尖閣諸島中国漁船衝突事件が勃発したのは2010年9月7日、 この際海上保安庁石垣海上保安部により録画されたビデオが sengoku38 氏に拠りYouTube上に共有されたのが2010年11月4日、 以降一般国民にも広く知れ渡り周知されたのが 尖閣諸島問題 と一般に称される国交領土問題でした。
この如き外交問題が経済上にも影響を及ぼすのは論を俟ちません。 香港の俳優が此れに影響を受けて製作を予定されていた映画の出演をキャンセルすることとなり、 その映画製作計画は流れ、其れが引き金となって製作会社が倒産を余儀なくされる事態が齎されました。 東京都の青山を本拠とし映画版権販売、配給及び製作を事業として営んできた 株式会社プレノン・アッシュ (2020年3月8日現在ドメイン停止確認)が2013年2月20日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けたのでした。 帝国データバンク[※1] にも東京商工リサーチ[※2] にも負債総額は129人に対し約6億4,300万円と伝えられます。
同社は1988年、即ち昭和(63年)の創業でアジア映画を中心に製作、配給し、90年代には一世を風靡しました。 平成に入っても9年には香港の監督ウォン・カーウェイ氏がメガホンを取った ブエノスアイレス がカンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞して大ヒットを飛ばしていましたが、 近年に至りその勢いは衰え、売上も衰退する一方となっていました。
同社が復活を期して計画した映画こそ 一九〇五 であり、去年発表の段階では今年2013年秋の公開を目論み 2012年11月にクランクイン、2013年1月にはクランクアップする予定でいた[※3] のです。 しかし尖閣諸島問題が影を落とし主役を予定していた香港の俳優の降板が決まり映画の製作自体が流れてしまったのでした。 日本と中国の共同製作であり同社と 松竹株式会社 が共同配給すると言う大型プロジェクトが頓挫してしまっては資金繰りが圧迫されるのは必然、 他にこの事態を補填する事業もない中には今回の状況を回避は出来ませんでした。
この映画にはAKB48を卒業した 前田敦子 さん[K1] もキャスティングされていました。 難航していたキャスティングに同社代表でもあるプロデューサー氏は 彼女を見た途端適役と直感し、叫び声迄上げたと言います。 AKB48を卒業し国際女優として羽ばたかんとした正に其の出鼻を挫かれた感があるのでした。
今や巨大な存在感を示し始めたAKB48は総元締めである 秋元康 氏を以ても最早コントロールの効かない状況にもあるようで、 万策尽き果てた[※4] などとの愚痴も聞こえて来ます。 これ程大きな存在となったトップアイドルグループの絶対的エースとしてセンターの重責を担う其の圧迫感は如何許りのものであったでしょうか、 年端も行かない思春期を過ぎたばかりの女性には重過ぎるものであったのは想像に難く有りません。 しかしそれは芸能界での活動性とのトレードオフでもある訳で、 卒業以降の彼女の動向は注目されるものでしたから、 其の中での同社の倒産が些か暗い影を落とすのも否めなくはあるでしょう。
外交問題と現在芸能界の中心に在るAKB48と言う巨大な存在の狭間に ともすれば見過ごされるように口を開けたクレバスに吸い込まれるように 落ち込んでしまった印象のある今回の倒産劇ではありました。
かたむき通信参照記事(K)- AKB48総選挙と政治選挙の相違を前田敦子さんの卒業から見てみる(中間順位速報追記)(2012年5月23日)
- 映画版権販売・配給・製作 尖閣諸島問題で映画「一九〇五」の製作が事実上頓挫 株式会社プレノン・アッシュ 破産手続き開始決定受ける 負債6億4300万円(帝国データバンク:2013年2月25日:2020年3月8日現在記事削除確認)
- (株)プレノン・アッシュ~尖閣諸島問題が影響~(東京商工リサーチ:2013年2月25日)
- 前田敦子、国際女優デビュー!トニー・レオン&松田翔太と黒沢清監督作で共演!(シネマトゥデイ:2012年9月10日)
- 秋元康氏、AKB運営の苦悩告白「万策尽き果てた」(ORICON STYLE:2013年2月24日)