マツダの魂 ロータリーエンジンの半世紀の歴史に幕~RX-8生産停止

時代の波に抗うことは遂になりませんでした。 世界で唯一つの量産ロータリーエンジンは マツダ社内に2012年6月22日夜、生産を停止しました。 最後のロータリーエンジン搭載車 RX-8 の生産が停止されたのです。

マツダと言えばローターリーエンジン、 ロータリーエンジンと言えばマツダ、 と言う程ロータリーエンジンはマツダそのものであったでしょう。 それを物語るかの記事が読売新聞に2012年6月24日 ロータリーエンジンは不死鳥…不屈の半世紀語る(2017年6月18日現在記事削除確認) として配信されています。 後のマツダ社長となった山本健一さんは ロータリーエンジンの生みの親として知られてもいたほど、 マツダとロータリーエンジンは一体化したものでした。 記事のタイトルにもあるように不死鳥として蘇るべくマツダ社は ロータリーエンジンがマツダの魂の一つであることに変わりはない。 今後も研究・開発を継続する。 とコメントしているとのことです。

技術のマツダと言われる程のブランド力を築いたのは 量産が困難と言われたロータリーエンジンを執念とも言える努力で 遂に開発を成し遂げたマツダのロータリーエンジンへの取り組み有ってこそでした。 それでこそ後のヒット作品、かたむき通信に2012年5月23日 CX-5の好調なマツダがFIATとオープン2シータースポーツカーで提携発表 として扱った SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブテクノロジー) と搭載車の CX-5 の成功もあったのです。 生産停止は技術的な問題では勿論有りませんでした。

やはりマツダが経営的な苦境に立たされていることは明らかです。 産経ニュース2012年6月23日の記事には 円高に翻弄されるマツダ、生き残りに虎の子の技術切り売り(2017年6月18日現在ドメイン停止確認) として赤字状況、株価低迷、 虎の子の低燃費技術スカイアクティブの切り売りの余儀なき状況、 特にこのスカイアクティブの切り売りについては かたむき通信5月23日の記事にフィアット社との記しましたが、 これがマツダの存在感を失わせしめる懸念が強く伝えられます。 また経営方針についても 選択と集中 をキーワードにルマン24時間への参戦と共に ロータリーエンジンを電気自動車(EV)の発電用エンジンとしての 研究開発の継続が批判の俎上にあげられています。 この状況下に量産ロータリーエンジンの継続生産は難しかったでしょう。

中国新聞に2012年6月11日、 RE車魂でマツダ頑張れ(2017年6月18日現在記事削除確認) とロータリーエンジン生産中止の報を受けたマツダOBからのエールが送られます。 1963年マツダ入社でロータリーエンジン研究部発足時に配属された開発者である ロータリー四十七士の一人の大関博さんは 燃費を気にする人が多くなったが、それに応えるREを開発できる そして 製品には有形、無形の知恵が宿る。失ってはいけない とも言います。 そしてまたロータリー四十七士の一人の室木巧さんは 今はハイブリッド車や電気自動車の開発に、同じような情熱を傾けるべきではないか と言います。 共にロータリーとマツダへの愛着を感じさせる言です。 現マツダ社員、開発者はこれを聞いて何を思うでしょうか。

マツダの公式サイトには ロータリー(2017年6月18日現在特設カテゴリー停止確認) のページが特別に設えられ、中には ロータリーの歴史年表(2017年6月18日現在カテゴリー停止に因るページ削除確認) も用意され、その連綿たる歴史が記されています。 1993年以降にはでは燃費問題に対応するように 水素ロータリーエンジンの開発も推し進められ、行動実験も繰り返され、 2003年10月にはRX-8水素ロータリーエンジン開発車の発表までなされているのでした。 2007年には水素ロータリーエンジンの動きが活気付いている様子も覗えます。

ロータリーエンジンはオイルショック以降、 常に逆風下にありました。 マツダは営利企業として何度も開発打ち切りをせんとした時、 社内の技術者達こそがその逆境を撥ね返して来たのでした。 それでこそロータリーエンジンがマツダの魂だと謂われ得るのです。 この不屈の精神がマツダに宿る限り何時の日か、 形を変えたロータリーエンジンは不死鳥のように蘇る気がします。

追記(2017年6月18日)

折に触れては復活の噂の持ち上がるマツダのロータリーエンジンですが マツダ社役員の発言[※1] などもありどうやら信憑性を帯びて来た様です。 其の復活はロータリーに取って逆風となった燃費問題が追い風となる状況の出来でした。 正しく万事塞翁が馬と言った感があります。 キーワードとなるのは レンジエクステンダーEV で此れは頃日スマッシュヒットとなっている日産ノートの駆動を司る e-POWER の機構である シリーズハイブリッド と考え方は同様であり駆動力はモーターに任せ電力の供給を内燃機関で賄うもので燃費向上に効果的とされています。 コンパクトが持ち前のロータリーエンジンは此の機構に御誂え向きであることから マツダのレンジエクステンダーEVを搭載した新車への期待が高まっているのでした。 2017年5月19日には著名自動車評論家の 国沢光宏 氏が文責を取る記事[※2] が配信されロータリー50周年にも当たる今年2017年10月27日開幕の 東京モーターショー[※3] での発表の可能性を伝えています。 マツダのロータリー復活とレンジエクステンダーEVなど詳細をまとめた動画が2017年5月26日付けで配信(2019年5月27日現在当該アカウントの停止により動画が閲覧不能になっていましたので新たにチャンネル 亭絵数 が2015年11月1日に共有した動画を埋め込み置きます。)されていましたので以下に貼り置きます。

マツダRX-9?新しいロータリマシン 2015東京モーターショーにて(亭絵数:2015年11月1日)

ロータリーが再生産されるとなればことはレンジエクステンダーEVに留まらず調達生産体制も整うでしょう、 2019年には生粋のロータリースポーツたるRX系の新車の可能性も伝えられますから 往年のロータリーファンも大いに期待して良いのではないでしょうか。

参考記事(※)
  1. 復活の新型RX-7最新情報!発売日は2017年、ロータリーエンジン復活へ! ( MOBY [モビー]:2017年4月25日)
  2. マツダがロータリーエンジン搭載車RX-9を2019年度に市場投入へ、REレンジエクステンダーで燃費改善(自動車評論家コラム【オートックワン】:2017年5月19日)
  3. 東京モーターショー2017は10月27日開幕!出展メーカー&注目車種16選( MOBY [モビー]:2017年6月17日)
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