日食グラスをアフリカに~たちばな天文台が呼び掛ける世界を結ぶ天体ショー

織り成す天体ショーを折に触れかたむき通信にも伝えました[K1~4] が、特に金環日食や金星の太陽面通過にはその観測方法に注意を促す処でもありました。 不適切な観測方法で望ましくない事態が招かれたのも記事[K5] にした処です。

これを防ぐに最も適切なのが 日食グラス の利用であるのも何度か記事に記載したものですが、 これは勿論国立天文台始め多くのメディアや学校機関を通しても周知されたようで 今年2012年に売れた日食グラスの本数は何と3,000万本であるそうです。 これを有効利用すべく呼び掛けを宮崎県都城市の たちばな天文台 々長 蓑部樹生 さん[※1] がしています。

そのキャンペーンは アフリカの恵まれない子供たちに送ろうキャンペーン と銘打たれる通り日食グラスを集めてアフリカへ送ろうと言うもので、 リリースも配信[※2] されています。 その目標は100万個、絶対的に大きな数字ではありますが、 流通した3,000万個を考え日本人の気質と好意を鑑みれば 決して無理な数字ではないのではないでしょうか。

日食は実は月食よりその起こる頻度は高いものですが、 その頻度の逆転した印象があるのは日食は観測地域が限られる[K3] からでした。 従って観測地域を限らなければ日食は月食より頻繁に発生し、 それが今年は偶々日本に起こったのですが次には数年を待たねばいけません。 処がこれが地球上に於いては即ちアフリカ大陸では来年2013年の11月3日に 金環皆既日食 という凡そ珍しく、感動的な天体ショーが発生するのだそうです。

ここに蓑部さんは日本で数年は使用されない日食グラスが余っているのであれば、 来年にも必要とするアフリカに贈れば良いではないか、と発案したのでした。 当地は周知の通り政情不安と貧困に苦しむ地域の多い大陸でもあります。 ここに人知を超えた天体ショーへの関心が高まり、更には実際に観測がされれば 将来への夢や希望を抱け、健康と平和への道しるべになるのではないか、 との蓑部さん主張は大いに首肯出来る方の多い処ではないでしょうか。 更には大量に怪しげな眼鏡が遠い極東から届けられれば、 如何に情報不足を心配される国々と言えど、 日食への関心が高まるのも期待出来ると思われます。

金環日食に引き続き金星の日面通過が発生する際のかたむき通信記事では 押入れの日食グラスが直ちに役に立つ筈と述べた[K2] ものの、さて日面通過が過ぎればそれはまた押入れの中、 であれば蓑部さんの呼び掛けに応じるのもまた床しくある気がします。

たちばな天文台リリース[※2] にもありますが、呼び掛けに応じるにはたちばな天文台へ直接持参するか送付、 または地域で多くまとめられれば天文台から回収に来てくれるそうです。 その回収期限は来年2013年の3月31日で、 問い合わせ先は以下となっています。

  • たちばな天文台
    〠889-4505
    都城市高崎町大牟田1461-22
    ☎0986-62-4936
  • NPO法人たかざき星を見る会事務局
    〠889-4505都城市高崎町大牟田1178-46
    ☎0986-62-2211
かたむき通信参照記事(K)
  1. 5月21日国を挙げての大イベント金環日食~国立天文台HPが分かり易く説明(2012年5月19日)
  2. 金星の太陽面(日面)通過は6月6日~世紀の天体ショー、アンコール(2012年5月21日)
  3. 2012年6月4日部分月食~金環日食と金星日面通過の間の天体ショー(2012年6月4日)
  4. 2012年6月6日水曜日 今世紀最後金星日面通過は本日6月6日~金環日食、部分月食と比較してみた
  5. 金環日食の裸眼観察者約700人が顕在化、内約80名が目に異常(2012年8月26日)
参考URL(※)
  1. 日食グラスをアフリカに…来年へ提供呼びかけ(読売新聞:2012年9月10日:2019年6月21日現在記事削除確認)
  2. アフリカの恵まれない子供たちに愛と希望と平和の輝きを~日食グラスを送ろうキャンペーン~(たちばな天文台:PDFファイル)
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