此の時の特許内容のフレキシブルディスプレイは結果的には採用はされませんでした。
  4. iWatchがアップルに依って漸次全世界的に商標登録され高まる期待(2013年7月4日)
    全世界的にiWatchの商標登録が確認され登場の可能性が詮索されます。 結果的に採用されなかったのは本記事に記したSwatch社との関係があるのかも知れません。
  5. Ritot~iWatchの影を薄れかねさせない未来型腕時計の登場(2014年7月23日)
    スマートウォッチ分野には盛んなベンチャーですが吾人の思う処のiWatchを髣髴とさせるガジェットも クラウドファンディングプロジェクトとして立ち上げられています。 此の時もiWatchの噂は付いて回り特許関連の情報が出回りました。 ストラップに実装される iTime と称されるデバイスは結果的には採用されませんでした。
  6. SWATCHの憂鬱~スマートウォッチショック(2014年8月27日)
    従来型腕時計の代表Swatch社を初代Nicolas Hayek(ニコラス・ハイエック)氏から譲り受けたジュニア氏の 眉間に皺を寄らしめる大きな影を落としたのはアップル社のiWatchに違いないでしょう。 2014年9月16日の追記には遂に正式名称Apple Watchが登場しました。
  7. スマートウォッチ勢の大攻勢〜LG G Watch R、Samsung Gear S、そしてiWatch(2014年8月29日)
    発表前夜です。 露払いと言っては韓国両勢に申し訳ないでしょうか。
  8. IFA2014開催期間中新スマートウォッチ続々登場(2014年9月5日)
    韓国勢を皮切りに続々とスマートウォッチ分野への参入が引きも切らず続きます。 如何にスマートウォッチ分野が期待される市場であるかが窺い知れます。 まるで凱旋パレードのようで此の後の目玉には愈々 ジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)氏の自信漲るiWatchが座したオープンカーが続く様子が髣髴されます。 2014年9月19日追記に正式Apple Watchが見えます。
  9. インテルとフォッシルの醜い真実への挑戦(2014年9月8日)
    Apple Watch正式発表の正しく前夜です。 勃興著しいスマートウォッチも無骨なデザインが弱点として挙げられ 此の現状をiWatchが打開する旨予言されています。

Apple Watchは発売前にしてSwatch社を憂鬱足らしめる影響力を示していますが 腕時計界の現中心地にして高級腕時計の総本山足るスイス勢以外の反応を一つ示して本稿を締め括りましょう。 其の情報を紹介する記事[※3] は以外と言うべきかApple社に関しての記事を主に配信するオンラインメディア 9TO5Mac より齎されました。 GUESSゲス のCEOは自らのスマートウォッチ計画を明らかにするに際しApple Watchの登場を歓迎すると嘯いた、 とするもので嘯くとはしましたが原題には pretend が用いられており、記事内には歯を食いしばって(clenched-teeth)なる表現もあってなかなか9TO5Macらしくアップル寄りの感もあります。

GUESS社は1981年、アパレルを以て創業された企業で当初はジーンズで名を馳せましたが 総合ファッションブランドを目論見、1984年腕時計事業に進出しました。 基本的にはデザインを主とし構造はOEMで賄うファッション腕時計ブランドで 価格帯は日本円で数万円から十数万円の当たりが売上げを支えているのは 既存腕時計の代表足るSwatchグループで言えばSwatchブランドに相当し そしてちょうど最安値を3万5千円とされるApple Watchと競合するものと考えて良いでしょう。 メッセージに世界初のスマートウォッチを自負しサイトタイトルにも謳う (The World's First Smartwatch with Voice Command.) Martianマーシャン Watches[※4] を機構に採用するとさり気なく盛り込むのは当該社がスマートウォッチ分野に進出するに 上手くApple Watchをプロモーションに利用する腹積もりでもあるのでしょうから、 9TO5Macを通して世に知られるのは余り本意ではないのかも知れません。

9TO5MacではGUESS WatchのCEOである Cindy Livingston 女史からApple社CEO Tim Cook 氏に宛てた手紙の全文が閲覧出来ます。 先ずは腕時計事業参入への歓迎と感謝の意を表し、 30年以前にはファッション腕時計ブランド足るは唯にSwatch社と我が社のみとの自負が綴られ、 続いて近年のスマートフォンの普及などによる腕時計界縮小に惹起される恐れと挑戦の必要性を素直に認め、 しかし此の流れの先のスマートウォッチ勃興の潮流が吾人の腕に再び腕時計を巻かしめる状況を機会到来とし、 マーシャンの機構を以てスマートウォッチ分野へ参入する意向が語られるなど、 正しく既存腕時計界関係者の悲喜交々が暗に、しかし容易に読み取れる一文へと期せずして昇華され、 なかなかに面白い読み物となっていますので一読をお奨めします。

追記(2020年4月26日)

Martianマーシャン Watches は2018年5月24日付けで業務を停止[※5] しており、Webサイトも閉鎖[※4] されています。 2012年8月16日にクラウドファンディング Kickstarter を利用して立ち上げられた当該社は CES 2013ではCNETの Best of CES Finalist となり Popular Mechanics CES 2013 Editor's Choice Award を、2013年4月にはエジソン賞を受賞しましたが、 経営自体は思わしくなかったようで、資金に行き詰まり、 2018年には資金調達に失敗しての仕儀となったようです。

使用写真
  1. The original Apple watch( photo credit: Intel Free Press via Flickr cc
  2. Flint Center De Anza College, Cupertino, California. Retouched.( photo credit: David Sawyer via Flickr cc
参考URL(※)
  1. Apple Watch(Apple)
  2. Apple WatchはなぜiWatchではなかったのか?(Yahoo!ニュース:個人:栗原潔:2014年9月10日)
  3. Guess Watches CEO pretends she welcomes the Apple Watch as she announces GUESS's smartwatch plans(9to5Mac:2014年9月15日)
  4. Martian Watches - The World's First Smartwatch with Voice Command.(マーシャン公式サイト:2020年4月26日現在Webサイト閉鎖確認)
  5. Martian Watches(Wikipedia)
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