光産業創成大学院大で連続核融合実験に成功~浜松ホトニクス、トヨタ自動車などと連携

核融合は正確には原子核融合、 言葉通り異なる原子核同士が融合して一つの原子核になる核反応で、 原子間の組成の変化を齎す化学反応とは次元の異なるものです。

核融合とは逆の反応が核分裂、原子核分裂で 一つの原子核が複数個に分裂する反応です。 これが現在用いられている原子力の大元となっているものです。

核融合でなく核分裂が現在原子力として用いられているのは 核融合に比較して実用化が容易であるからです。 太陽などの構成がエネルギーを放射し続けているのは核融合に依る原子力です。

原子番号の順番で見ると エネルギーを発生する原子核融合と原子核分裂を分ける境は 原子番号26の鉄です。 原子の結合エネルギーは原子番号表に於いて大凡この鉄を頂点としているので 鉄を境に核融合する原子と核分裂する原子に分かたれます。 横軸に質量数、縦軸に結合エネルギーの強さをとったグラフ四十三庵 ブログさんの2012年2月9日の記事 原子力を正しく恐れるための放射線・放射能基礎知識 に掲載してくれていますので 興味のある方はご参照下さい。

核融合に於いては現在福島原発も含めた原子力発電所で問題とされている 放射性廃棄物が大幅に減らすことが出来るとされているのが大きな長所です。 核分裂では放射性物質の生成が避けられませんが、 核融合では生成物は基本的にヘリウムとなります。 原子核同士が融合してヘリウムとなるのですから その材料は当然原子番号がヘリウムより小さな水素となります。 この同時に発生する中性子の処理も実用化に向けての高い障壁の一つとはなっているようです。

核融合と核分裂の違いについては東京大学大学院先端エネルギー工学専攻の 岡野邦彦 さんが分かり易く説明したWebページを用意してくれています。 興味のある方は 核融合とは をご参照下さい。

さて、斯くも期待される核融合技術ですが、 静岡新聞のWebサイト @S(アットエス) では2012年4月5日に レーザー核融合、連続反応に成功 光産業創成大学院大など(2019年1月16日現在記事削除確認) なる記事を配信しました。 核融合に於ける一手法、レーザー核融合反応に於いて 爆縮高速点火 なる手法で毎秒1回のペースで連続100回して起こすことに2012年4月4日、 成功したというのです。

現在核融合技術に於いて中性子の処理と同様 実現化に向けた高い障壁の一つとされている問題が 人工的に核融合反応を連続して発生させることが困難を極めることでした。 この手法に依る連続反応は世界初と言うことで、 同大学院大の北川米喜教授は レーザー核融合発電の実現に向けた第一歩を踏み出せた と言及されたとのことです。

使用写真1.浜松ホトニクス本社工場(固体事業部)看板

今後、実用化に向け更にレーザー装置の高出力化などに取り組むとのことで、 この成果は今月4日に物理学の専門誌としては最も権威のある アメリカ物理学会 の米国物理学専門誌 フィジカル・レビュー・レターズ の電子版に掲載されるそうです。

岡野さんのページでは 核融合炉開発スケジュール が以下のように説明されています。

  • 2030年:デモ炉
    安全性・経済性実証
    完全定常運転電力を発生
  • 2050年:実用炉
    核融合炉実用化への準備が完了
    実記投入時期は時代の要請次第

かなり先の話の様にも思えますが、 今回の光産業創成大学院大に於ける核融合反応の連続発生実験の成功で グッと実現に向けて近付いた感をも受けます。

使用写真
  1. 浜松ホトニクス本社工場(固体事業部)看板(2013年12月21日撮影)

追記(2013年12月23日)

浜松ホトニクス代表取締役社長晝馬明氏のテレビ出演を受け 浜松ホトニクスのレーザー核融合への非常識な取り組み を配信しました。

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