クラヴィス倒産~改正貸金業法と消費者金融の現在

消費者金融 株式会社クラヴィス が2012年7月5日、大阪地裁から破産手続き開始決定を受け倒産となりました。 負債総額3268億8700万円で今年エルピーダに継ぐ大型倒産、 関西では過去最大規模の消費者金融の倒産です。

速報は2012年7月5日に 帝国データバンク:大型倒産速報:株式会社クラヴィス (2019年6月21日現在記事削除確認)及び 東京商工リサーチ:倒産速報:株式会社クラヴィス などから出されています。 前者では債権者約46万人に対する負債 約3,268億8700万円には過払い請求金約3,219億6,700万円が含まれるとし、 後者では負債総額を3,268億8,798万円、 内過払金返還請求権を3,219億6,749万円、一般破産債権を49億2,049万円としています。 また 株式会社クラヴィス破産手続き進行 のホームページも破産当日付けで用意されています。

クラヴィスは1975年リッチ株式会社として設立され 2000年には大手消費者金融プロミス株式会社の子会社となり、 2002年には商号を株式会社ぷらっとに変更、 2004年3月期には年収入高約378億400万円を計上していました。 2005年には商号を株式会社クオークローンに変更、 2007年には貸金業関連法改正の影響で全店舗閉店すると共に商号を株式会社タンポートに変更、 また2009年に親会社が変わると共に商号を株式会社クラヴィスとしていました。

2010年9月28日に東証1部上場企業の消費者金融 株式会社武富士 が東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請受理され、 それ迄消費者金融大手4社と謂われた一角が崩れ落ちました。 残る

  • プロミス
  • アコム
  • アイフル
が今大手3社と呼ばれてはいますが孰れも青息吐息の状態です。

嘗て栄耀栄華を極めた消費者金融にこの状況が齎されたのは 平成18年改正貸金業法 に起因しています。 中にも消費者金融業者に大打撃を与えたのが以下の2点と言い習わされています。

  • 総量規制
    2010年6月18日に施行過剰貸付けの抑制、 借入総額の年収の3分の1までの制限
  • 過払い金の返還請求
    制限利息を超えた超過部分(所謂 グレーゾーン金利 )の支払い後の過払金の返還請求を可能とする最高裁判所の判示

大手4社の内、ノンバンク系の武富士は敢無く倒れました。 またクラヴィスの元親会社、 プロミスは三井住友フィナンシャルグループの消費者金融子会社となり、 サービスブランドとして、 アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループとして、 共に大手金融機関の後ろ盾を以て辛うじて存続しています。 そしてノンバンク系アイフルは2009年9月24日に事業再生実務家協会へ 私的整理の一つ 事業再生ADR 手続を申請、同年12月24日にはロイターが記事 アイフル、事業再生ADRが成立でその成立を伝えています。

その後現在2012年3月期決算を終えて日経新聞に5月15日 アコムとアイフル、3期ぶり最終黒字 12年3月期 と伝えられるなど、 リストラが進んだこと、 過払い金返還に一服感が出たこと、 でアコムとアイフルの2社が黒字に転じた情報も伝えられます。

アコムについては後ろ盾の三菱UFJの力もあり不良債権を圧縮、 貸金業者への規制強化で減っていた新規顧客が 前期は3期ぶりに増加に転じているなどの回復振りを伝え、 またアイフルについても利息返金額を約3割減少させ、 過去5年で人員を約7割減らしてコスト競争力の向上を伝えますが、 この人員削減は見方に依っては債務整理のプロ集団 司法書士法人新宿事務所 が配信する 2012年5月1日アイフル情報 (2019年6月21日現在webサイト閉鎖確認)のように希望退職者が募集の3倍以上に及んだ件から 破綻の可能性の高さを見る向きもあるようにまだまだ予断を許さないようです。

今回のクラヴィス倒産の件は 果たして改正貸金業法以来業界最後の凶事となるのか、 それとも更なる災厄の前触れとなるのでしょうか。

スポンサー
スポンサー

この記事をシェアする