政府の軍事的要請もあって競馬界には嘗てサラブレッド以上の万を数える馬が居ました。 しかし今や現役は地方競馬の僅か6頭であることが 朝日新聞の2012年6月14日の記事 消えゆくアラブ馬 競馬界、40年で6頭に (現在リンク切れ)に伝えられます。 記事は 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (JAIRS)から得た情報で肉付けされた 日本のアラブ種の状況を表す豊かな内容となっていました。
戦後間もなくサラブレッドの足りない中で日本競馬界が重宝したのが 穏やかな気性で丈夫で粗食にも耐えて扱いやすい アラブ馬 でした。 1970年代前半までには12,000頭もの登録を数えたそうです。 しかし世が豊かになりサラブレッドを養う余裕が出来れば 次第に用無し扱いを受ける悲運は避けられなかったのです。
この消え行くアラブ馬とは人類が最初に成功した馬の改良種だと言われます。 馬の改良種の中で最初に確立した品種とされ、 サラブレッドもこのアラブ種から更に改良を重ねられた品種です。 従ってサラブレッドの先祖はアラブ種であり、 その名前も3大始祖として、以下列挙する処が挙げられます。
此れ等、固有名には限らないようですが固体ははっきりと特定出来る迄遡れるのは とても面白くもあり、競馬の本質を物語る事象でもあるように感じます。
馬の品種については実は様々複雑な事情が錯綜し 簡単に決め付けられるものではありません。 アラブ馬もサラブレッドもウマ種の中では 軽種馬であり、その他には絶滅したと言われる野生種は勿論、 中間種馬、重種馬もあります。
例えば日本でアラブ馬と言う時はアラブ種とサラブレッドの混血をそう呼ぶこともあります。 また上記したゴドルフィンアラビアンは 北アフリカ原産の軽種馬であるバルブ種であるとも言われているのです。
ゴドルフィンアラビアンに見られるように 実は上記の3大始祖の信憑性も薄いと言う説もある様で、 何やら人のルーツを辿る家系探しを暗示させる様にも感じさせられます。
その3大始祖に疑義を抱く一つの記事がJAIRSに2011年1月28日付けで サラブレッドは、アラブ種ではない(イギリス)【その他】 としてが配信されています。 競馬界の常識を断罪するだけに他にも非常に興味深い その主張を裏付けるデータが記されています。
2012年5月7日付けのJAIRSからのお知らせには 本財団は、純血アラブ血統書機関として世界アラブ馬機構(WAHO)に承認されました とあります。 実は血統などと言うものは虚構に過ぎないのかも知れません。 しかしそうと知ってそれをなお守り抜こうとする 全世界の競馬界の姿勢も粋ではありませんか。