ソニーHMZ-T2発売にあたってHMZ-T1を改めて見てみる

品薄が続いた大人気のヘッドマウントディスプレイの新型モデルを ソニーが発売すると言うengadget日本版の記事[※1] が配信されました。 3D対応ヘッドマウントディスプレイ パーソナル3Dビューア の新モデル HMZ-T2 です。

engadget記事に依れば改善点は以下にリストアップするものであるとされています。

  • 20%ほどの軽量化で重量は330g
  • 装着方法が改良、カスタマイズの幅が広がった
  • ヘッドホンを取り外し可能とし好みのものに交換可能
  • ワイヤレスリモコンが付属

また、旧モデルから引き継いだ点は以下リストアップするものとされています。

  • 視野角45度の有機ELディスプレイ
  • 有機ELパネル片方の解像度は1280×720
  • 仮想5.1chサラウンド
  • 本体はプロセッサーユニットと有線接続

こうなると大人気の余り品薄上体が続いたという初代の HMZ-T1 が気になってきます。 アマゾンを見てみれば SONY HMZ-T1 は今現在(2012年8月30日)でも入手可能となっています。 あわよくば在庫処分の値落ちした処を狙うのは如何か?とも思えて来ます。

先ずこのニュースを伝える処のengadgetの過去の記事を見れば[※2] ヘッドマウントディスプレイに於いて映画館のような大迫力と謳いながらその実 目と鼻の先に切手サイズ画面 という製品が多いと切って捨てた後、 HMZ-T1では大きな光学レンズを採用することと視界の全体を覆うシールディング構造で、 それ等とは大幅に異なった没入感を実現しているとします。 ヘッドマウントディスプレイに於いては重要な点ですので、 評価はかなり高いものと言えるでしょう。

しかしその実現のために、重いこと、拘束具じみたヘッドバンドとケーブル、 電源と不可分であること、などが挙げられています。 これらが新型では幾分か改善が進んでいると考えられます。

次にITmedia LifeStyleの記事[※3] では1990年代後半の同社のヘッドマウントディスプレイ市場を切り開いた グラストロン を評価しつつそれとは異次元の製品として HMZ-T1 が写真付きでかなり詳細に紹介されています。 スペックなどを詳しく知りたい方など必見でしょう。

ITmedia記事には音質的にはもう一つと評価されていますので 今回ソニーは交換可能とすることで、 個人的好みも大きい音質面に対応したのではないかと思います。 しかし今回変更のなかった映像面について敢えて変えなかったのは然も在りなんと思える 手放しで持ち上げる評価がなされているのは 旧モデルを主有する方にも嬉しい処でしょうね。

wearing Sony HMZ-T1 photo credit by kobakou

最後にファイルウェブの記事[※4] では、発売前の試用レポートと言った体裁になっています。 接続が手軽であることが最初に述べられているのは 入手を検討する方には嬉しい情報でしょう。 しかし此処でも矢張り重さが弱点となるのは否めないようです。 それは恐らくソニーが新モデルに最も心を砕いた部分かも知れません。

此方もITmedia記事と同じく写真は豊富ですし、 スペックについても専門家の文責で詳しいものとなっています。 また実際の試用感で遮蔽性や目の疲労度などに言及されているのも嬉しい処だと思います。

未だ入手可能ですし値段が落ちることもあるかも知れません。 けれども新型が旧型から軽量化しヘッドフォンを交換出来る様にしたのが改善点であると謳う以上、 少々重くてヘッドフォンは最初のお仕着せのものを 使い続けなければいけないのはしょうがありません。 これ等が許容できるならば旧モデルも充分有りなのではないでしょうか。

追記(2015年5月1日)

