B-CAS問題拡散の発端BLACKCASカードとは?発生から収束への顛末

B-CAS問題が深刻な状況を呈すのはかたむき通信にも B-CAS とカテゴライズして何度か伝えました。

その拡大の経緯を示せば、以下列挙する処のように延焼していったようです。

  • BLACK-CAS
  • B-CAS書換え
  • SoftCAS

B-CAS書換え及びSoftCASにはかたむき通信にも記した処ですが、 ではこの種火の如き BLACKCAS とはなんでしょうか? 改めてBLACKCASについて調べて見ました。

B-CAS問題延焼を逆から辿れば SoftCAS の問題に於いてはかたむき通信2012年5月23日 SoftCASとTVチューナー、Tvtest、Tvrock~拡大するB-CAS問題 に記したように最早物理的カードすら要らないB-CAS方式クラック手法です。

そしてその前の B-CAS書換え 問題に於いては2012年5月19日 B-CASカード書き換え問題は新しいiTunesを齎すか? に記した如く、物理的なカードは必要としますが 正式なB-CAS社提供のカードの不備の穴を突いて 契約以上の視聴を可能とするようにカード内容を書き換えてしまう手法でした。

しかしこの以前に同様の目的を果たすためには B-CASカードは自分で書き換えるものではありませんでした。 何処ぞの業者から購入していたのです。 この既に書き換えられた出来合えのカードこそ BLACKCASカード であったのです。

BLACKCASはまたはBALCKCASカードとも言われるように黒色をしたB-CASカードです。 B-CASカードはその利用形態に依って赤、青などに分かれ、 赤カード、青カードなどと呼ばれていますが、 これを如何にもアンダーグラウンドの香りを漂わせるためか、 如何にも能力の高さを誇示するためかは分かりませんが提供者が黒色で販売していたのでした。

煩わしい契約も省け、有料放送が無料で見られるあって このBLACKCASカードはほぼ50,000円と言う高価な値付けにも関わらず飛ぶように売れました。 消費者がこの怪しげなカードに50,000円の大枚叩くことを考えても どうにもB-CAS方式の不適切性が思われるのですがそれは別の話、 この事態が発生したのが今年2012年の初頭であったようです。

ちょうどGIGAZINEにはBLACKCASからB-CAS書換えの端境期2012年5月18日に書かれた記事 B-CASカードを有料放送見放題カード「BLACKCAS」にする手順が判明するまでの経緯まとめ、一体ネット上で何が起きたのか? が詳細を記録していますので興味有る方はご参照を、 この記事にはBLACKCASを実際に手に入れ写真も掲載されていますが、 B-CASの矢印デザインはそのままにBLACKCASのロゴが入り顔文字をあしらったものとなっています。

更にはGIGAZINEには2012年2月23日の時点で実際にBLACKCASカードを購入、 使用レポートを試みた テレビを見まくりな謎のカード「BLACKCASカード」をテレビに挿してみた も用意されています。 BLACKCASカードの送り元は台湾、国内からのものではありません。 開封から実際にテレビに挿入して見られない筈の番組を視聴する場面までが 写真入で記事にされていて分かり易い構成となっています。

そしてGIGAZINEの2つの記事中には共にこの一連のB-CAS問題に関して貴重な知見を齎してくれる かたむき通信5月19日記事にも登場しました まるも製作所 が紹介されています。 まるも製作所には少々敷居は高いものの実に詳細に渡り B=CAS問題に於ける解説がなされています。 勿論その発端とも言えるBLACKCASカードにも詳しく言及されていますので 関係記事を以下に列挙します。

  • BLACKCAS[1](2月5日)
    BLACKCASカードの入手と自作の契約期限を確認するツールによる検証
  • BLACKCAS[2](2月7日)
    BLACKCASの作り方の技術的推測、 B-CASカードの物理解析暗号アルゴリズムの解明と カード毎に個別の鍵を検出するコマンド発見の可能性の示唆
  • BLACKCAS[3](2月8日)
    BLACKCASカードの法的解釈評価
  • BLACKCAS[4](2月20日)
    体験視聴期限以降の受信確認とBLACKCASのCARDID公開
  • BLACKCAS[5](2月24日)
    EMMの有効に受け付けに拠るBLACKCCASカードの正規B-CASカードの書換え説可能性の向上
  • BLACKCAS[6](2月26日)
    BLACKCASからのサポート及びそれに拠る確証事項
    1. BLACKCAS カードは HW は通常の B-CAS をそのまま流用している
    2. BLACKCAS カードは契約期限等を改変した EMM を作成し、B-CAS カードに与えることで作成されている
    3. BLACKCAS の中の人は Km/Kw/EMM アルゴリズム/ECM アルゴリズムを完全に把握している
  • BLACKCAS[7](3月2日)
    各メディア報道により一般的となった当該問題の提供側対策の費用見積もり
  • BLACKCAS[8](3月12日)
    EMM更新番号に関する考察と推定
  • BLACKCAS[9](3月29日)
    BLACKCASサポートEMMの16進ダンプの公開
    現在 BLACKCAS は paypal との協議の為に購入できなくなっているみたいです
  • 総務省 デジコン委 第63回 感想(5月2日)
    高橋委員(ジャーナリスト)が「有料放送を契約せずに視聴可能な海賊版 B-CAS カードがあるらしいが、それについて総務省はどう把握しているのか」という趣旨の質問をしてくれました。
    竹村課長 (総務省 情報通信作品振興課) の回答は「深刻に受け止めているが、とりあえずは有料放送事業者と B-CAS 社の対応を注視している」という内容でして……まあ総務省としてはそれぐらいしか言えないですよね。
  • T4xx B-CAS の件(5月12日)
    B-CASカード書換え問題の内容へと以降

まるも製作所さんのこの一連の記事を追い掛ければ ほぼBLACKCASカードについての概要の把握が出来、 時系列も凡そ特定できます。

恐らくはアンダーグラウンド的に BLACKCASカードが日本国内に出回り始めたのが今年2012年初頭でした。 感度の鋭いまるも製作所さんが情報を得て入手したのが2月頭ですので 台湾を本拠とすると思われるBLACKCAS提供者が活動を活発化したのは それは1月後半であったでしょう。

まるも製作所さんは2月中にほぼ内容を把握した後、 月が変わって3月になると総務省や読売新聞、朝日新聞などの報道機関が騒ぎ始めました。 ここではまるも製作所さんの関心は対策側の動きに移っています。 如何にも素人作業を歯痒い思いでか苦笑しながらか眺めていたのでしょう。

3月の終わりには決済の問題に関してBLACKCASの入手が困難になっていた様子も伝えられます。 ここには4月から5月に掛けての様子の記載はありませんが 2ちゃんねるなどを見れば活発な動きをしているのを垣間見ることが出来ます。 しかし遂には提供側の対策はほぼ無策のまま推移したのでした。 まるも製作所さん記事には5月になっても模様眺めの総務省の様子も伺えます。

そして遂に5月も中旬、 話柄はB-CASカード書換えに移ったのです。 BLACKCAS問題は必然的に収束せざるを得ませんでした。 それは決して効果的な対策を提供側が打ったのではなく 更に事態が深刻化したB-CAS書換え問題に移行しただけの話しだったのです。

今尚、B-CAS問題の収束は見られていません。 火は静かに燃え広がるばかりです。 但しそれに因ってBLACKCAS問題が沈静化を見たのは皮肉と言えば皮肉です。

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