テニスラケットで有名なプリンス倒産~かつてデカラケでテニスブームを巻き起こす

デカラケで一世を風靡しテニスブームを巻き起こした テニスラケットのブランド プリンス で日本でも有名なアメリカのスポーツ用品メーカー プリンス・スポーツ (2019年1月20日現在サイトアクセス不能確認) が2012年5月1日、倒産しました。

同日デラウェア州の連邦破産裁判所に日本の民事再生法にあたる 米連邦破産法11章の適用を申請したとのことです。 負債総額は6,500万ドル、日本円で2012年5月現在約52億円とされています。

プリンスのテニス製品は日本では旧ダイワ精工 グローブライド株式会社 が扱っていました。 グローブライドでは Prince Blog と言うテニス関係の公式ブログも運営しています。 まだまだテニスファンには馴染みも深いブランドのため ネット上にも当該ニュースに併せ、驚きの声が上がっています。

プリンスのテニスラケットは世界中のプレイヤーに愛され 現在でも100ヶ国以上で使われているそうです。 有名選手を見ると日本では杉山愛さん、 かつての女王マルチナ・ナブラチロワさん、 ロシアの妖精、マリア・シャラポワなどが愛用しています。

プリンス・スポーツの設立は1970年と割りと新しいメーカーですが プリンスラケットが有名になったのは何と言っても 1976年に発売されて大評判となった デカラケ です。 これは従来のガットの張られているラケット面を一回り大きくしたもので 初心者が扱いやすくなるのは勿論、 上級者にも多大なる恩恵を齎し大いに普及しました。 今では昔ながらの面の大きさのラケットは見る方が難しいでしょう。

デカラケは新興メーカーだからこそ可能になった開発商品であったと思います。 先ずは先行他社と峻別される売りの新機能を模索しての結果であるでしょう。 また当時は技術的低下が噂されるなど毀誉褒貶のあったデカラケでした。 しかし試合で強力な武器となることが証明されたり、 グラファイトやグラスファイバーなど 従来のラケットの材料の木材とは異なる新素材の登場とも相俟って 瞬く間に世に受け入れられたように記憶しています。

倒産の原因はここでも矢張り不況の代名詞、 リーマンショック以降の景気低迷に因り販売不振が続いたためとされています。 リーマンショックに関わらずその以前から、 テニスについては日本でもかつてのコナーズ選手、ボルグ選手、マッケンロー選手などが活躍した ブームとも言える往時の賑わいは感じられない印象がありました。

因みにこの3選手は1970年代後半から1980年代に掛けて活躍しましたが、 コナーズ選手はウィルソン(Wilson)のT2000と言う 従来サイズよりラケット面が小さく感じられるくらいのメタルラケットを、 ボルグ選手はドネー(DONNAY)の従来サイズの木材ラケットを、 マッケンロー選手はウィルソンの従来サイズの木材ラケットから ウィルソンのグラファイト製デカラケにモデルチェンジしていましたね。 これ等一流選手の使用モデルを見てもデカラケの普及度合いが感じられます。

倒産したプリンス・スポーツのゴードン・ボギスCEOは 経営を立て直し、反転攻勢の意向を持つ旨述べてしているそうです。 その方策として 革新的な商品を生み出す ことが言及されてもいるそうです。 かつてのデカラケに匹敵する商品を産み出すのは至難の業だと思います。 しかしながら馴染みのあるブランドが消えてしまうのは淋しいもの、 僅かでも陰ながらエールを送りたいと思います。

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