情報処理は凡そあらゆる分野に関係しますから 時折驚くような関連性を見せられることがあります。 かたむき通信に2012年5月9日伝えた Google自動運転車が公道で自動走行テストする許可取得 がそうでした。 Google製の自動車が街を走ると言うのです。 良く話しを聞いてみれば人が運転するのではない自動運転と言われれば なるほどGoogle社が関連すべき事業だとはっきりするものでした。
そしてGoogle社がまた興味をそそる実験を試みているのが耳に入ってきました。 元来このような試みは例えば米国防省とかIBMなど発信される印象もありますが、 しかし自動車よりは如何許りかGoogle社の関与であるのを首肯せしめらるのは 人工知能及び機械学習研究に於いて 巨大な自社データセンターをシミュレーション脳として用いると言う内容だからです。
この情報はGoogle社の公式ブログに GoogleフェローのJeff Dean氏と 客員研究員のAndrew Ng氏が2012年6月27日に投稿した記事 Using large-scale brain simulations for machine learning and A.I. に記されています。 日本ではこの記事を元に以下の両記事が配信されています。
研究者としては機械翻訳がまだまだ笑いものとなる対象であるのは充分心得るも歯痒くはあるようで、 その陰にある膨大な研究についても少々周知が行き届くのを願ってもいるようです。 それと共に従来の人工知能、機械学習についての効率の悪さも認識しており、 その解決策として人間の脳をシミュレーションしたニューロコンピュータに可能性を感じ、 このプロジェクトの始動と相成ったようで、 そのためにはGoogleが保有するデータセンターの内にも16,000箇のCPUの使用が許可されたのでした。
研究チームはこの与えられたCPU群でニューロネットワークを設計、 この脳シミュレーションモデルは10億以上の接続を可能にしているとのことで、 実際にこのニューロコンピュータを用いて機械学習の実験を行いました。 その実験と言うのもYouTubeの膨大な動画データを 出鱈目に幾つも幾つもこのモデルに一週間に渡って見せる実験です。
すると遂にこの小さな脳は 猫 を認識するに至ったと言います。
従来の機械学習に於いてはコンピュータに 自動車を覚えさせるには自動車の、 オートバイを覚えさせるにはオートバイの、 膨大な写真を用意して学習させる必要がありました。 今回の実験ではこのような操作の必要も無く、 ニューロコンピュータは猫を覚えてしまったと言う訳ですね。
その理屈から行けばニューロコンピュータに見せた膨大な動画には まだまだいろいろなものが移っていた筈で、 何か別のものだって覚えた筈になる訳ですから 其処等辺りも気になってしまいますね。
小さな頭脳は果たして何を覚えたんでしょうか? しかしYouTubeでは可愛い猫がこれも大量に配信されている印象もあり、 猫を覚えるのは必然だったような気もします。 小さな頭脳からは先ずGoogleはYouTubeの傾向について 情報を得ることが出来たと言えるのかも知れません。
この研究成果は孰れ 高品質な音声認識、実用的コンピュータビジョンや電子メールのスパム防止、 勿論本記事冒頭のGoogle式自律型運転自動車にも活かされるようですので 近い将来我々はその恩恵に与れることになるでしょう。