世界一企業の礎 Apple I がサザビーズで約3千万円で落札

世界で最初のパーソナルコンピュータであり、 それが今では現存するのが50台、 その内でも僅か6台しか動かないとなると 3,000万円と言う値段も妥当なものとならざるを得ないでしょう、 今や時価総額世界一となった アップル社の最初の製品 Apple I(アップルワン) です。

製品には Apple Computer 1 とロゴが刻印されているのが見て取れますので 正確な製品名はそうなるでしょう、 まだパーソナルコンピュータの概念がなく、 世の中でコンピュータと言えば大型のものが一般的で 個人で手に入るものとなると マイクロコンピュータとかそれを縮めてマイコンと言った 趣味色の強いものが中心でした。 其処に登場したのがApple Iだったのです。

Apple I Computer

当時の売価は666.66ドル、評伝 スティーブ・ジョブズ I を読めば二人はそれほど熱心な信者ではなかったのでしょう、 666を新約聖書のヨハネの黙示録に獣の数字として記されていることを知らず、 ゾロ目に縁起が良いと喜んで値付けしたようです。 映画などに不吉な数字として扱われる666ですが、 実は解釈は様々あるようで、このApple Iとその後のアップル社の成功例を見れば 本当は縁起の好い数字なのかも知れませんね。

Apple Iが実際に店頭に並んだのは1976年6月、 それから36年の月日を経て今、僅か世界に200台発売されたのみの内、 更に希少な1台が2012年6月15日にサザビーズでオークションに掛けられ、 37万4,500ドル、2012年6月現在のレートで約3,000万円で落札されたのです。

このApple Iが作られたのはまだアップル社が企業としての態を為していない頃でした。 正しくこのApple Iの利益がアップル社の礎ともなったのです。

これを開発したのはたったの一人、と言うのですからまた驚きです。 その人物こそ誰あろう、アップル社共同創業者の一人、二人のスティーブのもう一人、 スティーブ・ウォズニアック その人でした。

スティーブ・ジョブズ I は評伝の前半ですが、Apple Iが作られたアップル社創業期の頃の記載は詳しくあります。 其処ではウィザードばりの魔法でシンプルな回路を作り上げたウォズニアックが、 これを無料で当時出入りしていた倶楽部で配布しようとすると、 ジョブズがパッケージ化して売るべきだと主張する様が描写されています。 この状況にはアップルコンピュータの始まりにして後の形態、全てが詰まっている印象があります。

パーソナルコンピュータの始祖にしてアップル社の礎と言う、 歴史的意義を持つコンピュータが今回オークションで扱われたのですが、 アップル社が快進撃を開始したApple IIは広く知られているものの Apple Iは本当に極く一部の好事家、知る人ぞ知る、と言う類のものでした。 その画像にもあまりお目にかかることはありません。 それもその筈、Apple Iはケースにも入っていない回路が剥き出しのコンピュータボードだったのです。 電源もキーボードも付いてはいなく全て自己調達でしたから決まった形がないのでした。 此処等辺りもマイコンからパーソナルコンピュータへの架け橋的存在と言えるでしょう。

実際世の中にも今では動かないものも含めて50台程しか残っていないと言いますから なかなか目にするのは難しいのですが、 これをWeb上に公開してくれているサイトがありました。 Apple Syndrome さんの Apple Computer 1 がそのページです。 Apple Computer 1 PART2 では畳の上のApple Iが愉快ですね。

このサイトではApple Iの微に入り細を穿った詳しい画像が満載で、 テキストではその構造説明から歴史的意義、果てはマニアックなTips迄記載しています。 所謂好事家の一方と申しても許されるでしょう。 とても面白いページですので興味のある方は見て損のないページです。

追記 (2014年10月24日)
本記事に記したように200台販売されたとなればそれから40年近く経ようとも 此処なるオークションに扱われた一台ばかりがApple Iでないのはものの道理、 まだ此の世に幾台かは存在するでしょう其の未だ稼動すると言う一台がオークションに掛けられ落札されたニュース 〔※1〕 が伝えられました。 孰れ希少な一台には間違いないのを証明するかのように其の落札価格は90万5千米ドル、 本日2014年10月24日の相場で約9,780万円、1億円にも迫ろうかと言うのは本記事に伝えた2012年の際の2.4倍と言う驚きの価格です。 落札者がヘンリー・フォード博物館であり ミシガン州にある博物館に展示する予定であると言うのもまた歴史的に貴重な一台であることを物語っています。

追記 (2015年6月3日)
一部好事家には此の上ない至上の価値を感じられようとも門外漢には何ら興味のない 我楽多がらくた にて死別した亭主殿の趣味に集いし其れ等の一つとしてゴミ捨て場に追い遣られる貴重品が とんでもない価額で取引されようとは後家殿には思いも寄らない処であるのは屡々引き起こされる事態が Apple I にも発生したとする記事 〔※2〕 が配信されました。 処は米国の CleanBayArea なるリサイクル会社にて夫を亡くした未亡人のガレージを片付けた際のゴミの一つとして持ち込まれたのが Apple I であったというのです。 コレクターに2014年10月24日追記の90万5千米ドルには及ばぬ20万米ドルで売れたとされますから稼働品にあらぬものと拝察しますが 其れにして本日の相場にして約2,480万円、高級車か家が一軒買える一般には高価なものとして間違いありません。 どうした経緯かリサイクル会社は売価の半額を後家殿に返還しようとご当人を探し求めているともされますが、 斯うして極東の島国の片隅にも当該企業の名称がシェアされる宣伝効果を齎すのですから 全てを我が物にするよりは遥かに割りの宜しい判断だったのではないでしょうか。

使用写真
  1. Apple I Computer( photo credit: Ed Uthman via Flickr cc
参考URL(※)
  1. アップル最初のパソコンが9700万円で落札、予想大幅に上回る(Reuters:2014年10月23日)
  2. 貴重な「Apple I」が電子ごみに……持ち込んだ女性をリサイクル会社が捜索中(ITmedia ニュース:2015年6月3日)
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