時代を経て劣化する三種の神器

三種の神器とは本来天皇の継承すべき三種の宝物を言いますが、 これを戦後日本に於いて大衆が生活に揃えるべきものとして喧伝されたのは 実に的を得ており上手く擬えたものだと思います。

その最初はWikipedia[※1] に依れば、神武景気で沸く日本に喧伝された以下の家電3品目です。

  • 白黒テレビ
  • 洗濯機
  • 冷蔵庫

これなどは実に上手く出来た構成だと思います。 しかし時代と共にこの三種の神器は変遷し、 どうも劣化しているような印象があるのです。

即ち、その初期には必然的であったように見受けられる三種は、 時代が下るに連れ些か無理がある主張のように思われるのです。 剰え一私企業が三種の神器を言い出すのは牽強付会が過ぎ、 僭称と言っても過言ではない状況を以て劣化する印象を受けさせしめるのだと思います。 三種の神器の変遷を以下に表にして見ましょう。

1950年代後半神武景気
三種の神器
白黒テレビ
洗濯機
冷蔵庫
1960年代半ば
高度成長期
いざなぎ景気
新三種の神器
3C
カラーテレビ
クーラー
自動車 (Car)
2003年デジタル三種の神器デジタルカメラ
DVDレコーダー
薄型テレビ
2004年松下電器産業提唱
キッチン三種の神器
食器洗い乾燥機
IHクッキングヒーター
生ゴミ処理機
2003年小泉純一郎首相提唱
新三種の神器
食器洗い乾燥機
薄型テレビ
カメラ付携帯電話

そして劣化の印象を更に強めるのは、 初期の三種の神器が未だ生活に欠かせない商品であるのに対し、 後期のものは必ずしもそうなってはいない処にあります。

神武の三種の神器は洗濯機、冷蔵庫は今では無い家庭は有りませんし、 また当時は白黒テレビと言うよりはテレビと言う概念の登場でした。 テレビの無い家庭も今では珍しいと言えるでしょう。

いざなぎではカラーテレビはテレビの革命として、 これも今ではテレビと言えばカラーテレビとなりますし、 クーラー、自動車もそれぞれが必需品となっている家庭も多いことと思います。

さて21世紀に這入ってはデジタル三種の神器に於いて デジタルカメラは革命的で最早カメラの大半を占めるようになった 謂わばテレビに於けるカラーテレビのような位置付けでしょう。 処が薄型テレビはどうでしょうか? Wikipediaにも最近のデジタル三種の神器は パソコンTV、腕時計、携帯電話である事が多い、と記載されるように、 それはテレビ全体を受け継いだカラーテレビほどの進化ではなく テレビのバリエーションとも言える程度で、 この不振が原因で多くの日本電機メーカーが窮地の追い込まれている商品でもあります。 新デジタルに於けるパソコンTVも同様でしょうし、 腕時計をデジタル三種の神器と呼ぶのもかたむき通信に 腕時計 をカテゴライズしている身からすれば些か無理が過ぎるでしょう。 携帯電話は三種の神器に相応しい新商品ではあるでしょうから、 一私企業の主張よりは妥当とは言えるものと感じられはします。

一私企業の主張する三種の神器は所謂マーケティングの産物でしょうから ここで詳細を取り上げるまでもなく一般化は難しいものでしょう。 その中でも売れているのか小泉型三種の神器には 食器洗い乾燥機が含まれてはいます。 しかしこの商品をテレビ、自動車、クーラー、携帯電話と同種に扱うのは多少無理を感じます。 薄型テレビは上に上げましたしカメラ付携帯電話は これも携帯電話のバリエーションの一つに過ぎず、 携帯電話の進化版であるスマートフォンが電話、腕時計、デジカメ、テレビを包含すると 考えたときに考案される三種の神器があるとすればその存在は霞んでしまうものです。

こうして見てくると三種の神器の名に相応しいものは 世に新しい概念を創出せしめるものだと言えます。 従来では考えられなかった機能を持った商品の登場が 世の中に途轍もないインパクトを与えることに依って神器の名に相応しいものとなります。

これに対し劣化を感じさせるのは新概念のバリエーションであったり 組み合わせで有ったりするもので、 世の中の人の殆んどではなく、その影響は一部に留まるものである商品であると言えるでしょう。

これに於いて望むらくは現在凋落の著しい日本メーカーには 三種の神器に相当する、又は准じるだけの商品を開発して貰うことです。 過去に日本電機メーカーはそれをなし得たからこそ現在があるのではないでしょうか。

このお手本が現代に於いては 携帯電話をスマートフォンへと一辺せしめたアップル社のiPhoneでしょうし、 レシプロエンジンから売上首位を奪った嚆矢となったトヨタ自動車のプリウスなのであると考えます。

参考URL(※)
  1. 三種の神器 (電化製品)(Wikipedia)
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