かつて一世を風靡したSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の mixi はその成長過程で今やソーシャルゲームで名をなすGREE(グリー)などとの競争に勝利し、 日本一の会員数を有し、 SNSと言えばmixi(ミクシィ)を指した程でした。
その盛り上がり振りはmixiでの友人との遣り取りの楽しさの余り、 いつでもネットと接していなければならない強迫観念から mixi疲れ と言う流行語も作られたことからも察せられます。
IPO時には株価は上がる一方、 手にした巨額の資金の使い道に時の社長笠原健治氏が貯金などと、 冗談にせよ口走ったことで叩かれたこともありましたが、 世の投資家から大いなる期待をされたことは確かでした。
しかしそのmixi社の主業務であるSNSサービス mixiの凋落が留まる処を知りません。 去年の夏には ブログ Acenumber Technical Issues の2011年8月27日の記事 撤退!mixi~最早衝撃的な名称のツール登場 にmixiを止める際、データを全て引き上げるためのツールが登場したことを紹介しました。 この時には既にFacebookに加えGoogle者のSNS、 Google+(グーグルプラス)の名も記事に見えています。 黒船たる舶来SNSの襲来がmixiに影響を与えたことは確かです。
それより一年近くが経とうとしていますが、 業績回復のためのmixi社では決定的な手が打てていないようです。 ネット上を見れば打つ手打つ手が空回りどころかネガティブな反応をも齎している様子が伺えます。 例えば以下列挙する処等が先ずは不評として上げられるところでしょう。
人に依っては日記検索の制限やコメントの回数制限を上げているものもあります。 設定や条件に依って機能制限はあるでしょうが、 利用者にもストレスが溜まる仕様変更が頻繁に行われたようです。 それは決して利用者に不快感を与えるためのものではなく、 サービスを快適にしようとの目的ではあったけれども上手く機能しなかった、ということでしょう。
更には追い討ちを掛けるべきデータが公表されました。 それは自らの直近の四半期決算短信及び通期短信発表に伴う各種最新データに含まれるものでした。 このデータの「登録ユーザー数」と「月間ログインユーザー数」などについてグラフ化による可視化で 分かり易くしたものを記事として ガベージニュースが2012年5月12日に スマホの利用進む、mixi Touch比率13.1%へ増加…mixi動向(2012年3月) を配信してくれています。
当該記事の要点を述べれば 登録ユーザー数は増えているものの月間ログインユーザー数は横這い、 若しくは減少に転じているためアクティブ率が上昇している と言うことになるでしょう。 簡単に言えば登録すれども使われず、と言うことになります。 現在インターネットコンテンツがユーザー時間占有率を競う中、 この数字は直接経営に影響を与える厳しいものと謂わざるを得ないでしょう。
mixi社はSNS企業としての成功が大き過ぎたためか、 返って舵を取れ切れなくなった感があります。 冒頭に嘗ての競合GREE社などは今は問題の感も有りますが、 mixiとの戦いに敗れた後、上手くソーシャルゲームに舵を切ることが出来ました。 そして当のmixi自身が嘗ては人材派遣会社であり、 社名も株式会社イー・マーキュリーであったものを サービスブランドmixiへと商号変更したのでした。 しかし最早その会員数の重さから舵を切り得ない状況となっていたのかも知れません。
そんなmixiが未だ決定ではないようですが遂に身売りを検討しているとの情報が入って来ました。 日経ビジネスの2012年5月15日の記事 ミクシィ、身売りを検討 (2019年2月2日現在記事削除確認) がそれで副題は 突然の不自然な経営体制刷新 とされています。
しかし未だ経営方針にはブレが見られ一定の指針が見えないようです。 上記の数字を見れば経営不振に到るのは致し方のない処ですが、 この状態が長く続いて経営陣、代表が求心力を失っているのかも知れません。 記事ではこれを社内の混乱状態を表すものと指摘する声があるとし、 一方、突然の経営体制刷新を身売りに向けた地均しと見る向きもあると伝えています。
斯様にSNSを主業務とする経営は困難を伴うものなのでしょうか? またはSNSの避け得ない宿命なのでしょうか? 答えは数年の内に今まさにmixiにプレッシャーを与えているFacebookが出してくれるのかも知れません。
追記(2019年2月2日)
周知の如くmixiは其の後スマホゲームの モンスターストライク、略称 モンスト で大ヒットを飛ばしV字回復を果たしました。 ビジネスジャーナルの2018年5月8日の記事 ミクシィ、身売り危機から売上16倍の奇跡的復活→突然失速…「モンスト頼み」の脆さ を見れば今はモンストに依存した懸念はあり、経営や一寸先は闇ではあるでしょうが、 何しろ一旦は売上16倍と言いますから、余剰資金も手に入れ、本記事を配信した頃に比べれば雲泥の感があるでしょう。 翻って今やmixiの売上比率に於いては1割を切った事業部門のSNS業界に於いては、Facebookは GAFA の一角を占め、財務的には安泰であるものの個人情報関連に於ける方針が世界中、特に欧州から突き上げを受けて難しい局面にありますし、 GoogleプラスなどはCNET Japanの2019年2月1日の記事 「Google+」一般向けサービス、4月2日に終了 などにもある如く遂に終了の憂き目を見ることになりました。 此のSNS業界の状況を鑑みて過去の栄光として一応はSNSに或る程度のブランド力を有する mixiが現在依拠するモンストの流石に何時迄も勢いは続かないだろうとの一般的見解も考え併せ、 果たして何某かの手を再びSNS事業に対して打って来るのか、なども興味深くあります。