米国では テスラ・ロードスター と言う電気自動車でありながら実用的なスポーツカーを世に出し世界的に注目を集めた テスラモーターズ があり、そのことはブログ Acenumber Technical Issues でも2010年12月9日の記事 ITと自動車 で触れられています。 ITでは最早知らぬ人の居ないGoogle社や 日本の自動車業界の雄、トヨタ自動車も応援している有望な新興自動車企業です。
対する日本も負けていません。 その本陣は慶應義塾大学で大将は同大学環境情報学部教授清水浩氏を中心に 38の企業が友軍として周りを囲んでいます。 そこから産み出されたのが8輪駆動の電気自動車 エリーカ(Eliica) でした。
テスラ・ロードスターの場合はメーカー側が優れた動力性能を自負しはするものの 0―100km/h加速が4秒未満、最高速度201km/hであるが、 安全のためにリミッターが設定されている、と発表されるに止まり、 その具体的数値は提出されていません。 またアメリカ合衆国環境保護庁の認定研究所の試験結果に依れば 継続走行可能距離は356kmとされています。
対してエリーカはその動力性能の具体的数値の発表にやぶさかでない、 と言うより積極的と言って良いでしょう。 インホイールモーター(In-Wheel-Motor)形式で一車輪80馬力、 都合640馬力を発生する動力源からは370km/時の速度が叩き出されます。 また車輪を直接駆動することで機械損失を抑えたことによって 航続距離は4分の充電で200km、30分も充電すれば320kmを走り切ることが出来ます。
こんな夢の様な電気自動車手に入るものならば手に入れて 明日からでも乗り回したいものですが エリーカで販売価格は3,000万円程度、テスラロードスターでも約1,000万円との話しで 正しく高 値 の花ですが、それにも関わらずテスラロードスターは 受注生産枠を超える注文が殺到したと言うから驚きです。
矢張りただエコ志向と言う世相を反映する以上に 人々の心を揺さぶるものが電気自動車にはあるのでしょう。 そんな電気自動車ファンには嬉しいニュースになるかも知れない報道がありました。 それはSANKEI.BIZの2012年3月29日の記事 シムドライブがEV試作車第2弾「SIM-WIL」 1回充電で走行351キロ に伝えられるシム-ウィルという名の新電気自動車です。
実は慶應義塾大学清水浩教授はEV(電気自動車)ベンチャーを率いる社長でもあり、 その神奈川県川崎市のベンチャー企業シムドライブが3月28日に発表した電気自動車こそ SIM-WIL(シム-ウィル) であることを記事は伝えてくれています。
今回公開されたSIM-WILはシムドライブに取っては SIM-LEIに続く第2車目の電気自動車の試作車であり 34の事業体が参加したビッグプロジェクトでもあります。 その結果産み出されたSIM-WILは1回充電当たりの走行距離が351kmと 充分実用的なものとして発表されています。
しかも嬉しいことには2014年の量産開始が目指されており、 清水浩社長自ら市販について 具体名は出せないが、量産に向けた交渉を行っている と明言されたそうです。
後はお値段の方がどこ迄一般に近付いてくれるかが気になる処ですが、 蓄電池技術やインホイールモーターの進歩、車体の軽量化もあるでしょうから、 航続距離を保った上での何某かのコスト削減に依る 廉価化が図られているのではないかと、思わず期待してしまうのが人情と言った処でしょうか。
追記(2013年2月22日)
追記(2018年4月22日)
最早トリックスターとも言うべき裏技で資金調達を果たしたのは電気自動車企業
テスラ
を率いる
さて本記事に取り上げた SIM-Drive社は初代 SIM-LEI 及び本記事に紹介した SIM-WIL に引き続き 量産を目指した電気自動車の先行開発車事業 の成果として第3代 SIM-CEL 第4代 SIM-HAL と、着々と歩みを進めながらも、 残念ながら既に去年2017年6月には事業を閉じています。 此れも如何に電気自動車の量産化が難しいかの一例であるでしょうし、 本記事の標題、 2014年に量産開始? のクエスチョンマークに対する回答でもあるでしょう。 以下に当社トップページに見られるお知らせを引用しましょう。
会社清算のお知らせ
拝啓
時下、はますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度、株式会社SIM-Driveは平成29年6月26日を持ちまして解散いたしました。
長きに渡りご愛顧を賜りましたことを心よりお礼申し上げます。
末筆ではございますが、皆様の今後の益々のご発展をお祈り申し上げます。敬具
平成29年6月26日
株式会社SIM-Drive
代表取締役社長 田嶋 伸博
しかし此の慶應大学発のプロジェクトは唯に水泡に帰しただけではありませんでした。
エリーカ生みの親でもあり率いた軍団の総大将でもある清水氏は自らの主武器
例え、SIM-WILそのものの夢敗れようとも、 電気自動車は今や時代の趨勢に則ったものであり、 魁となった慶應大学発プロジェクトの面々は量産電気自動車に関する多方面に進出、活躍し、 其々が其々に別々の形を以て夢を実現していると言えるのではないでしょうか。
参考URL(※)- 伝説の電気自動車“Eliica”生みの親に聞く、電気自動車の真実と未来(FUTURUS(フトゥールス):2016年9月24日)
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