創始以来ちょうど400年目の節目の年に勝利したのは 森内俊之名人 (41歳)でした。 2012年6月13日、第6局を福岡県北九州市小倉北区古船場町のホテルニュータガワに制し、 見事4勝2敗で去年に続き名人位を死守、防衛して見せました。 2012年名人戦についてはかたむき通信にも
- 名人位成立よりちょうど400年の平成24年将棋第70期名人戦始まる(第1局:2012年4月10日)
- 第70期名人戦森内名人対羽生王位、第5局を制し森内名人名人位に王手(第5局2012年6月2日)
日本将棋連盟のサイトには2012年6月19日に更新された 将棋名人400年記念 第70期名人戦第6局レポート が設えられています。
一夜明け、激戦を制した森内名人の様子は毎日新聞の2012年06月14日の記事 将棋:第70期名人戦 防衛から一夜、森内名人「緊張抜けホッ」 に伝えられます。 記事には名人が去年秋より公式戦11連敗を喫するなど不調に苦しむ状態で名人戦に臨んだことが伝えられます。
一方敗れた羽生善治二冠(41歳)はそんな状態で名人戦を戦い抜いた名人について 下馬評は関係ない。名人戦に照準を合わせて調整していたんだと思う と評し、同時にその強さを 流されず、自分のやり方を決して崩さないところ と称えたと伝えるのは朝日新聞2012年7月5日の記事 「将棋はわからないこと多い」羽生二冠、自らの敗因分析 です。 この記事のインタビューは名人戦の終わった6月下旬に行われたもので 前厄にある二冠が今、己の将棋はどのような状態にあるのか語ったものです。
正しくこの時期、二冠は息付く間も無く自らが保持するタイトルである 棋聖戦 の最中にあったのでした。
棋聖戦は1日制のタイトル戦で5番勝負で施行されます。 第83期となる今年2012年は羽生棋聖と挑戦者中村太地六段との間で競われます。 第1局は6月6日兵庫県洲本市古茂江海岸のホテルニューアワジで、 第2局は同月23日愛知県豊田市岩倉町一本松のホテルフォレスタで対局が行われ、 共に羽生棋聖が制し王手を掛けていました。
そして昨日7月5日、初めて将棋のタイトル戦が開かれると言う小さな温泉街、 島根県江津市有福温泉町の旅館ぬしやで第3局が両者の間で戦われ、 見事羽生棋聖はタイトルを防衛して見せたのでした。 その様子はMSN産経ニュースの当日付けの記事 快挙にわく小さな温泉街 島根の有福温泉 に記されています。
羽生棋聖はこの勝利で棋聖戦の5連覇の達成と共に タイトル戦に於ける通算81期の歴代最多記録を成し遂げました。 これ迄は故山康晴十五世名人と並んでいたものを一つ数を延ばし歴代単独1位となったものです。
感想を問われると棋聖は 将棋のマス目と同じ数で、縁起がいいですね。よかったです。 と応じたそうで、成る程流石棋聖と感じ入らせられると共に 何とも棋聖の飄々とした雰囲気が伝わっても来るようです。
羽生棋聖はタイトル戦出場回数も108回を数える抜きん出た経験を有します。、 まだまだ厄年にも至らぬ若さにこの経験が相俟って、 上のインタビューでも聞かれる近年は、 量より、全体の理解という形での記憶を重視している そうで、この意識を以て通算81期タイトルを数えた前人未到の地平に立てば また新たに独自の境地を開き我々を驚かせてくれそうです。