東京駅の丸の内駅舎は西暦1914年と言いますから 戦前のその向うの昭和のその又向うの大正の御世に開業していることになります。
設計は当時日本を代表する匠、辰野金吾氏を起用、日本銀行本店などを手掛けた建築家です。 建設には延べ75万人が携わったといいますから国を挙げての一大プロジェクトであった訳です。 その本屋の意匠的優秀性、歴史的意義を鑑みて2003年(平成15年)4月に重要文化財に指定されました。
文部科学省にはプレスリリース 重要文化財(建造物)の指定について が用意されており、東京駅丸の内本屋を 煉瓦造で最大規模,首都東京を象徴する建築 とした上で以下のように評しています。
東京駅丸ノ内本屋は,皇居から東へ一直線に延びる通称行幸通りの正面に位置している。
明治41年3月25日着工,大正3年12月14日に竣工した。設計は辰野金吾で,辰野葛西事務所によって実施案がまとめられた。
南北折曲り延長約335mに及ぶ長大な建築で,中央棟の南北に両翼を長く延ばし,建設当初は,地上3階建であった。建築様式は,いわゆる辰野式フリー・クラシックの様式になる。
東京駅丸ノ内本屋は,わが国鉄道網の起点となる停車場の中心施設であるとともに,明治の市区改正計画に基づき建設された首都東京を象徴する貴重な建築である。
煉瓦を主体とする建造物のうち最大規模の建築で,当時,日本建築界を主導した辰野金吾の集大成となる作品として,価値が高い。
そして時代は巡り1世紀の時を経た今年2012年、 東京駅丸の内本屋は昔の大正の時代のままの姿に復元がされました。 工事は重要文化財の指定を受け、 2007年春から開始され今の完成へと推移して来ていたのでした。
Yahoo!などで 東京駅 を画像検索すれば、2012年6月現在、 多くがその屋根を台形のものに映し出している画像が結果表示されますが 大正の開業時にはその上にドーム型の屋根が存在したのです。 先の大戦の戦災により失われていましたが今回これも復元されました。
そして本日2012年6月3日より丸の内北口改札の使用が始まります。 既にお昼時ですからもう多くの方が大正ロマンを感じながら改札を抜けたでしょうか? この17日からは南口も使用が開始される予定です。
この復元事業に伴い駅舎内の 東京ステーションホテル も休業しています。 同ホテルは1915年、東京駅開業の翌年に客室数72室、 宴会場を備えた当時としては最先端のヨーロッパスタイルで開業、 連綿と100年に近い期間を営業して来ていました。
そして全施設を改装して、2012年10月3日に開業の予定であるのですが、 本屋駅舎改札の開始に先立つ5月27日、 ドーム内部と共にホテル客室が公開されました。 多くのメディアが伝える処となりましが、 ひとつスポニチの当日の記事にリンクを貼り置きます。
赤れんがのJR東京駅舎 ドーム内やホテル客室公開 (2019年4月19日現在記事削除確認)
開業当時は72室だった客室は今150室と倍増しましたが 開業当時の写真や文献を参考に再現されたというデザインや色調に、 そのヨーロッパ調を湛える雰囲気も復元され 平成の御世には大正レトロを感じさせるものとなっているようです。
日本の首都東京となれば何かに付け出掛ける機会は多いもの、 泊り掛けの時には東京駅舎内に宿を取り、 恐らく現代を最も感じ取れる風景の一つであろう ドーム内の喧騒に目を遣るのも一興かも知れません。
追記(2012年10月5日)
復元なった東京駅が東京ステーションホテルと共にリニューアルオープンされたのを受け 東京駅リニューアルは駅開発復古である を配信しました。