各方面から秋波を送られながらも今一つはっきりしないままいた オリンパス株式会社 周辺に昨日2012年9月14日、またぞろメディア[※1~3] が群がりました。 資本提携先を ソニー株式会社 に絞ったというものです。
かたむき通信には余計なお節介ながらオリンパスが医療機器業界第2位の テルモ株式会社 から粉を掛けられた際に記事をものし[K1] 、テルモこそお似合いだと断じ、医療機器に於いてグローバル展開を図るべきで、 既にオリンパスに於いてはブランド価値こそ高いものの主要業務にあらぬカメラ事業は ソニーに売却するのが吉であるとしました。
しかし思い掛けなくもどうやらソニーの目的は 医療事業にこそあったと言うのです。 ソニーの思惑がそうとなればテルモにむざむざと渡す訳に行かないでしょう。 勿論、この資本提携話の始めからソニーの目的は彼の如く言われてはいましたが、 未だメディアの伝える処であれば、どうやら本気であるようです。
メディアが揃って伝えるには近日中に両者共同で取締役会が催され、 その席上にソニーが500億円を出資する資本提携話がまとまるものだとされています。 これにて6月には自己資本比率2.2%迄落ち込んだオリンパスが 財務基盤の強化、経営の安定性を図り、 更にはカメラ事業に於いて協働戦線を布き競争力を向上させようとするものです。 併せてソニーは医療分野のノウハウを手に入れようと言う寸法です。
これら報道に対しては正しくデジャビュなるはオリンパスのプレスリリースです。 9月14日に配信されたプレスリリース[※5] はその文言に幾分の異同があるとは言え、 殆んどかたむき通信にも伝えた[K1] 7月26日のものと見紛う程のものです。 これより1ヵ月半、水面下に多少の動きは有ったものなのでしょうが、 プレスリリースを見る限りはまるで時が止まったかのようです。
とまれ日本電機メーカーの一角として好ましくない凋落状況に落ち込むに及んで 伸びが期待されるとは言え、 未だ実績の定まらないソニーとしての医療分野への進出は如何なものでしょうか。 オリンパスがカメラ事業の先に医療機器に進出し、 以前からカメラ事業を営むソニーとは言え、 コニカミノルタなどの資産を活用しながらの 今回は資本提携でオリンパスの技術を用いるなど、 凡そ昔のソニーらしく無いと言う思いに駆られます。
昔のソニーであったなら新分野に参入するには新技術を以てして 従来とは一線を画した手法を以て果たしたように思えるのです。 それこそがソニーのソニーたる由縁でした。
追記(2012年10月1日)
オリンパスとソニーの事業・資本提携契約の公式発表を受け オリンパスはソニーと提携~内視鏡市場に圧倒的な強みを活かす を配信しました。
追記(2019年6月7日)
オリンパスとソニーの医療機器事業に関する提携は成り、 2013年4月16日付けで医療事業合弁会社として ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社 が設立されました。 当該社 公式webサイト には同日付けで当該情報のプレスリリース[※6] が用意され、またオリンパス社からもリリース[※7] は配信されています。 其のオリンパス社は今年2019年、創立百周年を迎え、スペシャルサイト[※8] も用意されています。
かたむき通信参照記事(K)- オリンパスはテルモと経営統合の後、カメラ事業をソニーに売却が吉(2012年7月26日)
- オリンパス ソニーと提携で最終調整(NHK:2012年9月14日:2019年6月7日現在記事削除確認)
- ソニー、オリンパスと月内に合意へ 500億円出資(日経新聞:2012年9月15日)
- オリンパス、ソニーとの資本提携が最終調整に(TV朝日:2012年9月15日:2019年6月7日現在記事削除確認)
- 本日の一部報道について(オリンパス:2012年9月14日)
- 本日の一部報道について(オリンパス:2012年7月26日)
- ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社 設立(ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ:2013年4月16日)
- 「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社」設立のお知らせ(オリンパス:2013年4月16日)
- オリンパス創立100周年(オリンパス)