未来工業~ヘンなきまりの優良企業はホウレンソウも残業も禁止

ホウレンソウ(報告、連絡、相談) とは近年頻繁に使われる言葉で経営上に効果も出ることから 最近では怪しげな経営コンサルタントなどもちょいちょい口走るようになって どうも効用が薄れてきたようにも感じられます。 処がノッケからこれを否定して掛かる企業があります。 岐阜県に本拠を置き電気設備資材、給排水設備及びガス設備資材の製造販売を手掛ける 未来工業株式会社 です。

未来工業は昭和40年8月に現取締役相談役の山田昭男氏と故取締役会長清水昭八氏のお二方が 大垣市久瀬川町に資本金50万円で設立しました。 創業者の一人、山田昭男氏の著作と共にメディアへの露出で 頃日とみに話題となり多く取り上げられるようになった未来工業ですが、 その本業よりは経営哲学での扱いが多い様です。 それというのもその経営哲学があまりにも常識から懸け離れているからでしょう。 ユニークな経営哲学から産み出される手法も独特でした。 本記事タイトルに掲げ冒頭にも記したホウレンソウ禁止もその一つです。

資本金は70億6786万円、2010年3月期の連結売上高は255億円 2009年3月時点の従業員数は767名と堂々たる優良企業は その独特の経営方針で運営されています。

メディアにも多く取り上げられ著述も多い山田氏の考え方はそれらを閲しても覗うことが出来ますが、 オンライン上にも配信されることが増えました。 その一つに本日2012年6月12日に配信されたITmediaビジネスイノベーションの 「社員をコスト扱いするな」 日本一幸せな会社・未来工業創業者・山田昭男さん (産経デジタルとの契約の掲載期限切れによる記事削除確認)があります。

山田氏のインタビューで構成される記事で件のホウレンソウ禁止の理由も インタビューアーの支社や営業所を社員が勝手に作っている旨の質問を受けて以下のように語られています。

現場のことは、現場の社員が一番よく知っているからね。支社や営業所も「必要だ」と思ったから作ったんでしょ。私は名刺を作る度に(裏に書かれた支社・営業所を見て)「また増えとるなぁ」と思うぐらい(笑い)。社長なんてバカだと自覚しなきゃいけないんだよ。陣頭指揮などもってのほか。どう『餅』を与えるか、っていう大きな「戦略」を考えるだけでいい。「戦術」は社員に任せるのがいいんです。

この他にも未来工業のユニークな点として以下が列挙されます。

  • 営業のノルマ禁止
  • 残業は一切禁止
  • 定年は70歳
  • 年間の休暇は有給休暇を除いても140日
  • 全員が正社員

どう見ても突拍子もない特徴ばかりです。 しかも年間の休暇についてはもともと有給休暇を使えば半年休める処、 社員旅行でクイズ50問に正解するとご褒美が半年間の有給休暇とあっては 正解すれば丸々1年間がお休みとなってしまいます。

しかし此れ等のとても普通では運用不可能に思えるものも 山田氏のインタビューを見れば成る程と肯かされる部分が多いことが分かるでしょう。 このユニークな形態にして名証2部に上場の超優良企業、 その結果人呼んで、 日本一社員が幸せな会社 と謂わしめる企業ともなっています。

常識外れに見えながらしかしその方法論には差別化の重要性が確りと語られています。 そして差別化を図る為の方策として社員に常に考えることを習慣付けさせようと、 改善提案制度 など、モチベーション(これを山田氏は洒落なのか と表現します)を上げる仕組みも用意しているのです。 その上で山田氏に自社では不可能と愚痴る経営者に対して以下の如く叱咤します。

やりもしないで尻込みしているんだ。 儲かっているならいいよ。 でも日本の会社の97%が経常利益を4千万円も上げられない時代。 “儲かってもいない会社”がヨソと同じことをしててどうするの?ということ。 差別化すれば、中小企業だって大企業に勝てるんだよ。

時折常識外れな経営哲学で話題になる企業が出て来ますが 孰れも常識から懸け離れているようでいて聞いてみれば理に適っており肯んぜざるを得ません。 外見は突飛に見えても矢張り優良企業たる根っこの部分は皆、 確りしているのは間違いないようです。

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