山わさび醤油漬~北海道特産の激辛ご飯のお供

日本人に取っての主食と言えばお米を炊いたご飯であり、 飽きの来ないその穀物は古来吾人に愛されて今に至るのでした。 この白いお米に小鉢から一掬い、上に乗せればお膳が一つも二つも進むという ご飯のお供 は長い歴史の中で生み出された日本人の知恵と言えるでしょう。

全国にも知られるご飯のお供と言えば 納豆に卵かけご飯に鰹節を用いてはネコマンマなどでしょうか。 お新香とて同様ですが、ただ一括りにするも地域、地域にそれぞれの味があるのもご存知の通り。 そしてこのご飯のお供は日々新開発がなされているようで、 北海道の開拓時をその黎明期とすれば明治のご一新より 北海道民の食卓に上った 山わさびの醤油漬 があるそうで、 人気テレビ番組、 秘密のケンミンSHOW に2012年9月13日、以下の品々と共に ケンミン辛ウマ祭 の一つとして登場しました。

  • 茄子のからし漬け(山形県庄内地方)
    山形県庄内地方で昔から栽培されていたアブラナ科の辛子と 民田茄子を和え、漬け込んだ食品。
  • みまから(徳島県美馬市)
    普通の唐辛子の3倍、ハバネロに匹敵する辛さと言う美馬市特産の青唐辛子 みまから唐辛子 を使った超激辛の薬味。 美馬市名物を目論み開催された2004年美馬市の特産品の家庭料理コンテストに 出品された食品で今や人気を呼び年間2万本を生産する。
  • ほととぎす巻(神奈川県小田原市)
    小田原名物、紫蘇と落花生から100年前に考案された。 赤紫蘇で巻かれた餡には練り辛子、ピーナッツ粉、白ゴマ、砂糖、水飴、等が含まれる。 命名の由来は食後にその辛さから発する言葉、 特許許可局 からとか。

流石地域色をコンセプトにするだけあって 特産品を上手く利用したご飯のお供が多いようです。 歴史的にもそれ程古くないけれども今ではすっかりケンミンに馴染みのある ご飯のお供となっているようですね。

さて山わさびの醤油漬け、 その山わさびとは北海道民ならぬ一般には余り聞きなれない食品です。 お刺身などには必須、静岡県は伊豆などが有名な産地の本山葵はお馴染み緑色をしていますが、 山わさびは茶色い畑で取れる根菜なのでした。 清流と結び付きの強い本山葵とは生育環境が全く異なるようですね。

従って山わさびとは良くぞ名付けたものだと思いますが、 これ実は英語で horseradishホースラディッシュ と呼ばれる東ヨーロッパが原産地のアブラナ科の耐寒性の多年草で、 明治時代に日本に食用として持ち込まれたものなのです。 依って山わさびの他には 西洋わさび とも呼ばれるのでした。 生育のための気候風土がちょうど北海道に合っていたのですね。 斯くして必然的に北海道民の食卓を彩ることと相成ったのです。

食した方の印象では辛さは本山葵の1.5倍ほどだそうで、 だとすれば本山葵でさえ少し多めに寿司ネタに盛り込まれれば鼻に抜ける感じは相当ですから、 かなりの辛さの食材だと言えましょう。 その味をまた比較すれば舌に辛味の残る本山葵に対し 山わさびは辛味が後を引かないとも言います。

北海道には昭和にはこの山わさびは各地に自生もして それを抜いて来ては食卓に醤油と和えて上していたのだと言います。 西洋ではステーキにローストビーフ、ボイルドビーフやタンなどの肉料理の 薬味として主に活躍するのだそうですが、 日本に遣って来てはご飯のお供として供されるのが実に面白いですね。

何と言っても山ワサビの醤油漬けは温かいご飯に乗せて食すのが 最もポピュラーないただき方なのだそうですが、 勿論ワサビの名にし負う、刺身や冷奴の薬味としても行けるとのお話しです。 驚くことに濃厚なカマンベールチーズに乗せてくど味を消して ワインと共にいただくメニューもあるとか。

そのように北海道民に開拓時代から親しまれてきた山ワサビは 山ワサビの醤油漬けとして30年程前に商品化されました。 百留屋ひゃくとめや さんと言う北海道は北見市のお店がの考案なのだそうで、 今では道内の複数の企業で製造されています。 その製造時には辛味の成分が飛散するため、 防毒マスクを付けての作業と言うのだから恐れ入ります。 斯くして細かく粉砕された山わさびは 醤油や水飴、その他調味料と調合された醤油ダレで瓶の中に和えられ店頭に並ぶ寸法と相成ります。

このように瓶詰めの山ワサビの醤油漬けだけでなく その旬である春夏を中心に生の山わさびがスーパーでも販売されるとのこと、 独自の醤油ダレを考案し自家製山ワサビの醤油漬けを拵え食すのも好いかも知れませんね。

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