レバ刺しは食べられなくなる~生レバーのO157問題で厚労省が販売禁止通達

お笑いグループダチョウ倶楽部のメンバー寺門ジモンさんは漫画の原作者でもあります。 ジモンさん原作の漫画はそのタイトルも ネイチャージモン ! 趣味の世界に生きるときのジモンさんの異名がそのままタイトルになった ジモンさん自身が主人公の漫画です。

講談社の月刊ヤングマガジンに連載中でヤングマガジンコミックスとして単行本化されている最新刊は 第8巻 になるこの作品、 クワガタムシを山の中に追いかけるお話も面白いですが、 肉の達人ネイチャージモンのお話もとても魅力的です。

肉に関するエピソードの嚆矢となるのが ネイチャージモン第1巻 の後半を占める 神の焼き肉を喰う男 でした。

ここで取り上げられているお店はネイチャー曰く 東京一の肉のテーマパーク 、グルメガイド誌ザガット・サーベイの料理項目で1位を獲得したこともある スタミナ苑 です。

ウーロン茶、キムチ、ホルモンの味噌煮込み、牛スジのゴボウ煮、生野菜、タン、 とメニューが続いた後に出て来た皿が あぶりレバ塩 です。 それはもう皿をナナメにしても滑り落ちないほどの鮮度 だそうで、この漫画の語り部、編集者のコマツはつぶやきます。 でもこれってどう見てもレバ刺しじゃ…?

そうなんですね、見た目はレバ刺しに他ならないお皿は 焼いて食べて下さいとお店から提供されているものなんです。 この疑問に肉の達人ネイチャージモンはこう答えます。 今は保健所の指導でレバーを生で出すことはいけません、となってるんだ と…。 処が矢張り生でいける鮮度のレバーが目の前にあると どうしてもそのまま口に放り込む方も出て来るようで、 ご他聞に漏れずネイチャーも…(笑)。

最近ではタレントさんの名前を借りた焼き肉店が食中毒を起こして話題になりました。 そこではレバ刺しが問題ではなかったようですが、 とても危険な大腸菌であるO157が検出された報道もありました。 このお店は無期限営業停止処分とされました。

近年、食中毒事件を引き起こす原因の多くを占める O157の問題は喫緊の問題でもある訳ですが、 牛の生レバーには重い食中毒を起こすこの菌が検出されることが頻繁でしかも なかなか簡単で安価な検査や除去は難しく、 やはり安全に食すには加熱が必要となるようです。

この件に関して行政が動くことになったのは已むを得ないでしょう。 厚労省のホームページを見れば2012年6月12日にお知らせとして 牛レバーを生食するのは、やめましょう(「レバ刺し」等) が配信されています。 此処には食品衛生法に基づき生食用牛肝臓販売の禁止が平成24年7月1日から実施される旨、記されます。 この決定は 平成24年6月12日 薬事・食品衛生分科会 を受けて為されたものです。 消費者及び事業者に向け以下のような文言で注意が呼びかけられています。

  • 消費者向け
    牛レバーは生で食べず、中心部まで十分に加熱して食べましょう。
  • 事業者向け
    平成24年7月(予定)から、加熱用を除き、生の牛肝臓は提供できなくなります。

更に詳細に渡る説明がなされたPDFファイル 牛肝臓に係る規格基準設定について が事業者向けに配信されていますが誰でも閲覧可能ですので レバ刺しが好物という方などは一回目を通しておいた方が好いかも知れません。 罰則も設けられた禁止は2012年7月1日からの予定で 現在はその準備に動いている猶予期間ですが、 この間も牛レバーの生食は控えるように警告が発されています。

PDFファイル規格基準設定についてにはこの設定は 牛肝臓の生食の安全性を確保する知見が得られるまでの間とされていますが、 そのような知見の可能性があるのでしょうか? 実は 放射線照射殺菌 なる手法が世の中には存在します。 この手法に付いてはSankei Bizが2012年5月20日の記事 生レバー内部のO157 放射線照射殺菌は? 米国は食中毒対策で許可 (2019年5月9日現在記事削除確認)で詳しく伝えてくれます。 しかしこれは日本では許可されていませんし コスト的な問題も抱えているようです。

追記(2012年6月28日)

本記事に伝えた法律施行日の7月1日を数日後に控えた2012年6月28日に毎日.jpから 食中毒:居酒屋で生レバーなど食べ、4人に症状 福岡 (2019年5月9日現在記事削除確認)なるニュースが配信され、 生レバーが原因の可能性が高い食中毒事件が発生してしまいました。 食べた日を見れば6日夜で、症状が出たのが9日午前中とありますので レバ刺しが孰れ食べられなくなるために、 その前に思いっきり食べておこうとでも思った駆込み食中毒ではどうやらないようです。

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