一口にプリンターと表現しはしますが、 2Dと3Dのそれでは展開する世界が全くことなります。 バーチャルにあるデータをリアルに再現する時、 それが平面であるか、立体のものとなるのかでは、 芸術の分野に於いても絵画と彫刻と異なるものとなりますから、 その再現用の機器は絵筆と鑿の如く凡そ異なる機構を持たざるを得ない筈です。
平面にデータを再現する方が敷居が低いのは勿論で パーソナルコンピュータの普及と共に普及が進んだ感があります。 二昔かそれ以上以前はそれでも高価な2Dプリンターは高価なものに違いありませんでしたが、 今では高性能機が廉価に手が入るようになって来ています。 しかしこの数年で漸次事情が異なって来ました。
日本に於いてはこの分野では静岡県浜松市に本拠をおく ローランド株式会社 の子会社である ローランド ディー.ジー.株式会社 が先行していると言って良いでしょう。 電子楽器で名を馳せる親会社のローランド社ですが、 その持てるデジタル技術を駆使し、 更にはコンピュータ周辺機器メーカーとして長年培った技術を 3Dプリンターや3Dスキャナに結実し世に送り出しています。
同社は実際に去年2011年10月5日に一般顧客向けにも既に7万円台と廉価な
超小型3D切削加工機
パーソナルコンピュータは高度に高機能化し、 平面データだけでなく3Dデータの処理をも短時間に熟せるほど処理が高速化しました。 3Dデータのシミュレーションが手軽に画面上で処理出来、 仕上がりを確認しながらデータを作成出来るようになったのです。 これを使用する人が実際の形にしたくない筈がありません。 其処には大きな市場が眠っている筈です。 その需要を狙ったのがローランドDG社であり、 それに続こうとしている企業は世界中に雌伏しているのです。
近年、斯様に漸次環境が整い、3Dプリンターが市場に垣間見えて来てもいます。 ワンダーフェスティバル と言うイベントでは自慢の造形力を活かした作品をそれぞれプロ、アマ問わず持ち寄り展示しますが、 そこでは勿論、3Dプリンターは大いに必要とされる訳です。 今年2012年の夏7月29日には幕張メッセ国際展示場を会場として盛大に ワンダーフェスティバル2012[夏] (2019年11月7日現在記事削除確認のため「ワンダーフェスティバル2012[夏]」の情報も掲載される これまでのワンダーフェスティバル に新たにリンクを貼り置きます。)が催されました。 その会場には3Dプリンターの現状と可能性を感じさせる様子もネットメディアGIGAZZINEに依りレポート[※2] されています。 様々なディーラーが造形力の腕を競う中、 東京リスマチック の立体造形出力サービスや コスモ・ファンシー のクリスタルブロック出力サービスが写真入で紹介されるのも楽しい記事です。
3Dプリンター関係に興味があるのかGIGAZINEは関連記事を時折配信しますが、
創造的で革新的なプロジェクトのためのファンド、
紹介されるのは FORM 1 なる3Dプリンターでその起業コンセプトも明確な ローコスト3Dプリンターを世に送り出す と言うプロジェクトです。 このプロジェクトのメンバーは、自ら使用することが幸運にも出来た3Dプリンターは 馬鹿げているくらい高価なものであり、 この問題を解決しようとして2011年にプロジェクトを立ち上げたのだと言うのです。
そして遂に20万円台で提供可能なハードウェアと専用のソフトウェアは完成したのでした。 それは机の上に載るほどコンパクトであり、 しかもプロ用機として使用可能な高解像度を備えてもいます。 本記事冒頭の写真は開発中の写真に実際にFORM 1で削りだした3Dモデルをコラージュしたものですが、 その実力が窺い知れるのではないでしょうか。
動画も公開されていますので下に共有しましょう。
実際に削りだせるサイズはコンパクトにまとめたデスクトップサイズの本体とあって 125×125×165mm に留まりはしますが、今後の展開次第では上級機も用意されるのではないでしょうか。 その切削方式はローランド社のように刃で削るものではなく、 ステレオリソグラフィー(光造形法)によってレーザーを使って 液体プラスチックを硬化させ造形物を産み出す方法が取られています。 しかもキックスターターですので10月26日(金)の21時45分までに出資を申し込めば、 2999米ドル、本日の為替で日本円換算すれば23万5955円で入手が可能となるのです。
FORM 1の如き高機能、プロ仕様の3Dプリンターが20万円台と言う 価格破壊的な値段を伴い登場するとなると いよいよこの3Dプリンター市場は開かれるものとなるでしょう。 他社の参入は勿論ローランドDG社とて黙ってはいないと思われます。
市場は上に見たワンフェスに集う属性の人々は勿論、 キックスターターページに紹介されるSKYLARさんは既に マサチューセッツ工科大学に於ける建築の研究で 幾何学的な構造のデザインに役立てているとも言います。
更には恐るべき市場も用意されています。 それは拳銃を3Dプリンタで削り出してしまうもので その拳銃は実際に弾丸を発射出来る能力を有するものだ[※4] とされます。 既に銃愛好家の間では3Dプリンターで200発の実弾の試射がなった小火器が話題となっていますし、 ノウハウがオープンソース化されることで高度に発達する可能性も伝えられます。 アメリカ軍では戦場で必要な部品をその場で即座に手に入れるために 3Dプリンタをアフガニスタンなどに持ち込んでいる旨の報道もあると言うことです。 殺傷能力のある武器がお手軽に家庭で製造可能となれば少々懸念の感じられる市場ではあり、 その方向へ進むのは何とか食い止められるべきですが、 その使用法に因っては悪魔の兵器となるも平和利用の可能性も高い何やらダイナマイトの如き感も有り、 しかし3Dプリンターの大いなる可能性を示すものでは少なくともあるでしょう。
参考URL(※)- リアル3D加工が身近に!ローランドDG・iModela iM-01(Acenumber Technical Issues:2011年10月6日)
- 3Dプリンターでここまでできることを示す天使の翼を持つ初音ミクやクリスタルブロックなど3Dデータから出力した立体作品いろいろ(GIGAZINE:2012年07月31日)
- 複雑な構造でも精密に再現できる安価な3Dプリンター「FORM 1」(GIGAZINE:2012年09月27日)
- 3Dプリンタが可能にする「自宅で銃製造」クリップする(Yahoo!ニュースビジネス:2012年10月3日:2019年11月7日現在Yahoo!の当該サービスは終了しており記事は閲覧不能となっています。)