違法ダウンロードでCDが売れないと言う主張は刑事罰法制化を必須とするほど本当のことなのか?

著作権の問題では最早ないと言って過言ではないでしょう。 それはシステムの問題に他なりません。 そしてそのシステムは只に既得権益を守るためのシステムであって 既に古くなって利用者に取っては使い難いものでしかありません。 一部既得権を享受するもののために 多くの人が振り回されていると言えます。

その問題とはCDが売れないのは違法ダウンロードの所為である、と言う主張です。 かたむき通信には2012年5月24日に 違法ダウンロードに刑罰を!~音楽業界団体の強い意向を自民公明両党が代弁 として伝えた処です。

海賊版のアップロードについては1990年代に違法とされました。 2010年の著作権法改正ではダウンロードも違法とされ民事上の責任を問われることとなりましたが、 更には今年2012年に法案の修正案提案と言う形で以て論議をせずに衆院通過を図る動きも伝えられます。 所謂音楽業界と一部議員がこれほど焦ってまで法制化したい内容が 違法ダウンロードをしたものに刑事罰を与えることなのです。

さて兎に角違法ダウンロードをした者を罰したいと言う強い気持ちは分かりました。 しかしそれが何の有効性を持つのか?に視点を移しましょう。

2ちゃんねるまとめサイト などで話題となったニュースにマイナビニュースの2012年6月9日の記事 CDが売れない本当の理由 (2019年5月3日現在記事削除確認)があります。 上の所謂音楽関係者と言う流通周辺の既得権益団体の利益を守るために法制化を推進する根本の理由、 違法ダウンロードの所為でCDが売れない と言う命題の真偽をアンケートを持って調査した結果です。 マイナビニュース会員から1,000件の有効回答数が得られたもので今年2012年2月末から3月に5日掛けて採取されたものです。

結果は4割がCDを購入するもののその8割以上が月に1枚未満であり、 一般社団法人日本レコード協会が提供するデータ 各種統計 > 音楽ソフト種類別生産数量の推移 (2019年5月3日現在当該項目は削除されていますので類似の 統計情報 > 生産実績 月次数値 に新たにリンクを貼り置きます。)の去年2011年は平成23年の売上が平成10年頃のピーク時の半分の売上に過ぎないものと符合しているように見えます。 確かにCD(及び音楽ソフトパッケージ)は売れなくなっていました。

しかし此処で考えなければならないのは そもそもCDを売る必要があるのか?と言う問題です。 CDはCDが欲しくて買っているのではなく 本来音楽を聴くために買っている筈です。 では誰のためにCDを売る必要があるのか? CDと言うパッケージ流通周辺の関係者のために他ならない理屈となって来ます。

インターネットでは必然的に中抜き構造となります。 それが生産者と消費者のお互いの利益になるからです。 出版社や新聞社、金融業界、保険業界も同様の渦中にある業界ですし 孰れ卸売業者や農協などもこの渦中に取り込まれることが予想されます。 音楽業界だけが特別ではありません。

勿論流通は必要ですがそれは明らかにデータ通信の時代に移っています。 この法制化一連の動きは古くて使い難いシステムを 本来は必要としない生産者にも消費者にもわざわざ強いる動きでもあります、 旧態然とした自らを変えようとしない団体組織のために。

ではCDは売れないのでしょうか? 答えの一つはかたむき通信5月24日に記したはAKB商法でしょう。 それは決して抱き合わせ販売を意味するのではなく 例えば豪華版などCDと言うパッケージ自体に価値が持たせられなければならないことを意味します。 音楽データ自体には不要なパッケージに最低限所有するための付加価値が加えられなければいけません。 AKBに於いてはAKB総選挙投票権の封入であったのですね。 音楽を聴くために必要のないCDはパッケージとしての価値を持たなければ 消費者に振り返って貰えないのは当たり前です。

確かにデータに見られるピーク時から僅か10年程で売上が半分に迄落ち込むことは 渦中にある者には信じられない事態であり焦燥感に駆られるのも無理はない数字であるかも知れませんが 傍から見れば全く合理的な動きをしているようにしか見えません。 これは所謂従来の音楽業界の関係者は受け入れざるを得ない事態に違い有りません。

このような変化は 各種統計 > 音楽ソフト種類別生産数量の推移 (2019年5月3日現在当該項目は削除されていますので類似の 統計情報 > 生産実績 月次数値 に新たにリンクを貼り置きます。) データにも見られるではないですか。 昭和から平成へ元号が変わるとともに移り変わったパッケージ形態、 アナログ盤からCDへ、という変化です。 大変ドラスチックな変化でしたが家電業界もオーディオ業界もこれを受け入れ変化しました。 流通としての取り扱いに関しては変化のないものだったものが、 今回は偶々流通にも及んだに過ぎないとも言えます。

変わるべきは恐らく法律ではなく流通及び関係者の意識なのです。 これに先んじて範を示したのが今は亡きアップル社創業者のスティーブ・ジョブズ氏でした。

繰り返し繰り返し政治家を使って国会を動かして法案を作成して それがまるで的外れなものであったらそれは実に無駄な話しです。

追記(2012年6月15日)

DVDリッピング違法化及び本記事で扱った 私的違法ダウンロード刑罰化法案が衆議院で可決されたことを受け 税金の無駄遣いとならないことが祈られるばかりのDVDリッピング違法化及び違法ダウンロード刑罰化を含む著作権法改正 を配信しました。

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