遂に先日2012年9月30日の 世界の果てまでイッテQ! の放映分で イモトアヤコ さんがアルプスの角、 マッターホルン 登頂に成功しましたね。 おめでとうございます! 最早疑いもない女性アルピニストの誕生です。
かたむき通信には日本テレビの人気テレビ番組 謎解き冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ! の『痛快!ビッグダディ』やNHK大河ドラマ『平清盛[K1]』 をも退ける視聴率の強さの秘密の筆頭に 珍獣ハンター イモトさんの存在[K2] を挙げました が、それも宜成る哉と言った感があります。
珍獣ハンターで鳴らしたイモトさんが芸人アルピニストとしての新境地を開いた始めが 同番組の2009年6月28日放映分に於ける キリマンジャロ登頂プロジェクト完結編 でした。
イモトさんを支えるのは登頂回数613回を誇るニカスさんを中心としたチーム・ニカスであり、 国際山岳ガイドでありエベレスト登頂経験者でもある 貫田宗男 さんも強力に彼女をサポートします。 徒歩で4日間、片道約50km、 登頂成功確率は50%と半分しかないこの厳しいキリマンジャロ登山に於いて 荷物運搬・食事の準備はチーム・ニカスに任せイモトさんは登ることだけに専念出来るのでした。 しかしこの30名ほどの男ばかりの大所帯に乙女?一人で放り込まれたイモトさんは不安そう、 絶対間違い起きますってぇ…って(笑)。
チームの顔合わせから初日はウォーミングアップを兼ねた第1キャンプ地迄の道のりは、 イモトさんの不安どおり 歩くこと2時間 でばっさりカットされたのでした。 そして第1キャンプ地の マンダラハット に到着、此処で1泊します。 第1キャンプ地と言ってもその標高は2,720mもあるのでした。
二日目に目指したのは第2キャンプ地の ホロンボハット で此方の標高は3,780mあり、最早富士山山頂と同じレベルです。 チームは揃ってこのキャンプ地に昨日と同じメニューではありますが、 そしてイモトさんは多少の文句を言いながらも トウモロコシの粉を練った食べ物 ウガリ と菜っ葉に舌鼓を打ち明日に備え英気を養います。
アタック3日目は5月19日、 のっけからレスキューが担架に人を乗せてキボハットから降りてくるのを見て イモトさんはビビらされます。 標高は既に富士山山頂レベル、 此処からはいつ高山病に罹っても可笑しくないのです。 高山病とは高所に於ける低酸素及び低気圧の環境に体が順応出来ずに起こる症状で 軽くても頭痛や吐き気を催し、非道い場合には肺に水が溜まる肺水腫や 脳がむくむ脳浮腫で落命しかねない恐ろしいものなのだと説明されます。
とまれチームは出発、一度呼吸を乱すと回復は難しいので牛歩で進みます。 着実に進む一行にやがて第3キャンプ地の キボハット が見えてきました。 既に標高は4,700m、その向こうに見えるのは勿論、 登頂アタックの経路としてありそれは平均斜度25°、距離4,000m、高さ1,000mもの難路でした。 これを見て沈黙の番組関係者の中、 一人闘志を沸かせるイモトさんにはアルピニストの萌芽が見えるのでした。
そしてキボハットにて日付の変わった翌20日の深夜1時に出発する時刻、 なんとチームニカスのチーフガイドのニカスさんが高山病でダウン、 一向に加われず、セカンドガイドのアロイスさんが代理を務めます。 百戦錬磨のチーフガイドと言えども安心の出来ない高山病にまたもやビビらされるイモトさんでした。 しかし勇気を振り絞って出発、 荷物を運ぶポーターはこのキボハットで待機しますから、 山頂アタック隊はイモトさんを含めた6名です。 気温は6℃、アタックにはこれ以上ないくらいの好い天候に恵まれました。 午前1時半、愈々アタック開始です。
アロイスさんがペースメーカーとなり30分歩いて5分休むペースは決して崩しません。 ペースに付いていけないものは脱落です。
番組中では折に触れ、出演者の血中酸素濃度が測定されています。 平地では普通97%以上ある数値で一般の人は90%以下には下がらないものです。 これが80%前後となるとオリンピックレベルのアスリートが頑張って走れる状態であり、 普通の人ならば平地では酸素吸入の措置が必要となります。 そして約70%ともなれば意識を失ってしまいます。 しかし標高5,000mを超えれば酸素量は60%台に低下します。 これこそ5,000m越えの世界なのです。
