ファーストサーバで大規模障害~主要株主ヤフー、大手ユーザーは官公庁、サイボウズなど

クラウドというIT関連の言葉が一般的になりつつある昨今、 この信用性を失墜させかねない由々しき事態が発生してしまいました。 昨日2012年6月21日にRBBTODAYの配信した記事 レンタルサーバーの「ファーストサーバ」で大規模障害……メールデータなどが消失 にその内容が記されます。

サーバーサービスを主業務とし ビジネス仕様と言うことでその安定性に評価を取っていた筈の ファーストサーバ株式会社[追4] の提供するサーバー群に大規模障害が発生したのです。 2012年6月22日現在同社のホームページトップには以下引用するお知らせが掲載されます。

■弊社一部サービスの障害について
現在、弊社一部のサービスにおいてWEB・メールなどがご利用いただけない状態です。
ご利用のみなさまにはご不便をおかけいたしまして誠に申し訳ございません。
復旧状況、ご利用再開の手順など、最新情報は随時以下ページにてご案内いたしております。
【重要】弊社一部サーバーの障害に関するお知らせ

引用部分にあるリンクを辿れば 原因と対策について に時系列に経過が記されておりその障害の検知は 2012年6月20日の夕方17:50で、2012年6月22日午前中の現在も完全復旧はなされていませんから 相当規模の障害であることが分かります。 サイトにも復旧作業に懸命に取り組んではいるものの 復旧の可否、復旧度合についての言及の出来る状況にはない様で、 自ら長期間を要すると言及するなどその深刻さが覗われます。

更に深刻さが覗えるのは引用部分リンク先のページには サーバーをお使いいただく手順について (2019年5月19日現在記事削除確認)があり、そのリンク先には利用客に大変な手間を掛けさせる呼び掛けが掲載されています。 サーバー提供側としてはこのような手間を掛けさせれば 恐らく2度と戻らないだろう現顧客に対する考えられない措置で その非常事態であることも知られます。

そんな情報でも全てを失うよりは幾らかマシと言えるでしょう、 ファーストサーバ社に見切りを例え付けたとしても、 一旦は出来る限りのデータ復旧を図りたいのは顧客もファーストサーバ社と同様です。

実際20日の依る辺りからネット上には ファーストサーバの情報を求める声が飛び交っていたのを感じます。 自社のデータを任せているとなればそれはそうでしょう、 必死に状況を、藁をも縋る思いで求める筈です。 サーバーは今やビジネスに於いてもインフラ、ライフラインとなっているからです。

その利用顧客に目を転じてみると多くの一般利用者もあるでしょうが 以前よりファーストサーバ社は実績と信頼性を強調するのに 企業・官公庁ユーザーが8割を占める旨喧伝していました。 以てして安定性を謳った訳ですが、 今回はこれら8割を占めていたユーザーの内、 どれ程かは未だ判明しませんがかなりの影響は出るでしょう。 官公庁のWebサイトなど市民生活に影響もありますのでその状況も気になる処です。

同社ではネットショップのシステムとしてシェアも高い EC-CUBE を積極的にサービスに取り入れ EC-CUBE - レンタルサーバーの【ファーストサーバ】 (2019年5月19日現在当該ページは新ブランド Zenlogic のサポートサイトである WEBアプリケーションマニュアル EC-CUBEにリダイレクト処理されます。)なるページも用意されています。 従ってこれを利用する多くのネットショップは 下手をすれば死活問題の処も出て来る可能性、無きにしもあらず、気になります。

また大手ユーザーとしては サイボウズ株式会社 があるようです。 ファーストサーバサイトにはサイボウズとの連携が図られた サイボウズ Office 9 - 【ファーストサーバ】 (2019年5月20日現在、当該ページは グループウェア:cybozu.com ZL にリダイレクト処理されますので連携は継続しています。)も用意されています。 サイボウズと言えばグループウェアの大手ですから、 その被害状況及び影響度合いは現在全く判明しませんが 間接的にサイボウズグループウェアユーザーにも影響が出ることになりますので これも気になる処です。

