化粧品を主業務とし資本金が2012年7月現在では12億5,952円で 堂々たる東証1部上場企業の 株式会社ドクターシーラボ (完全親会社株式会社シーズ・ホールディングス)に対し消費者庁が 景品表示法 に違反する行為があるとして2012年8月31日、指摘[※1] しました。 同社の DRソニック L・I なる商品が表示を裏付ける合理的根拠が示されず、優良誤認に該当すると言うものです。
ドクターシーラボは同社の発行する会報誌上で美容機器DRソニック L・Iを取り上げ、 これを使用することで細胞は活性化され、脂肪分解効果及び殺菌効果が有り、 肌の汚れの除去効果又は肌への美容成分の浸透効果を読者に訴求しましたが これには合理的根拠がないにも関わらず 恰も優れた性能を持つ商品であるかの如く誤解を与える、と指摘されています。
会報誌名は Ci:Lover と称し以下の発行号が該当します。
此れ等の号に於いて不振に思われる記載を消費者庁が指摘、 そのの裏付けとなる合理的な根拠を示す資料提供依頼に対して ドクターシーラボから提出されたものは合理的な根拠として 裏付けられる内容のものと認められなかった、とされています。
此処に於いて消費者庁はドクターシーラボに対し以下を命じたのです。
この措置命令に対してドクターシーラボでは当日中にプレスリリースを配信[※2] 即座に自らの非を認め、真摯に対応する旨約し、その3日後には 利用顧客への対応方針も配信[※3] し、当該商品 DR-Sonic L・I (種別:美容機器)の購買顧客に対し、今年2012年末を期限とし 返品返金対応する旨、明言しました。 また同日に同社へのこの措置命令に関しての経営関連についてのコメントも発表[※4] しています。
ドクターシーラボには限りませんが、 美容機器に関する需要は強いため時には明らかに素人と思われる人間が 熱心に売り込む光景もしばしば目にします。 その際には大学教授のテキストと称するものをチラつかせ、 売り込む当人に確たる咀嚼もないまま科学的に証明されていると主張を 無理に受け入れさせようとする行為もまま見受けられます。 しかし少し詳細を尋ねれば、口篭ったり怒りを生ずるケースもしばしば。 それが今回の事例のように確かな裏付けのないものを 現場の素人が受け売りしているとしたらどうでしょうか?
美容機器は医療関連に近いことからも 商品の使用に関し危険を伴うケースすらあります。 株式会社悠香の 茶のしずく 石鹸のアレルギー問題などその最たるものでしょう。 素人が闇雲に与えられたテキストを振り回して良い分野では決してありません。 これなどは正に消費者庁が切り込まねばならない領域でしょう。
今回の事例で1部上場の大企業ですら、 その自社商品について売らんがために優良と思わせたい余り、 行き過ぎた表示をするケースが有るのがはっきりしました。
この類の事例が己の身に降りかかれば、 一般利用者からすれば最早詐欺にも近い行為と映るのは当然でしょう。 しかしなかなか権威を笠に着られると否定は難しいものです。 従って消費者庁などが適宜専門家に依頼して 虚実を暴く施策は今後も必要となってきます。
しかし惜しむらくはこれば1部上場企業でありながら、 管轄官庁の指摘があるまで動きが見られなかったことです。 これでは全く以て一般消費者は安心出来ません。 同社の他の商品がこれに因ってその関連表示が疑わしいものと受け取られるのは自業自得です。 しかし1部上場企業でさえと言う社会的不安を植え付けた罪は免れ得ないでしょう。
本来ならば上場企業であれば業界を率先して業界を健全に保つべく それらの不正な表示を業界から根絶するべく務めるべきです。 ドクターシーラボ社のプレスリリースには未だ自社の保身に関する言及しか見られないのは 措置命令から期間も無く致し方ないかもしれませんが、 以降は業界全体を、延いては一般消費者を慮った上の 方針、施策を実践して欲しいものだと思います。
参考URL(※)- 株式会社ドクターシーラボに対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁:2012年8月31日:PDFファイル:2019年10月3日現在PDFファイル削除確認)
- 消費者庁からの措置命令に関するお詫びとお知らせ(ドクターシーラボ:2012年8月31日:PDFファイル:2019年10月3日現在2017年以前のニュースリリースの閲覧不可確認)
- 消費者庁からの からの措置命令基づくお客様対応方針について(追記版)(ドクターシーラボ:2012年9月3日:PDFファイル:2019年10月3日現在2017年以前のニュースリリースの閲覧不可確認)
- 消費者庁からの措置命令に伴う業績に与える影響について(ドクターシーラボ:2012年9月3日:PDFファイル:2019年10月3日現在2017年以前のニュースリリースの閲覧不可確認)