タグ・ホイヤー・カレラ・スマートウォッチ2015バーゼルワールドに登場す

往年のレースファンには Tagタグ・ Heuerホイヤー と言えば今は亡き音速の貴公子 Ayrtonアイルトン・ Sennaセナ を思い出される向きも多いかも知れません。 3度のF1ワールドチャンピオンを獲得しモナコマイスターとして6度の優勝を飾るなど打ち立てた記録は数知れずとも 其れ等を遥かに凌駕して記憶に残るレーシングドライバーとして吾人に脳裏に焼き付いているでしょう、 そんな彼の腕にはいつもタグ・ホイヤーが巻かれていたものでした。

Magny-Cours F1 track, France photo credit by Mic
Magny-Cours F1 track, France photo credit by Mic

時間を競うレースと共に在ったタグ・ホイヤーは音速の貴公子に選ばれ正しくレース時計の代名詞としての存在感を保っていました。 しかし今時代の変遷と共に在るべき決断が下されました。 スマートウォッチモデルの登場です。 2015年3月18日ロイターの伝える処となりました。 配信記事[※1] に依れば Apple Watch[K1] に対抗すべく今週開催の世界最大の腕時計フェア Baselworld にてインテル社と協業の上生み出されたスマートウォッチを発表するとあります。 タグ・ホイヤーの代表的モデル Carreraカレラ のシルエットを踏襲しスマートウォッチならではの機能を搭載したものとなるとしています。 ロイターのインタビューに応えたのはかたむき通信でもお馴染みの腕時計界の巨人 JEAN-ジャン・ CLAUDEクロード・ BIVERビバー[K2] にて、皆さんはまるで普通の時計を腕に巻いているような印象を受けるでしょう、と述べています。

Blancpainブランパン を復活せしめ新興 HUBLOTウブロ を勃興せしめたビバー氏[K3] は今やタグ・ホイヤーの代表として、そして当該社を傘下に治める腕時計3大グループの一つ LVMH(Moët Hennessy-Louis Vuitton S.A.:モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンS.A.)[K4] の代表として此れ又3大グループの一角を占める Swatchスウォッチ グループの代表 Nickニック・ Hayekハイエック 氏と、スマートウォッチは腕時計産業界全体のパイを広げるものであるとの認識で一致しているとのことです。 Apple Watchを身に着けた若年世代はやがて本物の腕時計を手に入れたいと思い始めるに違いない、と言う訳で、 Apple Watchの成功は未だ確定ならずして既存腕時計業界は対抗手段を矢継ぎ早に繰り出しており、 かたむき通信にも取り上げた TissotティソT-Touch[K5]Swatch Touch[K6] らしきモデルなどが例に挙げられています。

ロイター記事は加えて3大腕時計メーカーの一つ Patekパテック Philippeフィリップ の代表氏のスマートウォッチに対する言を取り上げていますが 其れは取りも直さず未だ市場に現れてもいないスマートウォッチの代表モデルたるApple Watchを強く意識している現われであるのは 上にも登場のハイエック氏が近年取り付かれて已まない憂鬱[K5・6] でもかたむき通信にものした処です。

CPUメーカーのインテル社が頃日其の技術力を以て腕時計メーカーと協業するのをかたむき通信に伝えるのは2度目[K7] になります。 インテル社に取っては不得手なファッション分野を補いIT業界で鎬を削るアップル社との新興スマートウォッチ分野で対等に渡り合うために、 タグ・ホイヤー社に取ってはiPhoneで世界一の企業の位置をものにしデザインに於いても高評価を恣にしている黒船アップル社に立ち向かうために、 両者共に闘うには心強い味方であることでしょう。 以て嘗てレーシングヒーローたるアンバサダーの手首に纏われたタグ・ホイヤーは シルエットは其の儘にスマートウォッチの機能を搭載し今又時代を代えて自らを再び現代のアンバサダーの腕に巻かしめるのでしょう。 孰れにせよカレラ・スマートウォッチは今注目せざるを得ないモデルとなります。

追記(2015年3月20日)

ロイターの報を受け、engadgetも2015年3月19日本日9時には詳細が明らかにされるだろう[※2] と記事を配信しています。 またBBCはバーゼルワールド直前情報として未確認ながらもタグ・ホイヤーがGoogle、インテルと協業する噂を報ずる処[※3] からカレラ・スマートウォッチはAndroid端末と考えられますが、 記事中にビバー氏がiPhoneユーザーであるのを写真入で伝えてもいるのも趣深くあります。 GIZMODEも遅れてはならじと同情報を報じます[※4] が2014年7月5日のタグ・ホイヤー社の重役をアップル社が引き抜いた記事[※5] を添えて独自色を出しています。

追記(2017年3月22日)

タグ・ホイヤー社では本記事で紹介した スマートウォッチ を既に世に送り出していますが其のアップデートが順調に供給されている情報が ブルームバーグが2017年3月16日に配信した記事[※6] から齎されます。 記事はスウォッチ社が一定の勢力を得たスマートウォッチ勢に対抗する施策を報ずるものですが 其れはLVMHグループの代表たるジャン・クロード・ビバーの既存スマートウォッチ勢の流れに沿う戦略とは対照的であるとされます。 即ち頃日公表されたタグ・ホイヤー・スマートウォッチのアップグレード版はGoogleとインテル社が開発したとするものです。

追記(2021年7月15日)

タグ・ホイヤー社が本記事の Carreraカレラ スマートウォッチの延長線上に タグ・ホイヤー コネクテッド × スーパーマリオ リミテッドエディション を発売した旨、 2012年6月23日の記事スーパーマリオ腕時計彼れ此れに追記しました。

使用写真
  1. Magny-Cours F1 track, France( photo credit: Mic via Flickr cc
かたむき通信参照記事(K)
  1. Apple Watch登場前夜関係各界喧騒す(2015年2月28日)
  2. ウブロの腕時計の精度を影ながら支える静岡県の加工機械とビバー氏の為人(2013年7月20日)
  3. 新興高級腕時計ブランドHUBLOT(ウブロ)~書評~成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか。(2013年1月3日)
  4. ルイヴィトン~トランク職人発祥ファッションブランドは自社製ムーブメントを携える腕時計マニュファクチュール(2012年4月10日)
  5. SWATCHの憂鬱~スマートウォッチショック(2014年9月16日追記)
  6. SWATCHの憂鬱~スマートウォッチショック(2015年2月6日追記)
  7. 世界一高価なウォッチと言う挿話(2014年11月15日)
  8. インテルとフォッシルの醜い真実への挑戦(2014年9月8日)
参考URL(※)
  1. LVMH's Tag Heuer surfs wave of smartwatch partnerships(Reuters:2015年3月18日)
  2. Reuters: Tag Heuer teams up with Intel to challenge the Apple Watch(engadget:2015年3月19日)
  3. Baselworld: Will the watch industry get smart?(BBC News:2015年3月19日)
  4. Tag Heuer and Intel Are to Challenge the Apple Watch(GIZMODE:2015年3月19日)
  5. Now, What Could Apple Possibly Want From a Senior Tag Heuer Executive?(Gizmodo UK:2014年7月5日)
  6. Swatch Takes on Google, Apple With Watch Operating System(Bloomberg:2017年3月16日)
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