任天堂次世代機Wii Uの2大要点ゲームパッドとMiiverse

次世代機Wii Uに掛けられる期待は大きいものですが 最も大きな期待を掛けているのは任天堂自身かも知れません。

Acenumber Technical Issues ブログ2011年11月17日の記事 携帯ゲーム市場に見る時価総額世界一のアップル社と苦しむ任天堂 には任天堂とアップル社の株価の推移が対称をなして交差しているのを見れば傍目からも苦境は明瞭ですが、 任天堂の苦慮するのは勿論株価や時価総額などではなく ゲームの社会に於ける価値について任天堂と社会に齟齬があるのではないか、という部分でしょう。

E3 2012を前にしてマイクロソフト社はかたむき通信2012年6月5日の記事 マイクロソフトXbox SmartGlass(スマートグラス)の狙いはiOS AirPlayに見るアップルエコシステムでは? に記すようにXbox 360 E3 2012 Media Briefing なるイベントを開催しましたが、 任天堂は岩田社長自らの言葉で動画を以てユーザーに訴えかけました。 それが Nintendo Direct Pre E3 2012 (2019年4月23日現在記事削除確認)です。

Wii Uについてのコンセプトは2008年から任天堂本社7階の 独創 と言う扁額の掲げられた会議室で議論を重ねられたと言います。 そのコンセプトは奇しくもプラットフォームと言う言葉にも置き換えられるのが Wii Uの特質を表しているでしょう。

昨年2011年のE3で発表されたコントローラーは改善が継続され Wii U ゲームパッド として正式な名称を与えられました。 これが任天堂と社会の齟齬を修正するガジェットとしての肝をなすものです。 任天堂が世界に誇る 宮本茂 専務の 複数の問題を一度に解決できるものが真のアイデアと呼べるものだ と言う言葉を引用してこのガジェットをWiiで解決したかった問題を全て解決し得たコントローラーと評します。

端的に言えば Wii U ゲームパッド は画面のついたコントローラーです。 この発想はデュアルスクリーンに共通するもので 恐らくニンテンドー3DSとの深い関連があるものと思われます。 お茶の間のテレビに映し出されるメインのゲーム画面とは異なる 手元のコントローラーに映し出されるパーソナルなゲーム画面が 従来とは飛躍的に異なるゲーム体験を齎すであろうことを想像するのは容易です。

そしてこの一つの肝となるガジェットに併せ、 もう一つの肝となるのが Miiverse でしょう。 これは Mii+Universe の造語で即ち任天堂式アバターの世界を構築する概念と言えます。

ここに重要なのがネットワークです。 Miiverse はニンテンドーネットワークの柱ともなるべき仕様でもあるのです。 歴史的にスタンドアローンで構築された任天堂の世界観は ネットワークの概念とは相容れ難いものでした。 それは Acenumber Technical Issues ブログ2009年1月11日の記事 絶好調はてな新サービス に見られる うごメモ に於けるはてな社との協業を見ても明らかです。

このネットワークの普及が任天堂と社会との齟齬を作り出したとも言えるのですが、 任天堂は呻吟しつつその溝を埋めんと刻苦勉励しました。 その結果がニンテンドーネットワークと Miiverse であると考えられます。

2006年9月のWii発表時のコンセプトは以下列挙する処の3点でした。

  1. 家族とゲーム機の関係を変える
  2. テレビとゲーム機の関係を変える
  3. インターネットとテレビの関係を変える

処で、ゲームパッドという新概念のコントローラーを得た 2012年のWii Uに於いては、以下列挙する処のように変化しています。

  1. コンソールがテレビから自由になる
  2. 2画面で新しいエンターテインメントを提案する
  3. 毎日電源を入れてもらうきっかけをつくる
  4. 複数のリビングルームをつなぐソーシャルウインドウになる

Wiiコンセプトでは今になって見れば ネットワークに対する困惑と不安と敵対が見て取れます。 この視点で見れば新しいWii Uコンセプトが 関係の具体的記述からネットワークとの親和が図られているのは一目瞭然です。

2012年年末Wii Uコンセプトが世に受け入れられるか如何か、 任天堂と社会の齟齬が埋まるか如何か、 の結果が出るでしょう。 それは任天堂がWii Uに掛ける期待通りのものとなるでしょうか?

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