愛車の故障にて修理工場に預けた代車として
スズキ MR
車名 | スズキMR |
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初度検査年月 | 平成24(2012)年5月 |
型式 | MF33S-180336 |
原動機の型式 | R06A |
車両重量 | 790kg |
車両総重量 | 1,010kg |
総排気量 | 0.65L |
代車の様子は右の写真の如く、仕様は以上車検証から写し取った表の如くある正しく軽自動車です。 古い車種と付き合いつけている人種に取っては基本的には実に良く出来ているのは間違いなく 下の写真の如くリバースギア時にはバックカメラがダッシュボード中央の液晶パネルに映じ、 パーキング時のサイドブレーキはフットブレーキとなって サイドフットブレーキとでも呼ぶべき仕様であるのは少し以前ならば高級車の其れです。
従って決して腐す意味ではなく気になった点を挙げ 改善されればなお価値の高まり軽自動車に違和感を感ずる人種にも孰れ訴求力も高まり 選ばれ得る可能性が広がるものと考えます。
乗り換えて先ず感じるのが発進時のしばしば
孰れにせよ発進時にアクセルを踏み込んだ分だけ思う処の加速が得られず 違和感及び所在無さを感じる現象ですから気持ちの好いものではありません。 無論整備の行き届いた代車であればエンジン異常である筈もなく、 躓きは最初だけで後はスムーズに走ってくれ、特に違和感を感じる処も有りはしないものの 以前軽自動車に乗車した際にも感じたのを記憶する現象ですから軽自動車に多く共通しているような心持となり、 遂には未だ軽自動車とは斯うしたノッキングと言う宿業を背負った侭で有るのかなる感想を抱かされたのでした。
流石に軽自動車とて踏んでも踏んでも特に坂道では思ったように進んでくれはしないと思いもしますが、 然うは言っても排気量の拡大も相俟って一昔以前よりパワフルなのは確かでもあり、 唯に単純な力不足で以て招かれる現象とも思えず、 ギアの切り替えタイミングなど、何某かのチューニングで解決が図れる印象も受けるのです。 ギアはドライブモードとLモードの2段階しか用意されないものの スタンブリングを嫌って常にLモードで発進するのもオートマ車の意味もなく、もどかしくもあれば 改善の図られるべき点と思った次第。
次なる感じられた点は軽自動車に限らぬものの、 上に述べた如く少し前なら高級車の装備たる サイドフットブレーキ です。 サイドブレーキの呼称で一般に通じたものの足側のペダルに此の機能が転じられることの多くなるに従い 今ではフットブレーキならぬパーキングブレーキとも称されるのは元来フットブレーキと言えば其れは 補助的な機能ならぬ自動車本来の減速、停止機能を有す操作系であったからでした。 此れが今では軽自動車に不思議もなく取り付けられているのはコラムシフトと共に 軽ワゴン車として居住性を高めるベンチシートを採用したい理由があったからかも知れません。 但し此れが長くトルコン車に左足ブレーキで乗り付ける者には一週間と言う慣れを許さぬ短い期間には大いに支障を来たしたのです。
以前ならば自動車運転席の足元に並ぶペダルは右から順にアクセル、ブレーキ、クラッチの3枚だったものが、 近年オートマ車の普及と共にアクセル、ブレーキのみの2枚となればクラッチを担当していた左足にブレーキを任せ、 ブレーキ操作からアクセル専従へと右足の負担を減らしてやるのが物の道理、 処が此のクラッチが有った場所が開いたのを幸いと上のMRワゴンの写真が如く、近年サイドブレーキが引っ越してきたのですから 此処数年でブレーキ専従に慣れた左足は本家フットブレーキと新家サイドフットブレーキを担当せねばならなくなった訳で 以前右足が担当したアクセルとブレーキの如くヒールアンドトゥーでもせねば本来排他的な両者は矛盾無く両立出来たのでしたが 今回は両方が停止目的のブレーキであるのだから堪りません。 従来はフットブレーキを踏んだ状態で手で以てサイドブレーキを引くのに何の問題もなかったものが 一旦アクセル担当の右足をフットブレーキに運び、フットブレーキ担当の左足を 其の左のパーキングブレーキへと運んで踏まねばならなくなってしまったのでした。 運転中右足のみを忙しく動かす向きならいざ知らず、 折角各足の担当が決まって滞りなく進捗している者には手が空いておるぞとばかり些か苛苛させられる当該仕様は 操作の無駄を無くすかに見えて手間を増やす本末転倒な変更に感ぜられて仕方なく、 上に挙げた目的を達成するのであれば他に手段も有った気がする次第。
