EV、即ち Electric Vehicle 、電気自動車は世界の進むべき道として確かなものとなりつつあります。 日本にこの年末、新車両区分として予定される 超小型車 などに於いてもそれは主流の動力方式となるとされます。
電気自動車の方式にはトヨタ自動車のプリウスが嚆矢となった電気自動車とレシプロエンジンの
日本自動車メーカーでは既に
日産リーフ
や三菱自動車の
この急速充電方式は世界に先行するものの、
しかし国内に於いてのみ合意を得られたものと言っても良い状態であったと、
今回、或る決定に因って思い知らされてしまったのです。
去年2011年の欧州の自動車メーカーを中心としてチャデモとは別の急速充電の方式である
これをネット上にメディアは挙って深刻に捉え、 チャデモ方式の敗北を伝える様相を呈しているのでした。 その報道は未だ何の実績も現実に商品化されてさえいない方式が 既に市場を制した感さえ催されるものです。 巨大市場である米国での決定ともなればそれは無理からぬ処でもあるでしょう。
この決定に於いてはまたメーカー間に於ける競争の政治的駆け引きは勿論、 人種的な問題も絡む意見も多く提示されています。 日本と言う島国の日本人と言う一人種に一人勝ちさせてなるものか、 と言う心理的引力が働いているというもので 此方も宜成る哉、と言った感もあります。 以てチャデモ方式は日本の携帯電話よろしく ガラパゴス化 してしまうのでしょうか?
中にはそうとばかりも言えないと言う言説も少ないけれど散見されます。 その代表たるのがエネルギー分野の記者である @ebi_kosuke 氏に依る関連ツイートを中心にまとめられた 電気自動車(EV)の充電規格、日本の「チャデモ」と異なる「コンボ」方式が採用された理由と今後の見通しについて です。 チャデモ陣営に取って情勢は楽観出来ないものの敗北と断言するには早計だと言うのです。
その論拠としては電気スポーツカーで名を馳せた テスラ[※1] ではアダプタでチャデモ方式に対応しており、 欧州でコンボ方式を立ち上げた主導7メーカーの1社である フォルクスワーゲンでも対応車の投入が予定されており、 また同様の1社、アウディも試作車にはチャデモ方式を採用しているとします。 詰まり現時点では全く以てコンボ方式の方がむしろ米国限定のローカル規格であると言う主張です。 チャデモ方式に於ける東電の立ち位置と国内自動車メーカー間の連携などに関しても 一聴の価値があるでしょう。
以上、見て来てみるとまだまだ少数とは言え実際に市場に出回る チャデモ方式はデファクトスタンダードと迄は言えませんが、 それなりの位置は占めているようです。 更には家電やスマホなど充電を必要とする身近な機器が コードレスとなって来ている昨今の状況を見れば 電気自動車の急速充電方式とてそれから自由であるとは言い切れません。
考えてみればガソリンスタンドならぬ充電スタンドに自動車で乗りつけた時、 いちいち降りてスタンドに備え付けの機器からノズルを引っ張り出して 自動車に差し込む姿など、如何にも前時代的ではありませんか。 電気自動車がいつまでもそんなインフラに満足しているだろう筈もありません。 どう考えても急速充電方式のコードレス化が必須であれば、 そのインターフェースとてそれに即した方式が新しく考案されるでしょう。 然らば現在の接触式急速充電方式は一時的な方式に過ぎず、 その一時的な期間は既に実用化されたチャデモ方式で間に合わせれば充分、 となる可能性は高いでしょう。
嘗てVTR機器に於いてβ方式とVHS方式が競合して購買者を徒に混乱させたような状況は 今又コンボ方式とチャデモ方式の入り混じって 電気自動車を購入せんとする米国民を混乱させることが予想されますが、 日本に於いてはどうやらその心配はなくなったとも言えるのです。
使用写真- EV Charging Station Ribbon-Cutting photo credit: NCDOTcommunications via Flickr cc
- ITと自動車(Acenumber Technical Issues:2010年12月9日)