国内最大規模新潟県沖油田・天然ガス田(来年4月試掘開始)の可能性を試算して見た

エネルギー供給に喘ぐ日本に取って嬉しいニュースが飛び込んできました。 新潟県沖に油田・天然ガス田として国内最大級の埋蔵量の可能性がある海域が発見されたと言うのです。 政府が早速商業開発に向けて試掘に入る方針を固め、 来年4月にも掘削を開始し、埋蔵量を3年掛け調査する決定をなしたニュースを 読売新聞2012年6月18日の記事 新潟県沖に大規模油田か、来春にも試掘 (2019年5月9日現在記事削除確認)が伝えます。

記事に依れば、試掘地点は新潟県の佐渡島から南西約30kmの水深約1,000mの海底で、 この周辺海域で2003年に試掘した際には少量の石油やガスの産出が確認されていたとのことです。 また、 経済産業省資源エネルギー庁 は、2008年に導入した3次元物理探査船を使用して地層構造を精密に分析した結果、 海底から2,700m下にある地層のうち、約135平方キロに及ぶ範囲で 石油や天然ガスの埋蔵の可能性があるとのデータを得たと伝えます。 この面積はJR山手線内の約2倍の広さと言う膨大なもので 海外の大規模油田に匹敵するほどのものであるそうです。

惜しむらくはこの情報が読売新聞を通して伝えられるのみで 経済産業省資源エネルギー庁 サイトには報道資料等に未だ何も見られないことで、 この情報化社会の時代ですので早急な対応が望まれます。

大規模と言われますが、ではその大きさは世界の中でどれ程に位置するのでしょうか? 海の研究者ブログさんでは2011年9月12日の記事 世界最大のガワール油田 がその疑問に参考になる内容です。

先ず挙げられるのが世界最大の油田である ガワール油田 です。 この油田はサウジアラビアにある1948年に見つかった油田で 幅は30km程、長さは280km程と日本で言えば 東京から名古屋までの東海道沿線がすっぽり入ってしまうくらいの膨大な大きさです。 記事には日本列島と比較したとても分かり易い図も用意されてます。 ちょっと残念ですが流石に今回の新潟県沖のJR山手線2つ分では適いそうにありません。

それではもう少し下まで世界ランキングを下げて見てみようと思えば 記事には石油公団、石油鉱業連盟「石油開発資料(2002)」出典の資料PDFファイル 第7表 世界の主要油田、ガス田の概要(埋蔵量順) へのリンクを用意してあります。 依ってランキング上位10位迄を下に引用します。

世界の主要油田の概要(埋蔵量順)
順位油田名国名可掘埋蔵量
(百万バレル)
発見年
1Ghawarサウジアラビア66,0581948
2Greater Burganクウェート59,0001938
3Zuata Principalベネズエラ38,3181938
4Rumaila North & Southイラク24,0001953
5Safaniyaサウジアラビア21,1451951
6Gachaaranイラン19,0001928
7East Baghdadイラク18,0001976
8Akal(Cantarell)メキシコ17,4851977
9Manifaサウジアラビア16,8201957
10Zakumアブダビ16,7021964
世界の主要ガス田の概要(埋蔵量順)
順位ガス田名国名可掘埋蔵量
(TCF=兆立方フィート)
発見年
1Pars Southイラン460.001991
2North Fieldカタール346.651971
3Urengoyロシア211.341965
4Ghawarサウジアラビア186.251948
5Yamburgskoyeロシア1689.141969
6Bovanenkovskoyeロシア143.851971
7Zapolyarnoyeロシア128.021965
8Hassi R'Melアルジェリア105.001957
9Astrakhanロシア92.001976
10Shtokmanovskoyeロシア86.901988

油田やガス田は可掘埋蔵量でその大きさを表すようですので 概算して広さでざっくり捉えられるように計算して見ましょう。 ガワール油田は幅は30km程、長さは280km程ですから8,400平方キロになります。 今回の新潟沖は約135平方キロですから比率で計算すれば 8,400:135=660:x から x=10.6億バレル の埋蔵量と計算出来ます。 するとこれは残念ながら上の油田ベスト10に入らない処か、 第7表 世界の主要油田、ガス田の概要(埋蔵量順) のベスト35位にも食い込めず、 35位のイランのAzadegan油田の5分の1強の可掘埋蔵量となってしまう計算です。

日本はWikipediaの 原油 に依れば2009年の時点で消費量は第3位の一日440万バレル、 これを年換算すると約 16億バレル となります。 新潟県沖の採掘が成功しても1年も掛からず食い潰してしまう計算になってしまいます。

日本では原発問題もあり、 今後石油の消費量がまだ増えるとされています。 今回の発見は嬉しいことに違いありません。 しかしやはりまだまだ省エネを心掛けねばなりませんし、 代替エネルギーの研究、実用化にも注力していかなければならないことが更に鮮明になったのも確かです。

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