そして5,100mの地点、この過酷な条件化に遂に 今では自らお笑いも引き受けるディレクター石崎氏とADの番組スタッフ2人は 術もなく振り分けられ後ろの班に編入されました。 そんな大の男がへばってしまう環境の中、 驚いたことに実に良く喋るイモトさん、 これ、凄いと思うかも知れませんが、 実はこのハイテンションは登山家が陥る危険な症状でもありました。
其の名も
そんな視聴者の心配を他所に標高5,400mで熟練の山男が荒い吐息を吐く中、 一人乙女のイモトさんだけ元気で皆を勇気付け、 一見した処、最早イモトさんがベテラン登山隊のリーダーと化す中、 カメラマン氏の息も切れ切れな 何なんだよ…こいつ なるつぶやきが笑いを誘うのでした。
そして愈々目論見通り午前5時にキボ峰火口部のギルマンズポイントに到着しました。 5,681mにもなる人格をも破壊する標高にイモトさんは超ハイテンションです。 そこに遅れて着いた、ディレクター石崎氏の口から後々迄番組に使用されることになる迷言 不思議だね… が発せられたのは正にこの時でした。 もう番組スタッフ2名は限界です。
待ち兼ねたご来光は午前6時半、 雲海を見渡せば地上から数千メートルもある其処がまるで地上に見えて来ます。 感激もそこそこ、山頂目指して出発するも限界を迎えている番組スタッフは 5分でお荷物となるのでした。 そしてまさかのスタッフリタイヤで番組演出はタレントのイモトさんだけに託されます。
プロカメラマンを率いて進むその標高は愈々5,700m、 ご来光を見て心が静まり、しかしクライマーズハイも引いたイモトさんを高山病が襲い、 一気にしんどくなって来たのを訴えますが最早戻る判断は有り得ず進むのみです。
標高5,800m、酸素量は平地の半分以下と此処では 如何なる生物も生きることを許されない極限の世界です。 其処にはただ人間がいるだけです。 だからこそ登山には価値があるのかも知れません。 人間の証明とも言えるでしょう。 生命の大地アフリカに於いてその最高峰キリマンジャロの頭頂部に立てたのは人間だけなのです。
山肌を覆う一万年以上前に降り積もった雪が凍ったコバルトブルーの氷河が一同の目に入ります。 この氷河からこそキリマンジャロの名が付いたのでした。 キリマンジャロとは 輝く山 と云う意味、この古代から美しく輝き続ける氷河をこそ 地元の人々は神聖なものとして敬って来たのです。
しかし同時に問題も提起されます。 一万年以上も溶けなかったこの氷河は20世紀の僅か100年で80%もの減少をみてしまったいるのです。 この氷河は後20年で消えるとされています。 この残った2割の氷河は我々人類の喉下にに突きつけられた刃でもありました。
あと僅かしか見られないとされる氷河を見たイモトさんは勇気付けられます。 標高5,835mに休憩、次ぎ止るときは頂上であると、決心を新たにするのでした。
着実に一歩一歩進む一行に残りはあと僅か150mとなりました。 直ぐ其処に見えてしかし一歩が出ません。 イモトさんがこんな厳しい登山に挑むのは芸人として見捨てられるかも知れない不安からでしょうか。 自らを本当に何にもない人間と評すイモトさんは命懸けで一歩、そして一歩を踏み出すのです。
イモト、ようこそ、おめでとう、 隊の一行が祝福します。 ウフルピークにへたり込むイモトさん、 2009年5月20日午前9時10分、キリマンジャロ登頂成功です。 全ては眼下にある其処に感激、感無量のイモトさんです。
ウフルピークの
但しここで終わらないのがイッテQ!なる番組たる所以、 登ったのだから下りなければいけないのは道理、下山には其処から更に2日間掛かるのは勿論です。 イモトさんのぼやき連発(笑)
以上見てきたようにこの番組の登頂プロジェクトは図らずも イモトさんが登山について実践的に学んでいくのを見て 全くの登山の素人が登山とは如何なるものかを、 薄っすらとでも理解できる縁ともなっているのは、 ただのバラエティーならぬドキュメンタリーとしても間違いなく価値の高いものです。 従ってこのキリマンジャロ編ではありませんが第3の山 アコンカグア 編が2011年度に放送された中から放送批評懇談会に依り選出される第49回 ギャラクシー賞 のテレビ部門に優秀賞として入賞[※1] しもしたのでしょう。 因みに競馬関連でかたむき通信にも登場願った[K3] マツコ&有吉の怒り新党 は奨励賞を受賞[※2] しています。
最後に2012年9月30日放映分のマッターホルン登頂プロジェクトの回で怪我が伝えられた 角谷さんの一日も早いご回復を陰ながらお祈りします。
追記(2019年11月25日)
昨日、2019年11月24日に
世界の果てまでイッテQ!