高級車さながらの仕様が此れ又逆の作用を齎している如く感じられるのが リバースギア時に起動するセンターパネルのバックカメラです。 辺りの暗い時間にバックする機会も多ければもう少し明るく照らしてくれれば見易かろうとも思いつつなお、 明るい時間でもセンターパネルのカメラ映像から目を逸らし身体を捻って背後を直視してしまうのは 視野角や解像度が適切に感じられない視認性の問題だけに因が有るのではなく 画面には状況把握の促進と操作方針の助けとなる補助線が自動的に引かれるのですが どうも此れがなかなか不慣れもあり孰れ成る程と合点することもあろうかとは思うものの 一見して理解出来るべく構成されているようには思えぬ難しさが感じられます。
折角のバックカメラも結局自らの目で確認すべく後ろを振り向く始末と相成るのは 畢竟ユーザーインターフェースに因を求められるのではないかと感じられます。 日本は先の大戦から雄々しく復興するに当たり大いにものづくりを縁とし経済大国への道を辿りました。 従ってこそハードウェアに強くあるのはレーゾンデートルでもあるのでしたが 偏る余り近年では幾分ソフトウェアに弱みが有るように感ぜられもし、 因って電機メーカーなども凋落を余儀なくされているのでしたが 未だ其の憂き目を見ていない自動車メーカーにも其の日が訪れぬとも限られぬと感ぜざるを得ない弱みを見た気がします。
世が情報化社会化するに連れ勃興したIT産業がソフトウェアに立脚し強みを持つのは論を俟たず 携帯電話市場に留まらぬ正しく世界を変えたスマートフォンの嚆矢iPhoneを擁すアップル社の製品は 説明書などは同梱されぬ日本従来のものづくり屋には考えられぬ振る舞いで ユーザーに理解を促す其の根幹は直感に訴えるにありました。 此れに対峙出来ない弱さをバックカメラのユーザーインターフェースに見た気がするのです。
其の意味を同じくするもう一つ指摘したい問題点が燃料計です。 左が其の写真ですが昔馴染みの針が回転するアナログメーターではなく 縦棒グラフが横に並ぶデジタルメーターとなっています。 先ずはエンプティからフルに向かって棒グラフが高くなる意味が分からない、と言えば言い過ぎですが 運転手に残燃料を分かり易くしようとする気持ちが分かるものの 此処はオーディオのレベルメーターの如く棒グラフが同じ高さでも宜しからんとも思われる処か エンプティに近付く部分では緑から赤に色が変じればなお良かろうとも思われるのです。
燃料計に於いては古い感覚でしょうか、
満タン時には其れ程変化の見られない指示も空に近付くに連れ動きの鈍く
危険閾指示の辺りならまだ大丈夫とばかりに走らせ続けたりもするのですが
然れば例え形は新しくなろうとも危険域では動きをセンシティブにして欲しく思うのです。
写真は棒グラフが一つ減った状態ですが棒グラフがリニアに低くなるのではなく
デジタルにオフになる仕様であったのには疑問符が浮かばざるを得ません。
例えば此れが競争の激しいIT業界であったなら感覚に訴え掛ける処理を施すような気もするのですが
バッテリー残量計などを見れば単純な増減図、百分率表示などが主流に見受けられ割り切った形になってもおり
但し近年Google社の自律自動車を筆頭にアップル社も自動車事業に食指を動かしている噂なども出始め 自動車業界が今の侭で宜しかろう筈もなく、 IT業界に先駆けて先ずは燃料計のような細部から手を付け始めるのも手法として有効である気がします。
以上、日本電機業界の如く窮地に陥らずに済ませるためにも 今回挙げたような幾つかの細部より先ず始めれば 其処に宿る神々の祝福を受ける可能性無きにしも有らずと思われた日本軽自動車スズキMRワゴンの搭乗記にて御座候。