米国がエネルギーの方針を転換するかも知れません。 時代が大きく移り変わろうとしています。 その原因の一つは世界中にインパクトを与えた去年日本に起きた未曾有の大震災に因る原発事故です。 そしてもう一つの要因は代替エネルギーの著しい実用化への進展です。
福島原発については謂わずもがな、 そのコスト算定については従来の手法が最早通じなくなったのは事実の前に明白です。 決して従来謂われる如く低廉なものでは済まない状況が明らかになって来ました。 日本に於ける悲しむべき事故は世界に教訓を与えたのでした。 米国も例外ではありません。
そして米国に於いては新資源の実用化が近年大いに進んだだけでなく、 コストも顕著に低減、実に廉価な代替エネルギーが登場したのでした。 かたむき通信2012年5月25日の記事 米国先行のシェールガスのエネルギー資源開発へのインパクト に伝える シェールガス です。 この開発、実用化の成功に拠り、 今米国のエネルギー価格は世界最低の水準に迄なっているのでした。
シェールガスについてはJBPRESSが2012年7月27日付英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記事 シェールガスブームに泣く石油大手米国での天然ガス価格急落が大幅な減益要因に (2019年4月24日現在記事削除確認)を伝えています。 彼の泣く子も黙る石油メジャーをして泣きを入れさしめる程の衝撃を与え得るのでした。
以上原発、シェールガスの2点を以て米国GE社のCEOは7月30日付け英紙FTインタビューに 原発の経済的正当化の困難を言及した旨、MSN産経ニュースの2012年7月31日の記事 原発「正当化難しい」 米GEトップが英紙に (2019年4月24日現在記事削除確認しましたので同内容の日経新聞の2012年7月31日の記事に 米GEのCEO、原発「正当化難しい」 英紙に語る に新しくリンクを貼り置きます。)などが伝える処です。 日本の原子力発電所の約半数が採用する沸騰水型原子炉(BWR) を開発したGE社の最高経営責任者の言だけに重みがあるでしょう。
アメリカでは事実上のエネルギー大転換が起きているのですが、 片や日本はと言えばかたむき通信2012年7月19日に 原発是非の鍵を握るLNG(液化天然ガス)利用の日本に於ける動向 を伝えたように、アメリカでのエネルギー価格下落の恩恵は全く受けられる状態にありません。 政治的にもインフラ的にも当面は高値で掴まされざるを得ないでしょう。 エネルギー問題に関して日本は全くリスクヘッジが出来ていなかったといえます。
ただ代替を持たぬを以てして原発を経済的優位性にあると断定すれば 道を誤るばかりでしょう。 かたむき通信には2012年7月26日の 躍進する日本太陽光発電~ソフトバンクに強力なライバル出現 を始めとする一連の記事で 太陽光発電 について世論の後押しを受け活況を呈し始めている様子を伝えますし、 2012年5月21日には メタンハイドレート開発急ピッチ~日本がエネルギー資源大国に変貌する可能性 で近い将来に於ける メタンハイドレート の可能性を書きました。 また2012年6月18日には 国内最大規模新潟県沖油田・天然ガス田(来年4月試掘開始)の可能性を試算して見た で既存の化石エネルギーの、 2012年7月29日には 再び脚光を浴びる人工光合成 で人工光合成の可能性を書きました。
孰れも今は小さな勢力に過ぎないかも知れませんが、 今を機にそれぞれの可能性を鑑みリスクヘッジの選択肢として 将来は米国のシェールガスの如き主力エネルギーに取って替わるべく 地道に根気良く育て上げて行くしか無いのだと考えます。