番組内でイモトアヤコさんが結婚を発表しました。
お相手は、イッテQ!らしく新郎当てクイズの答えとしてイモトさんと共にバンジージャンプを敢行し画面に映し出されたポッチャリ
お二人の出会いは今を遡る事、12年前の2007年10月、 珍獣ハンターオーディションの面接官と面接者としてでした。 見事、珍獣ハンターの座を射止めたイモトさんをスターダムに押し上げたのがお馴染み、同年同月のインドネシアのコモド島での コモドドラゴン との徒競走、此の時は余りに危険な追い掛けっこにイモトさんは石崎Dに殺意を覚えたと言いますが、 流石の番組MCのウッチャンによれば、 「出会いが最悪だったってのが 恋愛ドラマの常套手段」 と言う訳で、其処からのお二人なのであり、此れもウッチャンの言によれば「なるようになった」のでありました。
実は此の最悪の関係に変化が齎されたのは此の記事にもある 不思議だね… の迷セリフが石崎Dの口から漏れた時だと言います。 2009年5月20日の午前5時、キボ峰火口部はキリマンジャロの頂上手前のご来光ポイント、標高5,681mにもなるギルマンズポイントへの到着時です。 此の極限の状況をお二人は共有して、初めてお互い本音で物を言い合える仲になったと言うのですから、今記事を見返せばそんな変化が生じていたとは驚きであるものの、 考えてみれば其れだけ特別な瞬間でもあった為に何某か吾人に訴え掛ける映像ともなり得たのかも知れません。
しかし未だお互いに男女を意識し合う関係ではありませんでした。
此の関係に決定的な変質を遂げさせしめたのが出会いよりちょうど10年を経た、
2017年12月の南極最高峰
性転換?
詰まり、此処に至っても石崎D側にはイモトさんに対して男女の関係の意識はなかったのでした。
しかし最早イモトさんも引き返せません、
本記事冒頭にもある此の言葉を今又此処に繰り返しましょう。 おめでとうございます! 此の縁組を世の中でも最も喜んでいるでしょう、 番組ご意見番、出川さんの言う通り「いっぱいチューして」下さい。
かたむき通信参照記事(K)- 平清盛は沈む夕日を呼び戻せず~NHK大河歴代最低視聴率(2012年12月10日)
- 世界の果てまでイッテQ!視聴率強し、痛快!ビッグダディもNHK大河ドラマ梃入れも退ける(2012年5月7日)
- 大穴男江田照男騎手の3大万馬券レースがマツコ&有吉の怒り新党で紹介される(2012年6月15日)
- 第49回ギャラクシー賞受賞作品(放送批評懇談会)
- 第49回奨励賞受賞作品(放送批評懇談会 ※注:奨励賞タブクリック)
- キリマンジャロ(Kilimanjaro)(2012年10月3日)
- モンブラン(Mont Blanc)(2012年10月7日)
- アコンカグア(Acon Cafua)(2012年10月28日)
- マッターホルン(Matterhorn)(2012年11月17日)
- 槍穂高縦走(夏山合宿)祝角谷師匠復活(2013年9月29日)
- マナスル(Manaslu)(2013年11月13日)
- 天国じじい(2014年1月8日)
- キナバル(Kinabalu)(2014年3月27日)
- マッキンリー(McKinley)デナリ(Denali)(2015年9月4日)