産経の捏造、謝罪記事と新聞報道の衰えぬ影響力に対するネット台頭に拠る抵抗

しばしばかたむき通信にもニュースソースとして利用しもし、 その取材能力には矢張り一目置くべきであるのは認めざるを得ません。 かたむき通信2012年5月22日の記事 ルネサスエレクトロニクス、6,000人削減リストラ策等伝える一部報道に拒否反応示す には読売新聞の先走ったかに見えた報道がかなりの正確性を持っていたことに驚かされもしました。

しかし今回の産経新聞に限っては明らかに失態であったようです。 自衛隊の演習に関して東京都の11の区役所が取った対応を捏造し、 揃ってクレームを受けて暗に謝罪した処、 社内にもそれが伝わらず自身の名物コラムで当該捏造記事を ターゲットとする読者の琴線に触れるよう仕立てたコラム記事に引用、 火に油を注ぐ結果となり大いに顰蹙を買ったと言う顛末で 木走日記さんが2012年7月25日の記事 産経が早くも謝罪記事掲載に追い込まれ赤っ恥でござるの巻 にとても巧く分かり易くまとめられています。

この産経新聞の捏造記事が明らかになったのは 当該記事を読んだ区民の居住するそれぞれの区役所へのクレームが殺到したからで これがかたむき通信ならば何のことは無しに済んだでしょうが、 その影響力と諸刃の剣、直ちに区役所の知る処となり 直ちに謂れも無い捏造へのクレームが産経新聞に及んだのでした。 これを見れば凡そ新聞報道の影響力がまだまだ衰えぬものであるのがはっきり分かります。

これに対して11の区役所が揃って取った対応が自己サイトへの抗議文の掲載でした。 これが現代を反映していていて実に興味深い処です。 此処に於いてホームページが自己メディアとして確り機能しているのは特筆すべきでしょう。 またネット界では今隆盛を極めるソーシャルメディアにより拡散がなされますから、 流石に大手新聞社も無視は出来ません。 ここで又、産経が取った態度が極秘裏の謝罪と言うのも新聞社の体質を表していて面白いものです。

また縦割り組織の故か、また秘密体質の故か、 自社内にも問題記事の共有が行われず表立った名物コラムで読者と共有されたのも 此処迄行くとコントのようで面白いですね。

これに対してはまたまた豊島区役所が最抗議文を掲げたそうで これもネット上に於ける掲載でした。 そして遂に僅かなスペースながらも産経は謝罪文に紙面を割くことになったのでした。 今はこのスペースが余りに些少に過ぎるとネットで燃え上がっている場面です。

さてさてこう見てみると、 以前ならば大手新聞社に独善的な報道をなされてしまえばなかなか取り返しのつかないものでした。 対抗紙に抗議記事を掲載するにもテレビやラジオ、雑誌などに対抗手段を見付けるのも なかなかに容易ではなかったでしょう。 しかし今や独自メディアとしてのホームページを擁する各区役所は そこに直ぐ様抗議文を掲載すると言う手段に訴えたのでした。

勿論、まだまだ大手新聞の報道に対抗し得るだけのリーチ力を持つ筈もありません。 影響力は極々僅かなものです。 それでも即座に抗議の意向を公表出来るのは如何ばかりか力と感じられるでしょう。 それを堅物の代表たるお役所が実践しているのは ネットの重要性が凡そ周知されるに至った発露と見て取れます。 これこそ大手マスメディアから此処の独自メディアへの移行の端境期を示す事象なのかも知れません。

そしてまた、都合の悪くなった記事はネット上からは削除するのみ、 と言う姿勢が炎上に注ぐ油となるのを知ってか知らずか、 なお大手新聞社に共通する部分であるのも、 ストック型のメディアであるインターネットに適応し切れない体質を 顕わに露呈してしまってもいるようです。

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