本記事にソニー社のヘッドマウントディスプレイ製品、HMZ-T2発売を伝えてより2年と半年余り、シリーズは HMZ-T3 を発売するに至っていましたが今回同シリーズ生産完了の旨を2015年4月24日に発表したと伝える記事[※5] が配信されました。 ソニー社公式サイトのニュースリリースには此の情報は見当たりません。 記事にはソニー社の言い分として屡々怪しげな所謂コンサルタントなどの口にする 選択と集中 が理由に挙げられていますが黒字転換に躍起になり短期業績向上を熱望するソニー社には 当該事業の将来的意味を考える余裕はないのかも知れません。

折しもMicrosoft社が開発者向けイベント Build 2015 の初日は4月29日に発表したのがヘッドマウントディスプレイ製品 Microsoft HoloLens でした。 食傷気味なほど我先にと配信される様々な記事[※6・7] にデモなどを見れば良くある近未来風景の些か抜けた印象も否めはしませんが、 Microsoft社には IoTInternet of Things) や医療分野への応用、活用も視野に入れているとされるのは可能性の肯んぜられる処でしょう。

そろそろ一昔となる以前には犬型ロボット AIBO が緊縮経営を進めるとする同社より切られました。 当時の記事[※8] に記されるサポート期間の7年も既に切れ、 寿命を迎えんとするAIBOの飼い主の延命の切望を叶えるべく、 同社技術者OBがほぼ善意から腕を揮っているかにも聞こえるのは喜ばしく思えるものの ご本尊の姿勢には疑義の挟みを惹起される感情を禁じ得ません。 ヘッドマウントディスプレイ製品では頃日 Google Glass の失敗をGoogle社自らが認めている[※9] かにも伝え聞き、まさかソニー社が其れに引き摺られ、 今更Microsoft社の発表に狼狽している訳でもないでしょうが 同社はカンフル剤的な処方として将来長期的に利益を齎す大事な事業を手放しているような気がしてなりません。

昨日2015年4月30日、ソニー社は2016年3月期連結営業利益見通しで黒字発表をしました[※10・11] が、伝える記事にも散見されるように同社では下方修正が度重なっている厳然たる事実もあり 今回は此れを配慮した発表とはされるものの飽く迄自社自身に依る予想に過ぎず 狼少年となる事態を避けるべく望まれるものです。

使用写真
  1. wearing Sony HMZ-T1( photo credit: kobakou via Flickr cc
参考URL(※)
  1. ソニーの3Dヘッドマウントディスプレイに新型 HMZ-T2、軽量化&ヘッドホン交換対応(engadget:2012年8月30日)
  2. ソニー、3D対応有機ELヘッドマウントディスプレイHMZ-T1を11月11日発売。6万円前後(2011年11月6日)
  3. 「映画館並みの迫力」は本当か!? ソニー「HMZ-T1」を体験(ITmedia:2011年10月28日)
  4. ソニー「HMZ-T1」を山之内 正が4時間ぶっ続け視聴 - 「一度体験すると忘れられない3D映像」(ファイルウェブ:2011年10月26日)
  5. ソニーのHMD「HMZシリーズ」、“選択と集中”で生産終了。Morpheusなどは開発継続(AV Watch:2015年4月30日)
  6. 今見ているのは現実か仮想か?マイクロソフトの『HoloLens』が未来すぎる(週アスPLUS:2015年4月30日)
  7. 現実空間にホログラムを投影する「HoloLens」デモがすさまじすぎて必見レベル(GIGAZINE:2015年4月30日)
  8. ソニー「AIBO」の歴史に幕--7年間に全世界で15万台(CNET Japan:2006年1月27日)
  9. Despite Glass failings, Google defends 'license' to spend(Reuters:2015年1月29日)
  10. ソニーの今期、営業益4.7倍・3200億円見込む 最終黒字転換へ(ITmedia ニュース:2015年4月30日)
  11. ソニー:今期営業益3200億円と慎重予想-最終益は3年ぶり黒字に(Bloomberg:2015年4月30日:2019年9月24日現在記事削除確認)
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