行者餅~チャンスは祇園祭宵山の年に1度の行列アイテム

確実な処でも800年以上、一説に依れば1千年以上の伝統を誇る 祇園祭 は山鉾巡行の前夜、 宵山 と呼ばれる日に多くの趣向を凝らした夜店が出店されます。 この宵山に人気商品を手に入れるべく行列の先頭の奪取を余儀なくされた人物が在りました。

赤福 / Akafuku photo credit by Kentaro Ohno
赤福 / Akafuku photo credit by Kentaro Ohno

俗に 黄金顔 とも呼ばれる独特の生気を失った表情を産み出した苛酷なロケが特徴のテレビ朝日の人気番組 いきなり!黄金伝説 の人気企画の一つに漫才コンビ U字工事 が活躍する 行列 ものが有ります。 しかし今回行列に並んだのはこのコンビではなく ココリコ田中 さんでした。 30もの行列に並ぶ企画では総てのスケジュールが合う筈もなく、 U字工事の切なる願いを聞き届けたのが人の好い田中さんだったのでした。 U字工事の図々しいお願いは商品のゲットだけではなく それを先頭で手に入れて欲しいというものだったのです。

祇園祭であれば場所は自ずと京都です。 2012年7月15日、京都駅に降り立った田中さんは一路東山区は安井金比羅宮近く、 東大路松原の八坂神社から大和大路を下がった辺りに位置する京菓子司 柏屋光貞かしわやみつさだ に向かったのでした。

その目的こそ祇園祭宵山は7月16日限定の一日限りで販売される 行者餅 をU字工事に成り代わって入手する為でした。

京菓子司 柏屋光貞    大きな地図で見る

黄金伝説の2012年9月13日に放映されたのは3時間スペシャルで この夏、U字工事が全国を縦断して行列のできる即日完売グルメベスト30を実際に並んでゲットする、 と言うものでした。 流石に行列が出来るだけあって営業していれば販売している、 と言う商品ばかりでなく期日限定のものも中には含まれていたのです。 その一つはお馴染み 赤福 で毎月1日に販売されると言う 朔日餅ついたちもち であり、また一つは弘法大師の命日21日限定の おはぎ巴屋 の昔懐かしいおはぎがあります。 中にも千人アンケートで出されたベスト30には5位に留まったとは言え、 柏屋光貞の行者餅は年に一度の販売とてこの機会を逃せば また1年もの間待たねばならない貴重なグルメなのでした。

わざわざ前乗りして迄行列の先頭を得ようとした田中さんは、 一旦は柏屋光貞前に人気の無いのを確認し、 近くにテントを張って野営するも行列が気になって何度もお店とテントを往復し 遂には一睡もせず朝方店頭に並ぶことになったのです。 この時の睡魔と闘う田中さんの顔こそ黄金顔と称して差し支えないでしょう。

そうこうしている内に自分の後ろに出来て来た行列の人々に 田中さんが問えば、 味噌餡が美味しいよ、とか、 夏の時期にはピリッとしたものが食べたくなるでしょ、とか 様々な答えが得られ否が応にも期待は高まります。

そして遂に苦労の甲斐有って一番最初の一期一会の稀少な行者餅を手に入れた田中さんが パッケージを解けば其処には念願の行者餅が緑で 元祖行者餅 とプリントされた透明の包みに包まれ 3つほど鎮座していました。 1箇350円也。

映像には有りませんでしたが、通常このパッケージには 行者餅の由来の説明書きが添えられているそうです。 由来には1806年に修行中の聖護院門跡山伏、四世利兵衛の夢枕に役行者が現れ、 行者の衣に象った菓子を作り祇園祭の役行者山に供え、 その後それを配られた知己縁者は疫病から免れる旨お告げのあり、 以来、無病息災を願いながら行者餅を作り続けてられています。 柏屋光貞先代店主が 役行者山 にお供えしたお菓子であることなどともされているようで、 流石京菓子の歴史を思わせるエピソードであり、 行者餅は歴史とご利益の詰まった絶品スイーツと言えそうです。

3つ有る内の一つの包みを解き口に入れた田中さんの笑顔の眩しいこと、この上有りません。 行者餅を割ってみればそれは薄い皮にお餅と白味噌餡が包まれています。 包んでいる皮はまるでクレープのようだと言う田中さんですが、 その通り、小麦粉に上白糖を混ぜ薄く焼き上げたものなのでした。 この薄皮を修験行者入峰修行の法衣である 鈴懸すずかけ に見立てていることこそ夢のお告げの通り、 行者の衣に象った菓子とする工夫なのでした。

一方包まれる白味噌餡には山椒が混ぜ込まれているそうで、 それは絶妙のコンビネーションを為し田中さんに依れば滅茶苦茶合う!のだとのこと。 苦労した上手に入れたその妙なる味には田中さんの至上の笑顔も頷けようと言うものです。

さて残りの2つはスタッフに依り スケジュールの都合で行列に並べなかったU字工事に届けられました。 田中さんからのお裾分けに添えられたメッセージ通り、 有り難い気持ちで行者餅を頬張ったお2人なのでした。

使用写真
  1. 赤福 / Akafuku( photo credit: Kentaro Ohno via Flickr cc
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