再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始と太陽光発電を取り巻く思惑

エネルギーの問題は世界共通の問題ですが、 ここ日本では去年2011年の未曾有の震災及び原発問題に因って 特に喫緊の課題となりました。 然るに行政も動く処となりましたが、 様々な思惑が関係者には生じるようです。

行政には化石エネルギーに頼っていた従来の状況を打破せんとして 自然エネルギー、再生可能エネルギーを奨励するのは極く自然な方策でしょう。 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 に因って平成24年7月1日、即ち来月1日から 再生可能エネルギーの固定価格買取制度 がスタートするのを政府広報オンラインが去年2011年10月に 平成24年7月1日スタート! 再生可能エネルギーの固定価格買取制度 として配信、伝えていました。

  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱
  • バイオマス

上に挙げるものがそのページ内に再生可能エネルギーとして知られます。 これ等に依り発電された電力を、 電気事業者に一定の期間・価格で買い取ることを義務付け、 またその買取費用を消費者がそれぞれの使用量に応じて負担する 賦課金 システムからなるのがこの制度の骨子と言えます。 この制度は再生可能エネルギーの助成政策として機能し 世界で最も一般的な手法となっていて50箇国以上で採用されているそうです。

経産省資源エネルギー庁のホームページ内には 納得!再生可能エネルギー なるコーナーが用意され中に 再生可能エネルギーの固定買取価格制度:買取価格・期間等 (2019年5月29日現在記事の削除を確認しましたので新たに用意された なっとく!再生可能エネルギー » 固定価格買取制度 にリンクを貼り置きます。)が用意されています。 この決定時には、特に太陽光発電に於いては各関係者の思惑が入り乱れて 様々取り上げられたのも記憶に新しい処です。

真っ先に名乗りを挙げた印象が強いのはソフトバンクでしょう。 同社は2013年までに全国7道府県で メガソーラー を整備するものとされています。 メガソーラーとは大規模太陽光発電所のことでブログ Acenumber Technical Issues の2012年2月20日の記事 CIS太陽電池を擁して躍進するソーラーフロンティア にその定義として 1MW以上の出力規模を持つ太陽光発電 と事例と共に記される処です。 これに拠りソフトバンクの発電能力は25万kWを超え、 国内に於ける最大の太陽光発電事業者となるそうですから、 大震災以降の同社社長孫正義氏の本気が見えようと言うものです。

更にはNTTのメガソーラー事業への参入も知らされます。 実はIT企業と電気事業との結び付きは深いものがあります。 IT事業は大きく電気を消費するものであり、 またそれを制御するスマートグリッド業務も謂わばITですから 自然の流れとしてIT企業が電力事業に参入する例が散見され、 例えば海外ではGoogle社が代表です。 NTTは通信インフラ事業者とは言えその主業務の性質上 ITに近い企業であり、またソフトバンクについては言う迄もありません。

太陽光発電については新規に大きく成長が見込まれる事業として注目を集めると共に 固定買取価格制度にも見られるように行政の積極的介入もあって助成金制度に大きな金額が動く事業でもあるため、 必然的に鵜の目鷹の目、魑魅魍魎の跋扈する世界となります。 日本に於ける電気事業者の実態なども福島原発問題以降広く暴かれる処となりましたが、 電力と言う生活に必須のものを扱う以上、 このような運命は逆らい得ないものなのでしょう。

魅力的な事業としての一面を伝える記事には AFPBB Newsの2012年6月25日配信の ドイツの太陽光発電、新記録を達成 一時2200万キロワット超える が有ります。 2012年5月25日、26日の両日に於いてドイツの太陽光発電量が史上最大を記録し、 国の電力需要の半分近くが太陽光発電で供給された、と言うニュースです。 ピーク時間帯に発電量が最大になるという太陽光発電のメリットが述べられ 洋々たる未来を感じさせる内容となっています。

その翌日の本日26日には太陽光発電の負の面を伝える記事がJBPressから あれほど盛り上がった太陽電池ビジネス、中国でもはや虫の息に として配信されました。 欧州債務危機、各国の太陽光発電への助成削減、太陽電池関連メーカーの相次ぐ倒産、中国の過剰設備、 等々、さながら太陽光発電について意気消沈させる情報の展示会の如き感があります。

斯くの如く短い期間に全く方向の異なる情報が錯綜する太陽光発電はそのまま 周囲に跋扈する曲者共の動向を現しているかのようです。

追記(2018年10月5日)

朝日新聞の2018年10月4日の記事 太陽光買い取り見直し検討 未稼働は認定取り消しや減額 及び一箇月にも満たない内の列島を跨ぐ大規模停電の発生を受け、 本かたむき通信2013年1月23日の記事 日経の予想が外れ太陽光発電の再生可能エネルギーの固定価格買取制度の買取価格引き下げへ に追記しました。

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