Qちゃんこと高橋尚子さんが試合前、イヤホンで hitomiさんの楽曲LOVE2000をノリノリで聴いていたのはちょいと知れたこと、 其の後の試合では見事当時の記録を打ち立て優勝、 日本人女子としてもその競技に初の金メダルを齎しました。 2000年は9月24日、シドニー五輪での女子マラソンのお話しです。
アスリートと音楽とは切っても切れない関係にあるようです。 現在開催中の2012ロンドン五輪でもそれは同じこと、 選手はヘッドフォン、イヤホンで思い思いの曲を聴きながら 精神統一やリラックス、試合に向けてテンションを高めるなど、 それぞれに上手く活かしているようです。
試合結果に少々でも影響もあるとなれば選手達が視聴環境を整えようとするのは当然でしょう。 それぞれにお気に入りのヘッドフォン、イヤホンが出て来るのは自然です。
其の時、選手村と言うのは割りと狭い世界のようで、 睡眠に関して日本の選手達には寝心地に優れ身体を上手くサポートしてくれる寝具 エアウィーヴ[K1] が口コミで広がりました。 それと同様のことがヘッドフォンでもあるようなのです。 選手達の多くが愛用するのが beats by dr.dre なるブランドなのでした。
ところがビックリすることに何を思ったのか五輪委員会がこの使用に待ったを掛けたのです。 この待ったの根拠とされたのが 会場の内外にかかわらず、選手は公式スポンサーではない商品を宣伝することは許されない。 五輪主催者は違反した選手を処罰、あるいは資格剥奪する権利を有する。 なる国際五輪委員会の第40条規定[※1] でした。 勿論選手達に宣伝の腹積もりはないでしょうし ヘッドフォンメーカーからの報酬も受け取ってはいないでしょう。 この規定に選手達は反発しTwitterなどにもその旨主張されているようです。
何ともこの訝しい態度を五輪委員会が取った影にはどうやら韓国の電機メーカー サムスン社の暗躍がある[※1] ようなのでした。 オリンピックの公式スポンサーとなっている同社が五輪委員会に 当該ブランドのヘッドフォンの使用を選手に禁じるよう圧力を掛けたようなのです。 何故サムスン社はそのようなことをしたのでしょう?
実はこのヘッドフォンブランドの beats by dr.dre を運営する企業 Beats Electronics 社は2011年8月10日に台湾の電機メーカーHTC社に買収[※2] されていたのでした。
周知の通りサムスン社とHTC社はスマートフォン業界に於いても互いに鎬を削る競合関係にあります。 しかもそのスマートフォンにHTCは beats by dr.dre の活用を目論むのですからサムスン社に取って面白かろう筈もありません。
斯くしてサムスン社の選手の使用ヘッドフォンへの横槍と相成ったのですが、 これは如何にも短絡的で稚拙な施策だったと謂わざるを得ないでしょう。 確かに公式スポンサーとして多額の出資をしているにも関わらず 宿敵に漁夫の利を浚われたのでは堪らないと言う気持ちは分からないでもありません。
しかし如何考えてもこれは逆にHTC社のプロモーションとなる以外ないでしょう。 選手達は宣伝の意図も無くじゃんじゃん beats by dr.dre ブランドをTwitterにつぶやき、喧伝することになるのですから。 些少ながらこうしてかたむき通信にも beats by dr.dre ブランドは取り上げられサムスン社には逆プロモーションとなったのでした。
かたむき通信参照記事(K)- ロンドンオリンピック日本勢を陰で支えるエアウィーヴ(2012年8月4日)
- サムスンが五輪委員会に圧力、選手愛用のヘッドフォンを使用禁止に(Yahoo!ロンドンオリンピック:2012年8月6日:2019年9月1日現在記事削除確認)
- HTC が Beats を買収、Beats by Dr. Dre スマートフォンを今秋に投入へ(engadget:2011年8月14日)