またファーストサーバ社の 企業情報 を見れば ヤフー株式会社 が主要株主となっています。 ヤフーも多くのWebサービスを提供していますから その内の幾つかをファーストサーバ社のサーバーを使っていないとも限りません。 またその親会社 ソフトバンク株式会社[追4] 関連も気になってしまいます。

関係者は未だ必死で復旧対応に追われていますから、 これから更に被害状況は表に出て来るものと思われます。 従ってまだまだ予断を許せぬ状況で、 今後も情勢を見守る必要があるでしょう。

被害状況も現在は判然せずそれはレンタルサーバーに留まるのか、 所謂クラウドの範疇も入ってくるのか、 但しネット上にはネット上へデータを置いていると言う行為のみからクラウドを連想した言及が多く その信用性に多少の影響も出るとは思われます。 矢張り雲だけに雲散霧消してしまうのかと。

追記1(2012年6月25日)

徐々に明らかになってきた被害状況について新しく記事 ファーストサーバ大規模障害被害件数5,698件、その被害状況が徐々に明らかに を配信しました。

追記2(2018年7月6日)

本配信記事で紹介した事件に因り大いに信用を失墜してしまったファーストサーバ株式会社でしたが、 2018年7月6日現在、サイトのタイトルの Zenlogicのファーストサーバ株式会社 を見れば態々企業名の前に置かれる通り Zenlogic をサービスの主体とする企業に生まれ変わらんとしたのは、 ホスティング企業の継続での発展が難しい事情を抱えては無理からぬ処でしょう。 現在主体の此のサービス形態をビジネスに導入したのは事件より約三年、 当時の2015年2月5日の記事がアスキーに配信[※1] されています。 記事を閲すれば サーバー区画貸しからサービス業への事業転換 を図り、 レンタルサーバーとクラウドのいいとこ取り のサービスである Zenlogicホスティング をヤフーのIaaS基盤を共通プラットフォームに、 コストや管理の負荷を軽減したい中小企業ユーザーに提供しようと言う目論見です。 併し頃日又もや、ファーストサーバ株式会社に宜しからぬ情報がネット上を駆け巡りました。 Zenlogicに6月19日から断続的な障害が発生し、対応するも完全復旧には至らず不具合は続いた状態との情報で、 勿論、ユーザーには困った事態に6月後半には頭を抱えていたでしょうが、 明らかにされたのは公式の障害情報ページの日付を確認すると2018年6月28日のようで、 目処も立たず数日が過ぎ、以て7月初旬には拡散され、 スラド などで情報は共有[※2] され、当該スレッドには多くのコメントが寄せられています。 現時点では如何かとファーストサーバ株式会社の障害情報ページ[※3] を確認すると、本日2018年7月6日のお昼を過ぎても復旧はならない様子が見て取れます。 時代を鑑みた期待の折角の新サービスが本記事の大規模障害の記憶も新しい内に評判芳しからぬ事態を招いては、 ソフトバンクの資本、後ろ盾があろうとも事業の継続も難しくなり兼ねませんが、 先ずはユーザーの救済と利益確保の早期解決を望みたく思います。

追記3(2018年7月18日)

ファーストサーバ社の Zenlogic システム障害の終結宣言を受け、2012年6月25日の記事 ファーストサーバ大規模障害被害件数5,698件、その被害状況が徐々に明らかに に追記しました。

追記4(2019年5月19日)

ファーストサーバ株式会社は2019年4月1日に親会社を同じくする 株式会社IDCフロンティア に吸収合併され社名は消失していますが、 レンタルサーバー事業の Zenlogicゼンロジック は同社の元で同ブランド名でサービスが継続されています。 以前のファーストサーバ社の親会社の ソフトバンク社 は2016年から2017年に掛けての改組で子会社となっており、 グループ全体の親会社は純粋持ち株会社の ソフトバンクグループ株式会社 となっています。

参考URL(※)
  1. サーバーを捨てたファーストサーバ、「Zenlogic」で再始動(ASCII.jp:2015年2月5日)
  2. ファーストサーバのホスティングサービス「Zenlogic」で6月19日より障害、未だ復旧せず(スラド IT:2018年7月4日)
  3. 6月19日より一部のお客様で発生している高負荷障害に関するお詫びとお知らせ(Zenlogicサポートサイト:ファーストサーバ:最終更新日時:2018年7月6日13:05)
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