スマートフォン普及率が世界的に高まる中でのFacebook社のモバイル対応

巷間言われるように去年2011年は正しくスマートフォン元年だったろうと思います。 更にNTTドコモは今年第1四半期決算にてスマートフォンは去年の倍の249万台を出荷したものとし、 日経BPコンサルティングの 携帯電話・スマートフォン”個人利用”実態調査2012 と題する調査では2012年6月時点でのスマートフォン国内普及率は18%とされ、 シード・プランニングの調査では僅か4年後2016年の末にはそれは70%に達するだろうと予測されます。

これは世界に於いても同じこと、 同じくシード・プランニングの調査に今年2012年のスマートフォンの全世界普及率は12%に留まるものの、 2016年末のそれは49%、実に全世界の半数の人々がスマートフォンを所有するに至ります。 更にはアメリカ国内では96%にまで届き ほぼ総ての人がスマートフォンを持つと言って過言でないでしょう。

この状況はIT、インターネット企業の方針にも影響を与えざるを得ません。 普及率の高い予想が弾き出されている先進国にあっては勿論、 特に米国ではスマートフォン対応が必須です。 この対応を興味深く見られているのがSNS最大手で先頃IPOを果たした Facebook 社です。

同社の主収入はかたむき通信に2012年7月28日記事に言及したように 偏重は是正されつつあるも現在84%と高い水準にあります。 これは主にPCからのアクセスに頼る構造となっています。 上記の如き市場の変化に於いてはこの構造の根本的転換が要請されるのでした。 現在スマートフォンからの広告収入はFacebookに於いてはPCの域に到底達せるものにはありません。 Facebook社のモバイルへの取り組みは優先順位の最も高い必須と言えるでしょう。

これについてはかたむき通信に2012年5月29日の記事で Facebook社独自スマートフォンの可能性を考察しました。 モバイルに注力するに独自スマートフォンを有するのは 孰れの方針を用いるにしても大きなアドバンテージとなるのは間違いないでしょう。 上場資金を得た今、独自スマートフォンの開発は今が好機にも思えます。

独自スマートフォンの開発に今ならば独自OSの可能性もないものではないように思いますし、 今それに依ってここで例え財務的な落ち込みがあっても 後々大きな資産として同社に有利に働くと思うのです。 零からの開発は難しいでしょうから、競争に敗れ凋落しつつあるものや、 新興ベンチャー開発の意欲的OSなどの買収も考えられないではありません。 しかしそれには困難な経営判断が求められるのも確かです。

翻って独自OSを用いないとすれば 先ず一番に考えられるのが Android OSでしょうが、これは対抗姿勢も顕わなGoogle肝煎りだけに採用のハードルは高いでしょう。

この秋からはiOSにネイティブでFacebook連携機能が搭載される予定です。 このアップル社との蜜月を考えた時、 iPhoneへの何らかの関与に於いてのFacebookスマートフォンも選択肢の一つですが、 アップル社の従来の姿勢を考えると他社ブランドのiPhoneへの搭載は これもなかなか敷居の低いものではないでしょう。

もう一つの可能性としてMicrosoft社のWindowsフォンがありますが、 これが最も可能性の高いFacebookスマートフォンかも知れません。 Microsoft社もGoogle社とは対抗するもののFacebookとの関係は良好のようですし、 敵の敵は味方、と言うことでしょう、 更にはFacebookの擁するアクティブユーザーの取り込みは 未だ海のものとも山のものとも分からないWindowsフォンに取っては魅力的です。

しかし7月28日記事の記事にあるように、 Facebook独自スマートフォンの可能性は 現時点ではCEO自らが否定しているのでした。 ただ以上挙げたような独自スマートフォン開発の難点を見てみれば それ等を含め遠慮深謀しての発言にも見えるのは穿ち過ぎでしょうか。

上場資金を得て同社はM&Aに勤しんでいますが、 これはどうやらユーザー数の増加を狙ったものに主に流れているようです。 同社が現在注力しているのは既に8億人のユーザーを越えているにも関わらず 更なるユーザー数の増加でこれは発展途上国には妥当な施策となるかも知れませんが、 頭打ちになっている先進国では、特に米国で残りのインターネットユーザー獲得に 血道を上げるのは意味があるようには思えません。 そしてこれは同社CEO、マークザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏が2011年7月、 ビデオチャット機能を発表した際、同時に言及していた向後5年間 指標をユーザー数から情報共有件数に転換するとしたのに反してもいますし、 モバイル注力への方向からベクトルがずれていもします。

上場迄目立つ挫折もなく伸びて来たFacebook社ですが、 世界のインターネットユーザー動向がPCからモバイル主体の利用に移るに従い、 根本的な部分で施策変更を余儀なくされた際に、 その方針を誤れば初めての挫折を味わう事態になるやも知れず、 ここに於いて多少のブレ、ズレも感じられる同社の施策は 大手IT企業間のパワーバランスを思う時、実に注目に値するものです。

かたむき通信記事内言及記事 参考URL
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