ポストPC時代に中心を担うと目されるのが タブレット端末 にてアップル社が初代iPadを発売、大成功して 先行者利益を享受する中にGoogle社が追うべく発表したのが Nexus7(ネクサス7) でした。
Googleのお膝元米国では既に販売されているのはかたむき通信にも伝えました[K1] が、今回この端末がついに日本に上陸する仕儀となりました。 本日2012年9月25日、Googleから日本向けに発売が発表されたと、 多くの報道、ネットメディアの伝える処となっています。
その内容はGoogle社がインターネット生粋のソフトウェア企業として誕生した 経緯から所有する
など、数多くの優れたネットで磨かれたコンテンツが標準で搭載されています。 そのスペックは以下列挙の如くなっています。
また気になる値段は16GBモデルで 19,800円 となっており、米国では8GBモデルが199ドルで2012年9月25日現在日本円に換算して約1万5千5百円、 16GBモデルが249ドルで約1万9千4百円ですから、 先ず先ずグローバルな値段がほぼ適用されたものと言えるでしょう。
意欲的な価格設定は日本にもそのまま適用された ネクサス7にはGoogle社のやる気が見て取れます。 そしてそれは実は来月10月26日にタブレット端末 Surface の発売を予定している[K2] マイクロソフト社とて同様なのでした。
(アメリカ版並行輸入品:32GB:シルバー:SIMフリー)
Surfaceはその価格設定は米国価格で199ドルと推測される[K3] ものの、一部からはその衝撃とも言える値付けは眉唾物とされています。 しかし此処に重要なのは周囲がSurfaceにはその低価格こそ重要な意味を持つと受け取られていることです。 それはマイクロソフト社も重々承知でしょう。 出来る限り低廉の値付けがなされるものと予想されます。
なんとなれば冒頭記したようにタブレット端末は ポストPC時代の主役となるのが予想され、その蓋然性は実に高いからです。 此処で主導権を握るのは今現在IT業界に影響力を築く企業に取っては必要不可欠なのです。
そのポストPC時代に先行している企業こそアップル社です。 iPadを以てタブレットの高級機市場はほぼ独占状態と言って良いものです。 更に去年2011年をスマートフォン元年とされる現代に スマートフォンでも代表的なiPhoneを擁しついに その時価総額は数十年振りにマイクロソフト社の記録を更新したのでした。[K4] そしてiPhone5の登場で更に記録を伸ばしている状態なのです。
最早誰を以てしても止め得ないアップル社の快進撃に IT企業に覇を競う者が唯に臍を噛んではいられません。 そのアップル社と競う企業こそ此処にタブレット端末を世に問うGoogle社とMicrosoft社です。 そして此処に面白い符合が有るのでした。
それは両者共に巨大なソフトウェア専業企業としてIT業界に覇を唱えたことです。 そして共に長い間、基本的にはハードウェアに手を出しはしませんでした。 それが今この同時期にタブレット端末を販売する事実は重いものです。 即ち、時価総額世界一を更新し続けるアップル社に範を倣い舵を切っているのが明らかでしょう。
アップル社はその創業以来、 ハードウェアとソフトウェアを統合した処に価値を見出し、 その価値を具現化した製品群を世に送り出してきました。 時にはマイクロソフト社に膝を屈しその事業形態に疑義を発された時代もありましたが ついに数字を以てしてその優位性を示し、 IT業界に大影響力を持つマイクロソフト社、Google社を従えんとしているのでした。 この状態を見て泉下のスティーブ・ジョブズ氏は何を思うのか、 模倣許すまじと怒るのか、微笑ましく莞爾たるのか、 知りたい処です。
追記(2013年2月25日)
Windows8の発売よりちょうど4箇月して漸くSurfaceの日本発売の話題が上って来たのを受け Surface RT日本発売秒読み開始 を配信しました。
追記(2018年12月27日)
2012年9月、本記事に巨大ソフトウェア企業がハードウェア市場に舵を切る其のハードウェアとは即ち タブレット でした。 それより6年を経てトップシェアの iPad でさえ属性をモバイルPCに振るなどの演出を変更する必要があるのは、 市場にタブレットが飽和しているからに他なりません。 すると巨大ソフトウェア企業は再びソフトウェアに回帰しているのでしょうか。 ソフトウェア企業のソフトウェア企業たる所以にてソフトウェアに重きを為すのは勿論ですが、 昨今の AI や IoT の隆昌などが鑑みられてもあるでしょう、実は進出するハードウェア市場に プロセッサ が加えられるべき状況が出来しているのでした。 此の状況を記す記事が2018年12月4日にITmediaのオルタナティブブログに 大越章司 氏の文責にて共有[※1] されています。 此の記事には主にEコマース最大手のアマゾン社のプロセッサ開発が取り上げられ、Google社のプロセッサ開発にも言及し、 要因としてAIを以ての差別化にあるとしています。
此れより正に連想されるのはアップル社の今年発表された新 iPhone に搭載されるArmプロセッサ A12 Bionic[※2] でしょう。 プロセッサ名に冠される Bionic はニューラルエンジン(ニューラルネットワーク処理)・アーキテクチャを持つ専用プロセッサであることを意味しています。
本記事には巨大ソフトウェア企業と表現したITに於ける寡占企業は、 大越氏の記事にプラットフォーマーと表現され、 また頃日のバズワードとして称される機会も増えた GAFA (ガーファ)なる Google、Apple、Facebook、Amazon の頭文字を連ねた新造語と言わんとする処はほぼ同じゅうして、 21世紀前半に必要とされている言葉なのでしょう。 そして其れ等は今、プロセッサの独自開発を以て覇権を競っているのです。
参考URL(※)- プラットフォーマーがプロセッサ開発を手掛け始めた(オルタナティブ・ブログ:2018年12月4日)
- 新iPhoneの「A12 Bionic」は何が凄いのか(本田雅一)(Engadget日本版:2018年9月13日)
- GoogleがNexus 7を意欲的な価格設定で投入しタブレット市場は愈々激戦区に(2012年6月28日)
- マイクロソフトの賭けSurfaceがWindows8と同時10月26日発売決定(2012年7月30日)
- マイクロソフトSurface値付け199ドル予想に日本電機メーカー蚊帳の外(2012年8月19日)
- アップル社によるマイクロソフト社時価総額世界一記録の更新を見る(2012年8月21日)