ソフトバンクが携帯キャリア業界2位奪取~有言実行孫正義社長にドコモ、au衝撃

何百件、何千件と在るお蕎麦屋さんで1位を目指すのは難しいが、 僅か数社しかない携帯キャリアならそれも可能だ、 と以前豪語したソフトバンク総帥の 孫正義 氏ですが、それもだんだん現実的なものとなって来ました。 ソフトバンク社がイー・アクセス社を買収統合し、 契約者数に於いてau・KDDIを抜いて2位に躍り出ました。 〔※1~3〕 毀誉褒貶の喧しい氏ですが、 なる程有言実行の人であるのは確かなようです。

この経営統合は業界関係者に取っても青天の霹靂、急転直下のものでした。 恐らくiPhoneに於いて直接対決の様相を呈しているKDDIなどでは 大変な驚きを以てこのニュースは迎えられているのだろうと思われます。 これもソフトバンク及び千本倖生氏率いるイー・アクセスが共に トップダウンでスピーディーな経営を実践して来た延長線上にあるものです。 孫正義氏がこの事案に腹を括ったのはTwitter上でユーザーの熱い要望である テザリング について やりましょう とつぶやいた時であると言います。 〔※1〕

テザリングとはスマートフォンをモバイルルーター端末として扱えるようにする技術です。 スマートフォンを通してPCやタブレットがインターネットに接続出来る様になるのを 孫正義氏を動かすほど、ユーザーは熱望しているのでした。 これをキャリアとしてユーザーに提供するには モバイルインフラの充実が不可欠となります。

考えてみればソフトバンク社に取ってはイー・アクセス社との経営統合は 一挙に様々な問題を解決する妙案でもありました。 かたむき通信にも伝えたように両社は先頃、 ソフトバンクは900MHz、イー・アクセスは800MHzと 互いに念願のプラチナバンドの使用許可を取得した処でした。 〔K1〕 この周波数帯が異なることが統合に依って旨みを発揮出来るものとなるのは当然です。

また基地局の増設は近年変わらず急がれているのは周知でしょう。 スマートフォンも繋がらなければ唯の箱、と言う訳です。 此処に於いて両社が統合することで 一挙に両社ユーザーの繋げられる基地局が広がることにもなるのでした。 特に最近では LTELong Term Evolution) に対応した基地局の増設が急務です。 〔K2〕

LTEの周波数効率は3G規格に比べ2~3倍以上、 その接続時の速度も最大30倍ですからコスト減と共に 通話音声の品質も向上も可能とユーザーには良いこと尽くめなのでした。 従来のフィーチャーホンと呼ばれる携帯電話なら未だしも インターネット接続前提のスマートフォンに於いてLTEは不可欠のものであり、 iPhoneを提供するアップル社もキャリアにLTE対応を条件として挙げているほどです。 このLTE基地局に敷設に於いて従来のものの統合に加え、 新基地局敷設も両社の効率的な協力が可能となる訳です。

そして冒頭に記したように今回の経営統合を以て 契約数シェアランキングに於いてソフトバンクは2位に躍り出ました。 統合前後のシェア数を以下表にまとめました。

企業名現在順位統合後順位
NTTドコモ44.7%144.7%1
au26.5%226.5%3
SoftBank25.7%328.8%2
EM3.1%4--

以てして孫正義氏はKDDIとのiPhone競争への自信を覗かせます。 イー・アクセス社の3.1%のシェアは3.1%のみにはあらず、と言う訳です。 KDDIはうかうかしていれば今は逆転されたばかりの僅差とは言え 容易にこの差は広げられるでしょう。 それだけ効率的な経営統合でもあるのは業界人ならずとも最早明瞭です。

延いては今は16%の大差を付けるとは言え、 業界トップのNTTドコモも安閑としてはいられないのは勿論です。 若しかしたらKDDI以上に驚異に感じているのはドコモかも知れません。 なんとなれば肝煎りの新事業 NOTTV は失敗に帰し 〔K3〕 、当人は気付いているかどうか判然しませんが、 ネットショップに注力する 〔K4〕 など経営方針は明後日の方向を向いている処、 其の間に本業でソフトバンクは勿論、KDDIとて辞を低くしiPhoneを手に入れ 着実に背後に迫るのは、余程でなければ感覚的に分からない筈もないだろうからです。 そして有言実行、孫正義氏は首位奪取を明言しました。 これが今や現実味を帯びない筈もありません。

ガリバーと言われたのはいつのことやら、 尻に火が点いたのを気付くや否やのNTTドコモが、 今からでもユーザー視点を得るべく努力しなければ近い将来の凋落は必須でしょう。 またスマートフォン時代の波に巧く乗ったソフトバンク及びKDDIは互いに切磋琢磨し、 更に業界首位に安閑とするドコモを追い詰め、 この混沌がユーザー利益となるのを期待して已みません。

かたむき通信参照記事(K)
  1. イー・アクセス念願の獲得プラチナバンドは何故携帯事業者に人気?(2012年6月28日)
  2. 携帯の通話回線が3GからLTEへ、ではLTEは何G?(2012年7月8日)
  3. 哀れNOTTV大失敗~4ヶ月経過して契約数は目標の1/3以下(2012年8月6日)
  4. NTTドコモがタワーレコードを子会社化しEコマース事業進出を目論む(2012年6月11日)
参考URL(※)
  1. ソフトバンク、イー・アクセスを買収へ(CNET Japan:2012年10月1日)
  2. ソフトバンクとイー・アクセス統合で業界2位に--1.7GHz帯とテザリングが鍵(CNET Japan:2012年10月1日)
  3. イー・アクセス買収 2.1GHzと1.7GHzの「ダブルエンジン」で加速するソフトバンクのiPhone 5&LTE戦略(ITmedia:2012年10月1日)
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