一つの街に一つは必ず本屋さんを見掛けたものでした。 それは必ずしも大きな店構えでもなく間口一軒、3~4坪で営業する三チャン書店で 品揃えはそれほど豊かでは有りませんでしたが、 本好きには夢の世界が広がる空間[※1] でもありました。 それでも何時の間にやら気が付くほどに街の本屋さんは減っていきました。 本屋さんは大型書店として大通り沿いに広い駐車場を備えた店舗を構えたり、 郊外型の大型ショッピングセンターの中に店開きするなど、 大型店舗化がそれに拍車を掛けた[※2] のでした。
しかし本屋さんの減少はそれだけで済んではいなかったのです。 実に全国317市町村に於いて2012年5月現在 書店ゼロ と言う衝撃的な数字が出版社である 株式会社アルメディア の調査で明らかになった[※3] のです。
日本の自治体、市町村の数は、2001年から今年に掛け 平成の大合併で大きくその数を減らし[※4]ました。 以下がその比較表です。
2001年1月26日 | 2012年1月4日 | |
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市 | 695 | 787 |
町 | 2,186 | 748 |
村 | 566 | 184 |
合計 | 3,447 | 1,719 |
即ち2012年8月18日現在で計算すれば18.4%もの市町村に本屋さんがないと言う状態なのです。 市町村合併で自治体自体の数は減じているのですから 市町村に本屋さんが存在する確率は高まる筈です。 それを以てしても2割に近い自治体に本屋さんがない事態となっているのです。
ではその本屋さんの絶対数を見てみましょう。 日本著書販促センター の 書店数の推移 2001年から2011年 よりデータを引いたものが以下の表[※5] です。
2001年 | 20,939店 | 100.0% |
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2002年 | 19,946店 | 95.3% |
2003年 | 19,179店 | 91.6% |
2004年 | 18,156店 | 86.7% |
2005年 | 17,839店 | 85.2% |
2006年 | 17,582店 | 84.0% |
2007年 | 16,750店 | 80.0% |
2008年 | 15,829店 | 75.6% |
2009年 | 15,482店※2009年10月現在 | 73.9% |
2010年 | 15,314店※2010年5月1日現在 | 73.1% |
2011年 | 15,061店※2011年5月1日現在 | 71.9% |
2001年からは見事な右肩下がりで一度も反転することなく書店数は下がり続け 10年後の去年2011年には2001年を100%とすると71.9%、 何と3割もの書店が失われる結果を数値は表しています。
アルメディア調査の上記よりもっと近い数値を見れば 2012年5月1日現在の書店数は14,696店となっており、 昨年同月の15,061店から都合365店減少、 ちょうど一日に一店舗が消えてなくなっている計算[※6] となります。
書店の減少は以上、時代の趨勢として止め得ない状況となってしまっていますが、 これを悲しむ声は多いようでついに首都圏に於いて書店を持たない自治体となった 茨城県つくばみらい市でもこれに何とか抗おうと書店に秋波を送りましたが果たしえなかったとのこと、 また市民がボランティアで書店を支援維持している留萌市での事例などもある[※3] と言います。 何某かの根本的対策を採らなければ 孰れ市民に愛される書店と言う形態はこの世から消えてなくならないとも限りません。
例えばその一つとしては所謂 自炊 がある[※1] かも知れません。 自炊とは紙書籍の電子データ化を消費者自ら行うことを言いますが、 これを書店店舗でサービスで実施するなど、 本来は仇敵視される電子書籍の分野を積極的に取り込むとば口とするのです。
また例えばその一つとして インストア・マーケティング がある[※2]でしょう。 Amazonや楽天などのネットショップで書籍は広く扱われるようになりましたが、 それらバーチャル店舗にリアル店舗としての書店としてのアドバンテージを活かす手法です。 即ち実際の顧客の来店のあるリアル書店に於いて 入店してからの潜在顧客に対する購買訴求の効果的な方法を投げ掛けるのです。
実際に目に見えて減ってみて、 地方に拠っては遂に失ってみて初めてその喪失感を感じられる本屋さんは、 市民に愛されている存在であることが明白となりました。 街の文化的拠り所と言っても過言ではない存在であるのかも知れません。 何とかこの減少傾向に歯止めが掛かることを切に願うものです。
参考URL(※)- 自炊とは?書店と競合するか?(Acenumber Technical Issues:2011年10月19日)
- 書店インストアマーケティングの進化~モール店、自炊、スタバ本(Acenumber Technical Issues:2012年1月6日)
- 書店ゼロの街が増加(Slashdot:2012年8月15日)
- 日本の地方公共団体一覧(Wikipedia)
- 書店数の推移 2001年から2011年(日本著書販促センター)
- 本屋を襲う“倒産ラッシュ”!1日1店が店じまい(zakzak:2012年5月24日:2019年9月12日現在記事削除確認)