電子マネーは近年頻繁に見掛けるようになった印象があります。 電子マネーを利用するための仕組みはカードとして提供され、 携帯電話に組み込まれ、シールの形のものもあり、 果ては腕時計に迄組み込まれた商品も用意されています。 この身近になった感覚を裏付けるかのようなデータが総務省から提示されています。 総務省が電子マネーについてのレポートを取りまとめ2012年8月20日に配信したもの 〔※1〕 で、このレポートは電子マネーの利用状況を二人以上の世帯について、 平成23年の 家計消費状況調査 結果を元にしています。
電子マネーも歴史を重ねなかなか入り組んだ仕組みとなってきていますから そのグループ分けは難儀なものだと思います。 ここで言う電子マネーに含むものは Edy、Suica、ICOCA、PASMOなどのICカード型、おサイフケータイなどの携帯電話型、 WebMoney、BitCash、クオカードなどのプリペイド型などであるとしています。 流通小売大手の雄セブンアンドアイHDのnanacoカードなども此方に含まれるでしょうか。 クレジットカード、デビットカード、ポストペイによる支払などは含んでいないとのことですが、 また一方の雄イオンのワオンカードなどイオンカードクレジット機能も併せ持つ プリペイドカードもあります。 総務省の調査の仕組みは基本的に調査票によるもののようですので 〔※2〕 答えられた方も悩む処は大きかったのではないでしょうか。
先ず同レポートに最初に記されようように電子マネーについての調査が開始された 平成20年(2008年)から23年(2011年)迄4年間普及は右肩上がりに上がっているのが明白です。 電子マネーを利用した世帯員がいる場合を見てみると20年には19.3%であったものが 23年には30.6%と僅か4年間で1割もの増加を示しているのは ちょうど普及期に当たると見ていいのでしょうか。 これ以前の調査がないのが残念ですが、 電子マネーの嚆矢とされる BitCash の事業開始が1997年、 WebMoney の事業開始が1998年とされ、 nanaco 、 WAON ともに2007年の開始ですから、 大手参入と共に急峻な普及を示したのかも知れません。 孰れ3割の利用経験者が存在するのはキャズムを遥かに超え、 一般化したと見て良いでしょう。 総務省が調べなければならない筈です。
その利用方法としては、 以下列挙する処でほとんどを占めるのは去年及び今年もその構成は変わりません。
総務省の要約にもあるように首都圏では交通機関に於ける利用が高いのは 地方との交通インフラの備えにも依るのでしょう。 乗り換えの頻繁な都市部での交通機関の利用には電子マネーは便利でしょうし、 地方ではスーパーや買い物時の小銭の煩わしさの要らない電子マネーは同じことが言えます。 人は従来の煩雑さの取り除かれたとき、これは便利であるとして常用に踏み切るのかも知れません。 またインフラの備えさえ整えば これだけ一般に認知された電子マネーの普及は更に進むことが容易に予測出来ます。
以上見て来た中には総務省の要約が二つ更に一つ加えた以下の三つが記されます。
勿論、総務省の要約には否はありませんが、 もう一つ、 世帯主の年齢階級別 を見ると面白い構造が浮き上がって来るのも見て取れます。
先ず保有状況を見た時に、グラフは40歳代を頂点とする山形をなしており、 山の両裾野である30歳未満と70歳代を見れば後者は前者の半分以下の保有率しかないのが分かります。 処が平均利用金額のグラフを見た時にはその山の頂点は60歳代であり、 70歳代も保有率の最も高かった40歳代と同じだけの金額を利用しているのです。 即ち若年層は電子マネーの仕組みを何某か持ってはいるけれど大した金額は使わないが、 高齢者は保有率こそ少ないけれど持ってさえいれば高額の利用をする と言う事実が浮かび上がるのです。 高齢者の取っては最初の敷居が高いけれど使い始めれば こんな便利なものはないと常用する様子が見て取れます。 電子マネーの取引総額を高めるには此処がポイントとなりそうです。
更に総務省データには 年間収入階級別 も用意されており、保有率のグラフは年収1,250万円から1,500万円を頂点とする 破綻の無い山形を形成し超高額所得者はともあり、 ほぼ高額所得者程所有率が高いのも面白いと言えるのではないでしょうか。 インフラと小銭の取り扱いの関する利便は高額所得者も享受出来るものだと言えそうです。
以上から電子マネーは更に普及することが予想されますし、 各電子マネーの普及担当者が為すべき施策も見える気がします。
参考URL(※)- 電子マネーの利用状況-「家計消費状況調査」の結果から-(総務省統計トピックスNo.62:2012年8月20日)
- 家計消費状況調査調査のしくみ(総務省)