柿の種ピーナッツ紛争勃発

自社の人気商品のパッケージデザインに酷似しているとして 販売中止及びデザイン変更を求めて訴訟がなされました。 原告側は 亀田製菓株式会社 、被告側は 株式会社宮田 及び レスペ株式会社 (2019年10月11日現在当該ドメイン「respe.co.jp」アクセス不能確認)であり、対象となっている商品は 柿の種 関連商品です。

関連ニュースリリースは亀田製菓より公式に配信[※1] されています。 それに依れば商品の製造販売の差止め等を請求する訴訟は 2012年9月19日付けで東京地方裁判所に提起されました。

亀田製菓の柿の種期間限定柚子こしょう風味と焦がしラー油風味(2018年5月10日撮影)
亀田製菓の柿の種期間限定柚子こしょう風味と焦がしラー油風味(2018年5月10日撮影)

商品は柿の種ですが、 柿の種自体は亀田製菓オリジナルのものとはされていません。 元祖は新潟県長岡市の 浪花屋製菓株式会社 とされ、大正12年(1923年)創業の当初は小判型で販売していたお煎餅の金型が歪んでしまった際に そのまま歪曲したお煎餅を販売したら柿の種として大評判を取ったのが 大正13年(1924年)だとされています。 それは書籍として 元祖浪花屋 柿の種のココロ にも堂々と纏められているのでした。

亀田製菓でピーナッツ入り柿の種が発売されたのは1966年、 6分包の個装を大袋に詰めた商品 フレッシュパック柿の種 (後、 230g亀田の柿の種6袋詰 に名称変更) が発売されたのは1977年でした。 柿の種にピーナッツを混入し、販売したのは矢張り亀田製菓が最初らしいのですが、 ピーナッツの混入自体は諸説あって亀田製菓が最初であると主張するほど 強い証拠は有していないようです。 従って訴訟の内容はピーナッツ入りの柿の種に対してではありませんし、 してや柿の種である筈もありません。

訴訟の対象はそのパッケージデザインにあるのでした。 徐々に事業規模を拡大する亀田製菓は柿の種を扱う以上、 上記の理由から他社類似品との差別化を図る必要がありました。 依って1994年以降に配色を現在のオレンジを基調のものとし亀田製菓の製品であることを主張、 更には2005年よりパッケージデザインを継続して使用しています。 これに対し被告側のパッケージ形態が大袋に6袋を内包する処及び デザインの色彩、形状が原告側のものに酷似している、 と主張し販売の差し止めを要請しているのでした。

此処に掲示するのが原告側パッケージデザインであり、 被告側ものは宮田社Webサイトで確認可能[※2] です。

両社の沿革を見れば亀田製菓は1946年ですから戦後直ぐの創業であるのに対し、 宮田社は1931年に個人創業していますが法人化したのは1955年ですから、 事業の開始はほぼ似た様な時期と考えていいのだと思います。

更には其の後両社は大きく業績を伸ばし、 亀田社の資本金は19億4,613万円、2012年3月決算では連結売上高787億円余りとなり、 宮田社はそれには及ばないものの資本金5,000万円、 2011年に売上高286億円を計上している共に堂々たる企業です。 米菓最大手たる亀田社を宮田社が追う競合関係にあることは確かでしょう。

今年2012年4月6日には亀田製菓は東京証券取引所1部指定銘柄に昇格しました。 これは2000年に創業来初の営業赤字に転落した際、 社内改革を弛みなく継続した結果だとされます。 若しかしたら今回の訴訟もその方針の一環と取れなくもありません。 自社業績に悪影響を与える事象に関して妥協を許さない、と言う訳です。

対する宮田社は亀田社が再々の要請をしていたとしますから、 特別に晴天の霹靂と言う今回の事態でもない訳で 現時点でノーコメントを貫くのも何某かの思案が有るのかも知れません。 この言って見れば 柿の種ピーナッツ紛争 は思った以上に世間の耳目を集めていますから、 訴訟に勝つにしても負けるにしても宮田社の新パッケージデザインは 恐らく各方面に取り上げられるでしょう。 ネット用語で言う処の 炎上マーケティング の実施し処とも言えます。 遣り方次第では宮田社にも大きな広報チャンスが巡って来たと言えるでしょう。

参考URL(※)
  1. 株式会社宮田等に対する差止め等請求訴訟に関するお知らせ(亀田製菓株式会社:2012年9月19日:PDFファイル)
  2. 6P柿ピー(株式会社宮田:商品カタログ:当該商品は2019年10月11日現在商品カタログに見当たりません。)
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