ビックカメラ決算についての、 著しい苦境を示すものと実に景気の好い文言が並ぶものとが並び報じられ 些か面食らうほどの錯綜状況にも見えます。
苦境を伝えるものには日テレニュース[※1] や、読売テレビニュース[※2] があり、孰れも ビックカメラ の正式なプレスリリース[※3] の数字と合致する 純利益40億円前年比55%減少 を伝えるものとなっています。
対して景気のいい方面の報道は日経新聞[※3] で 経常利益前期比2.4倍150億円 なる内容で前者と対照的なものとなっています。
これは今期決算と来期見通しが同時期に発表されたもので、 前者は今期決算、後者は来期見通しの数字であることによっています。 この前者と後者の間を埋める報道が流通ニュース[※4] や、財形新聞[※5] などの伝える処となっています。
それにしても今期実績と来期見通しの差は尋常とは思えないものです。 この主要因としてビックカメラによるコジマ電器の買収、経営統合[※6] がありました。 これが今期決算をも織り込み済みとして同社の株価は低下を免れてもいるのでした。
コジマ電器では業績悪化を受け役員報酬が減額された報道[※7]もなされています。 加えて店舗も削減の方針を打ち出しましたから、 危機的状況を孕んでいたのは確かです。 ビックカメラの今期決算を見てもそれは同様で 両社の連合は最悪の事態を脱すべき妙手であったと考えられるようです。
家電量販店間の競争は激しさは増すばかりで、 それが業界間の再編、合従連衡[K1] を促してもいます。 業界上位3社は生き残りを賭けそれぞれが独自の方針を打ち出しています。 業界トップのヤマダ電機は更なるスケールメリットを求めた拡大政策を、 3位のエディオンは地域密着、労働集約型事業の方針を示しています。 その両社に挟まれるビックカメラはユニークな方針を必然的にか採ることになり、それが ビックロ と言うユニクロとの協働となって顕れているのでした。
今期業績の低迷を補って余りある結果をコジマ電器との連携は 来期の目論見となり表出し、先ずはその株価に於いて正しさを示したようです。 この目論見が正しいものであるか如何かは来期の業績に掛かっており、 今回報道された予想通りの結果となればその買収、経営統合は相当の成果を上げたことになり、 両社の経営陣の慧眼が証明されることとなります。
かたむき通信参照記事(K)- 曲がり角の家電量販店~YKK戦争も今は昔、忍び寄るネットの影(2012年9月27日)
- ビックロと家電量販店上位3社の方策(2012年9月28日)
- ビックカメラ決算、純利益が55%減少(日テレニュース24:2012年10月11日)
- ビックカメラ決算、純利益が55%減少(読売テレビニュース:2012年10月11日:2019年11月13日現在記事削除確認)
- 平成24年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(ビックカメラ:2012年10月11日:PDFファイル)
- ビックカメラ経常利益2.4倍 13年8月、150億円(日経新聞:2012年10月12日)
- ビックカメラ/8月期の売上高15.4%減、営業利益79.6%減(流通ニュース:2012年10月11日)
- ビックカメラは今期純益8割増の急回復を見込み「反動減」奪回へ(財形新聞:2012年10月11日)
- エディオン対ビックコジマ連合~家電量販店の敵は家電量販店か?(Acenumber Technical Issues:2012年5月12日)
- コジマ 業績悪化受け、役員報酬減額へ(日テレニュース24:2012年10月10日)